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おへその中が赤い・かゆい・臭いのはなぜ?原因と対処方法を解説

「おへそがかゆい・中が赤い・臭い……」こんなお悩みを抱えている方は意外と多いのではないでしょうか?おへそのトラブルというと緊急性は高くないように思われますが、かゆみや臭いは日常生活において気になるものですね。また、「おへそから膿が出ている」など、症状によっては医療機関での治療が必要なケースもあるので、実は注意が必要です。そこで今回は、おへそのトラブルの原因や対処法法などについて、LECINQ clinic院長 長谷川佳子先生に教えていただきました。

長谷川佳子

LECINQ clinic院長

2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック勤務を経て、2020年ルサンククリニック診療部長就任。2021年 ルサンククリニック院長就任。所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

おへそがかゆい・臭いのはなぜ?

おへそは通気性が悪く、体を洗う際にもちゃんと洗うのが難しい部位。そのため、体から剥がれた皮膚や皮脂・汗・衣服の繊維くず・ほこりなどが溜まりやすく、さまざまな細菌が繁殖しやすい環境にあります。それがかゆみや悪臭の原因になっていると考えられます。

おへそがかゆい・臭いを予防するためには?

おへそは丁寧に洗って、ちゃんと乾かす

おへそのかゆみや臭いを防ぐには、清潔に保つことが大切です。バスタイムにおへそケアを取り入れましょう。

  1. ベビーオイルやオリーブオイルなどを垂らして、少し待ってから、優しく綿棒で拭いましょう。綿棒を利用するため、入浴前に洗面所でおこなうか、シャワーで身体を流す前におこなうのがおすすめです。
  2. その後泡石鹸で優しく洗いましょう。
  3. 風呂上がりはタオルやティッシュで水気をしっかりとり、濡れたままにならないようにしてください。

なお、無理しておへその汚れを取ろうとするのは避けてください。赤くなったり、痛くなったりします。また、綿棒や細いものをむやみに突っ込むのも傷つける原因となります。

おへそのかゆみが強い・おへその中が赤い場合は?

かゆみが強い・おへその中が赤い場合、皮膚炎が起きているかも

かゆみが強い・おへその中が赤い場合、おへその中で細菌感染が起きて皮膚炎症をきたしている可能性があります。

おへそのかゆみが強い・おへその中が赤い場合の対処方法

清潔にしていてもおへそのかゆみが強かったり赤みが出ていたりする場合は、皮膚科、形成外科、泌尿器科を受診して相談すると良いでしょう。皮膚科では抗菌剤などの薬を処方するのが一般的です。入浴時におへそを清潔にしてから薬を塗布し、おへそに摩擦や刺激が起きないようにガーゼなどで保護します。

おへそから膿が出ている……原因は?

おへそから膿が出ている場合、感染症の疑いが

かゆみや臭い・赤みのみならず、「膿が出ている」という場合は注意が必要です。このようなケースでは、感染症が疑われます。おへそは血液排出にも関与している部位なので、おへそから膿が出ている場合、血流に細菌がのって体内に回ってしまい、体に異常をきたす恐れも考えられます。

おへそから膿……考えられる感染症

おへそから膿が出ている場合、臍炎(さいえん)や化膿性尿膜管嚢胞(かのうせいにょうまくかんのうほう)を起こしているなどの可能性があります。臍炎は赤ちゃんに発症することが多く、化膿性尿膜管嚢胞は大人でも発症します。その原因の一つに尿膜管遺残があります。

臍炎(さいえん)

おへそが感染して膿が出たり痛みがあったりする病気です。臍炎を繰り返す場合、原因として尿膜管遺残症が疑われます。臍炎の場合、まず抗生剤を投与し感染の治療を行います。

臍炎が重症化し膿が溜まった状態を臍下膿瘍(さいかのうよう)といいます。臍下膿瘍となった場合は、おへそを切開し排膿します。場合によっては一時的に管を留置することがあります。適切な治療を行っても症状改善に時間がかかることがあり、数か月間かかることもあります。 何回も炎症を繰り返すとその部分が瘢痕(はんこん)を形成して、おへその穴を閉じてしまったようになります。しかし炎症は再発する可能性があり、そうなると皮下で炎症が起き、皮膚が破綻する可能性もあります。

 

尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)

おへそと膀胱をつないでいる「尿膜管」が残ってしまっている状態です。「尿膜管」とは、胎児期に尿を母親の方へ流すための通り道のこと。通常、尿膜管は成長に合わせて閉じ、おへそと膀胱とのつながりが消失します。しかし、消失することなく残存すると、尿膜管遺残という状態になるのです。

尿膜管遺残が消えずに残っているというだけで、痛み等の症状が出現することはありませんが、おへそから細菌が侵入し炎症(臍炎)が起きたり、がんの合併等が起こったりした場合に症状が出現すると考えられています。

症状のある尿膜管遺残は抗生剤の内服投与にて短期間に症状が改善することも多くあります。一方、症状が長引いたり、症状が繰り返したりする場合には、手術療法が必要になります。

 

化膿性尿膜管嚢胞(かのうせいにょうまくかんのうほう)

尿膜管遺残により、化膿性尿膜管嚢胞が起こることがあります。治療としては、まず排膿切開と抗菌薬の投与を行います。適切な排膿処置を行わずにいると、膿瘍が腹腔内に破裂して腹膜炎になったり、腸管との間にトンネルができたりすることもあります。

切開排嚢だけでは約3割が再発することや、残った尿膜管が悪性化する危険性がありますので、原則的には手術による尿膜管の全摘出が推奨されます。

まとめ

代表的なおへそのトラブル、かゆみ・赤み・臭い。これらを防ぐためには、今回ご紹介した方法でおへそをケアしてあげることが大事です。ただし、気にするあまりお手入れをしすぎるのはNG!かえってトラブルを招くことがありますので注意しましょう。 なお、おへそから膿が出ているような場合は感染症の疑いも。心配な方は一度医療機関に相談してみてくださいね。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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