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栄養素辞典

ポリフェノール

ポリフェノール

「ポリフェノール」と言えば、まず多くの人が赤ワインを思い浮かべるでしょう。しかし、実はポリフェノールには5,000以上の種類があるのです。たとえば、お茶に含まれる「カテキン」やそばの「ルチン」、大豆の「イソフラボン」などもポリフェノールの一種で、これらを総称してポリフェノールと呼ぶわけです。
ポリフェノールは、多くの植物が光合成する際に作られる色素や苦み、渋み、アクの成分のことを言います。ポリフェノールには、植物に対して細胞の生成、活性化、分裂を助け、外部からの有害物を無毒化するなどの働きがあるので、植物自体を守るのにも必要な成分と言えるでしょう。
植物中のポリフェノールは、表皮や種子に多く含まれています。そのため、たとえば赤ワインには多く含まれていても、ブドウの果皮を取り除いて作られる白ワインにはあまり含まれていないのです。
人が摂取すると、主に老化防止や体内の酸化を阻止する作用があると言われています(種類によっては有効でないものもあります)。もともと、人間の体内にはSOD(スーパー・オキシド・ディスムターゼ)という抗酸化酵素が備わっていますが、40歳を境にSODは減少していく傾向にあるので、年齢と共に意識して摂取すると良いでしょう。
ポリフェノールは熱に強く、壊れにくい性質がありますが、非常に酸化しやすく、空気にさらされた直後から少しずつ減少していきます。調理後は、できるだけ早く食べるようにしましょう。

ポリフェノールの主な働き

1.活性酸素の除去
がんの予防に役立ちます。
2.抗酸化作用
悪玉のLDLコレステロールの酸化を阻害して、老化を防止し動脈硬化を予防します。
3.血糖値や血圧値を正常化する(カテキン、ルチン、プロアントシアニジン<栗>など)
糖尿病・高血圧の予防に役立ちます。
4.殺菌作用(カテキン、タンニンなど)

その他、ポリフェノールには種類によって多くの働きをします。

ポリフェノールが不足すると ポリフェノールを摂りすぎると
欠乏症の報告はありません。 過剰症の報告はありません。

積極的に摂取したほうが良い方

高齢の方、がんや生活習慣病を予防したい方、老化が気になる方など。

吸収を促進する要素

ビタミンC(酸化したポリフェノールを修復する)
アルコール(ポリフェノールの溶解性を高め、腸管での吸収を助ける)

吸収を阻害する要素

牛乳(カテキン・カカオマスポリフェノールの場合)
紅茶やチョコレートと一緒に牛乳を摂取すると、ポリフェノールが減少してしまうことが実証されています。

食品の色調保持や変色について

ポリフェノールは、食品の色合いを保ったり、変色させたりする作用にも関与しています。例えば、なすの漬け物に鉄くぎを入れると色がよく仕上がると言いますが、これは、鉄くぎに含まれる鉄イオンがなすのアントシアン色素(ポリフェノールの一種)を安定するもので、日本人は昔からこのような作用をうまく利用してきました。
また、褐変※は、ポリフェノールと一緒に含まれる酸化酵素「ポリフェノールオキシターゼ」の作用で、ポリフェノールから褐色色素を生成するために起こります。この褐変反応は、酸や食塩ビタミンCの添加、ブランチング処理(湯通し)、低温貯蔵(5~10℃)などの方法で防止できます。これは、酸化酵素の活性を抑制する作用によるものです。
※褐変:果物や野菜などを切った時に茶色く変色する反応のこと。

ポリフェノールの種類

・アントシアニン(赤ワイン、なす、黒豆、小豆、ブルーベリー)
・カテキン(茶)
・ルチン(そば)
イソフラボン(大豆)
・クロロゲン酸(コーヒー豆、ごぼう)
・カカオマスポリフェノール(チョコレート)

ポリフェノールが特に多く含まれる食品

赤ワイン、緑茶、ごま、大豆、生姜、プルーン、カカオ、紫芋、春菊、れんこん、ししとう、バナナ、マンゴー、ブルーベリー

一日の摂取基準量

必須栄養素とされていないため基準値は定まっていませんが、抗酸化作用が有効とされるのは、緑茶の場合1日に10杯ぐらいと言われています。
ただ、ポリフェノールは一度に大量摂取しても、その持続効果は2~3時間と短かく、体内に蓄積されないので、こまめに摂取するほうが効果的です。

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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