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関西の専門医が語るドクター's コラム

非前庭系|めまいの症状と病気

めまいの症状と病気・治療方法[3]:非前庭系めまい

動悸、息切れ、嘔気などを伴うめまいや立ちくらみ

≪起立性低血圧/脳循環不全≫

立ち上がった瞬間に頭がフラフラする(立ちくらみ)、長時間立っていると目の前がスーッと暗くなる、血の気が引く(眼前暗黒感、失神感)などに加え、動悸、息切れ、嘔気・嘔吐、冷汗などの自律神経症状を伴うことも多く、ときには失神することもあります。多くは1~2分で改善しますが、日常的な倦怠感、易疲労性、乗り物酔い、寝起きの悪さ、などを訴えることも多くあります。

原因 血圧調整の異常により、一時的に脳の血流量が低下して、めまいが起こります。そのような状態をきたす原因疾患はさまざまですが、大きく次の3つに分けられます。
  1. 1:神経性
    自律神経失調症、ストレス、過労、脳血管障害、神経疾患(パーキンソン病、糖尿病、アルコール中毒、など)など。
  2. 2:非神経性
    貧血、脱水、妊娠、発熱、など。
  3. 3:その他
    薬剤(降圧剤、催眠・鎮静剤、抗うつ薬など)や、高血圧、低血圧、動脈硬化など。
不整脈や大動脈弁狭窄症のような心疾患でも、同じように血圧が下がることによりめまいを起こすことがあるので注意が必要です。また、似たようなめまいには、「てんかん」によるめまいがあります。てんかんの場合には「痙攣」「意識混濁」を伴うことが多く、脳波で見分けます。
治療 原因疾患の治療をします。薬物療法として、抗不安薬、昇圧剤などを用います。
日常生活においては、以下の注意が必要です。
  1. 1:急に立ち上がらず、一度座ってから立ち上がる
  2. 2:弾性ストッキングを使って下半身の血液貯留を防ぐ
  3. 3:やや高めの枕を使う
  4. 4:規則正しい生活/起床・着床時間の固定。食事の時間を一定にして、食事を抜かない
  5. 5:運動療法/姿勢の急な変化を伴う運動は避け、散歩などの軽い運動から徐々に慣らす

フワフワしたり、回転するようなめまいで、肩こりなどを伴う

≪頚性(けいせい)めまい≫

フワフワしためまい(「雲の上を歩くような」)や、回転性のめまい、気が遠くなる感じがすることもあります。とくに、眼を閉じるとめまい感が強まることも多くあります。聞こえの症状はありません。頭痛、後頭部から首の付け根にかけての強い肩こり・痛みを伴います。

原因 起立、歩行時や頚部の曲げ伸ばし、回旋などの動きによって起こります。むち打ち症、首こりなどにより、頸部交感神経・自律神経の緊張が高まります。
また、頚椎の歪み、または加齢変化での骨棘形成により、椎骨動脈が圧迫されて血流不全が生じます。骨粗しょう症などによる骨の磨耗、後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などが混在して起こることも多くなります。
治療 原因疾患の治療は、場合によって手術が必要ですが、適度な運動などにより肩こりの解消に努めたりするほか、めまいの薬、循環改善剤、筋弛緩薬(肩こりの薬)、抗不安薬、シップ、頭痛薬などを使用します。整形外科で治療をすることもあります。

浮動感やふらつき、気が遠くなるめまいと同時に、動悸、発汗、呼吸困難感、吐き気を伴うめまい

≪心因性めまい≫

心因性めまいで最も多く見られるのが、パニック障害、過換気症候群も含む不安障害です。浮動感やふらつき、気が遠くなるような感じといったタイプのめまいと同時に、動悸、発汗、呼吸困難感、吐き気などの症状を伴います。若年者にも多いのがこのタイプです。
また、うつ病によるめまいでは、めまいの性質は同じでも、力が入らない、過度の疲労でフラフラする、意欲低下や全身倦怠感、食欲低下、不眠(早朝覚醒)、などの症状が見られます。このような症状は、高齢になるほど多くなります。めまいの起こる状況が「緊張するようなシーン」「電車や劇場の中などの特定の状況」など、比較的はっきりしていることも心因性めまいを疑わせます。脳血管障害、アルツハイマー病などの病気によって引き起こされている場合もあります。

原因 精神的なストレスや不安感などの心理的因子により惹き起こされていることが多く、うつ病によって起こるめまいもあります。また、身体的疾患により惹き起こされためまいが、不安感などを生じて精神状態に影響して、めまい症状を増強してしまう悪循環もみられます。ときには、身体的疾患によるめまいが治ってしまった後に、めまいの症状だけが続くこともあります。めまいで受診する患者の3分の1が心因性のめまいであると考えられています。
治療 身体的疾患によるめまいでないことを確認しておく必要があります。
眼振検査(フレンツェル眼鏡)、平衡機能検査(足踏みテスト、重心動揺計など)、その他の神経学的検査やMRI、CT、心電図などの検査を行うことがあります。そのうえで、問診や心理テストで診断を確定します。
通常のめまいの薬は効果がなく、心理的な因子に作用する薬(抗不安薬や抗うつ剤)を使います。そのため、逆に投薬に対する反応によって、診断が確定する場合もあります。これらの薬は人により相性がさまざまであり、効果も副作用も一定ではありません。最近は副作用の少ない抗うつ剤も開発されていますが、効果の発現に1~2数週間かかります。根気よく、細やかに治療効果を観察する必要があります。なお、改善の兆しが見えて治療を止めてしまうと、再発を繰り返すことになりかねません。しっかり治療して、良い状態を3カ月くらい保つことが望ましいでしょう。

性別も関係……女性に多いめまい

「めまい」には性別も関係していると考えられています。男性でも症状に悩まされている人はいますが、傾向としては男性よりも女性のほうが多いものです。 「めまい」は女性の更年期障害の症状のひとつ。また、若年の女性でも月経前症候群に付随して「めまい」を感じる人は少なくありません。子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科腫瘍の不正出血などによる貧血で「めまい」に悩まされている人も。

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