栄養素辞典
イソフラボン
健康レシピ
2015年06月29日掲載
イソフラボンはフラボノイドの一種で、大豆や葛(くず)などマメ科の植物に多く含まれています。女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用があることから、骨粗しょう症、乳がんや前立腺がん等の予防効果があるとして大きな期待が寄せられています。また、同時に抗エストロゲン作用も持ち合わせているので、エストロゲン過剰も緩和しつつ全体のバランスを整えてくれます。
一方、サプリメントによる過剰摂取は、月経周期の遅れ、子宮内膜増殖症などのリスクが高くなるとの報告もありますので注意しましょう。
イソフラボンの主な働き
イソフラボンには多くの種類があり、それぞれ多様な働きがあります。ここでは、主な働きを紹介します。
1.エストロゲン(女性ホルモン)に似た作用
女性ホルモンの激減を緩和し、更年期障害の軽減や骨密度の保持、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
2.がんの予防・抗酸化作用
がんが新生血管を作って増殖するのを阻害します。
※大豆発酵食品に含まれる「ゲニステイン」は抗酸化活性の役割を持っているので、抗酸化酵素SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)の働きを良くします。
3.動脈硬化の予防・改善
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らし、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やして、動脈硬化を防ぎ改善します。
4.中性脂肪値・血圧値の正常化作用
生活習慣病の予防・改善に役立ちます。
5.血中アルコール値を下げる
二日酔いの防止に役立ちます。
大豆イソフラボンの一日の摂取基準
成人の場合、大豆イソフラボンアグリコンの1日の摂取上限値は、70~75mg/日とされています。食事からは40~45mg/日が理想で、サプリメントなどを服用している場合は、上乗せ摂取量が30mgとされています。
大豆イソフラボンが、女性ホルモンであるエストロゲンの受容体を介する作用を持つことを、動物試験の結果と合わせて考慮すると、『生殖機能が未発達な乳幼児および小児に対して、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、安全性が明確でないかぎり、推奨できない』とされています。
大豆イソフラボンの過剰摂取についての報告(一部)
- 閉経前女性の場合、女性ホルモンのバランスが崩れ、血中ホルモン値の変動、月経周期の遅れ、子宮内膜増殖症などのリスクが高くなった。
- 閉経後女性の場合、子宮内膜増殖症の発症リスクが高くなった。
- 妊娠している動物の場合、胎児の生殖機能への影響があった。
- 新生児の動物または未成熟の動物の場合、生殖機能への影響があった。
主な食品中に含まれるイソフラボンの量
- 豆腐150g(半丁)/約40mg
- 納豆45g(1パック)/約35mg
- 豆乳200g(1パック)/約40mg
出典・参考
・食品安全委員会/大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方【PDF】
・食品安全委員会/大豆および大豆イソフラボンに関するQ&A
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。