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関西の専門医が語るドクター's コラム

睡眠時無呼吸症候群とは

丸山 晋

執筆:丸山耳鼻咽喉科医院 院長

医学博士、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本気管食道科学会認定専門医
昭和38年生。私立甲陽学院高等学校卒業、国立高知医科大学(現高知大学医学部)卒業。京都府立医科大学・耳鼻咽喉科学教室入局。京都府立医科大学・助手、近江八幡市立病院・医長、京都府立与謝の海病院・医長などを経て、平成14年より丸山耳鼻咽喉科医院、平成18年より同院・院長。

 丸山耳鼻咽喉科医院 公式サイト

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中にたびたび呼吸が停止したり弱くなることで、十分な酸素を取り込めなくなったり、熟睡できなくなったりする病気です。この病気がもととなり、さまざまな症状が出てくることで、日常生活に支障をきたします。また、睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病とも深く関係しており、放置すると生命の危険にさらされる恐れもあります。

睡眠時に10秒以上の無呼吸・低呼吸状態が、1時間に5回以上起こるようであれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数を「無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)」と言いますが、これが睡眠時無呼吸症候群の重症度の目安となります。潜在患者は、人口の1~2%と言われますが、ほとんどの場合に自覚がなく、居眠り運転で事故を起こし発見されるケースが多くあります。この病気が広く一般社会に知られるきっかけとなったのも、患者が起こした事故のニュースでした。

ドクターズメモ

日中の眠気による交通事故

突然の眠気が、自動車の居眠り運転の原因になります。交通事故の発生率は、一般ドライバーの約7倍というデータも。一般の自動車だけでなく、鉄道やバスなどの運転士も発症しており、実際に事故も起きています。

睡眠時無呼吸症候群の症状

  • 睡眠中のいびき、10秒以上の呼吸停止。ときに呼吸停止が1分を超える場合もあります。
  • 夜中に目が覚める(途中覚醒)、夜間尿回数の増加
  • 起床時の頭痛、熟睡感がない
  • 昼間の眠気・倦怠感、居眠り
  • 集中力・記憶力の低下
  • ED(勃起不全)

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に上気道(空気の通り道)が塞がることで起こります。その原因は主に、以下のようなものと考えられます。

・肥満のため、首周りに脂肪がつく
・扁桃肥大・アデノイド肥大
・軟口蓋といわれる、喉の入り口の粘膜が垂れ下がる。あるいは内側に寄る
・舌が大きい
・アゴが小さい
・鼻づまり(鼻中隔湾曲症など)
・寝ているときに喉がふさがりやすい体質

また、睡眠薬や飲酒の影響により、舌の力が抜けてしまい、寝ているときに喉に落ち込んでしまうこともあります。

睡眠時無呼吸症候群の合併症

睡眠時無呼吸症候群を発症すると、下記のような合併症を併発する場合があります。


1. 高血圧症(危険性は健康な人の2倍)
2. 糖尿病
3. 高脂血症
4. 肥満などの生活習慣病
5. 動脈硬化
6. 心臓の冠動脈疾患(危険性は健康な人の3倍)
7. 心筋梗塞(危険性は健康な人の4倍)
8. 脳血管障害(危険性は健康な人の4倍)


上記は、命にかかわる危険な合併症です。治療を受けずにいると、10年以内に3分の1の方がこれらの危険な合併症を発症、あるいは死亡するとされています。

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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