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関西の専門医が語るドクター's コラム

バセドウ病とは

岡本 泰之

執筆:岡本甲状腺クリニック院長

日本甲状腺学会認定専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医
2006年甲状腺疾患専門の岡本甲状腺クリニックを開院。バセドウ病、橋本病、甲状腺機能低下症の診断と治療ならびに、甲状腺腫瘍の診断を専門とする。著書に甲状腺疾患をもつ人の不安や悩み・疑問に徹底回答する「甲状腺の病気 パーフェクトアンサー115」がある。

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バセドウ病とは、血液中の甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、20~30代の若い女性に多くみられますが、一方で小児から高齢者、男性も発症する病気です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、自律神経のなかでも、激しい活動を行っている時に活発になる「交感神経」の働きが異常に活性化されることにより、多量の汗をかく、疲れやすい、動悸がする、手が震える、暑さに弱い、しっかり食べているのに体重が減少する、などの症状があらわれます。そのほか、バセドウ病では、眼球が出てきたり(眼球突出)、まぶたが釣り上がったり(眼瞼後退)することもあります。
ここで注意していただきたいのは、血液中の甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気は、バセドウ病のほかにもあるということです。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されていれば、バセドウ病を発症しているというわけではありません。また、バセドウ病はその症状から、心臓病や更年期障害といった、ほかの病気と間違われることがあります。

バセドウ病の原因

まずは、バセドウ病の原因となる、甲状腺ホルモンの過剰な分泌についてご説明します。
バセドウ病は、本来ならば自分の体を守るための免疫が、自分の甲状腺に反応して起こる病気(臓器特異的自己免疫疾患)です。自分の甲状腺に免疫反応を起こした結果、甲状腺細胞の表面にある「TSH受容体」に対する抗体(TSH受容体抗体)ができて、それが甲状腺を刺激するために、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるのです。
バセドウ病の症状のひとつに、眼球が出てくる(眼球突出)というものがあります。眼にも上記と同様の免疫反応を起こして、眼の後ろの脂肪組織が増加したり、眼を動かす筋肉が肥大したりします。その結果、眼球突出や眼瞼後退になったり、物が二つに見えたり(複視)するようになるのです。

それではなぜ、自分の体を守るはずの免疫が、自分の甲状腺に対して反応するようになるのでしょうか。それは、そのような反応を起こしやすい「体質」を持っているからです。体質は遺伝子で決められるものですから、バセドウ病は遺伝する病気といえます。ただし、免疫が甲状腺に反応しやすい体質を持っているからといって、必ずしもバセドウ病を発症するとは限りません。持っている体質に、ストレスのようなものが影響して発症すると考えられています。たとえば、仕事が忙しすぎる、人間関係に悩んでいる、子供の受験が心配、結婚や出産を控えている、といった身近なストレスの影響もあるようです。

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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