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関西の専門医が語るドクター's コラム

中枢前庭系|めまいの症状と病気

めまいの症状と病気・治療方法[2]:中枢前庭系めまい

頭を回したり、起き上がったりするときや歩行中などに突然起こるめまい(聞こえの症状:なし)

≪椎骨脳底動脈循環不全≫

頭を回す、起き上がるといった動作をした際や、歩行中、安静時にも突然起こります。多くは回転性ですが、ときにはフラフラした浮遊感、あるいは、眼の前が真っ暗になるめまいが数10秒~数分続き、反復します。耳鳴・難聴などの聞こえの症状はありません。しかし、物が二重に見える、しゃべりにくい、頭痛、気の遠くなる感じ、脱力感、などの脳血管障害を疑わせるような神経症状を伴うことも多くあります。

高齢者短時間のめまいが頻回に起こる場合、この疾患が多いと言われています。高血圧の薬を続けているうちに、薬が効き過ぎて血が回らなくなり、めまいが起きるというケースです。また、診察時の検査では異常が見つからない場合も多くあります。

原因と病態: 老化・外傷⇒頚椎変形⇒椎骨動脈の圧迫⇒椎骨動脈の血流不全
高血圧・脂質異常症・糖尿病など⇒動脈硬化⇒椎骨動脈が狭くなる⇒椎骨動脈の血流不全などで、椎骨動脈の血流が遮断されて、脳に血が回らなくなって起こります。
治療: 高血圧・脂質異常症・糖尿病など、原因になっている疾患の治療が第一です。骨の変形が原因の場合には手術を行うこともあります。循環改善剤、自律神経調整剤、抗不安薬などを使うこともあります。

激しい頭痛や運動麻痺、しびれを伴うめまい

≪脳出血・脳梗塞に伴うめまい≫

「神経症状」には、手足がうまく動かない、ものが二重に見える、ろれつが回らない、声がかれる、ものを飲み込めないなどの「運動麻痺」と、顔面や手足がしびれるなどの「感覚麻痺」があります。これらの「神経症状」が突然現れるものの、一時的なもので自然に治る場合があります。これは、一過性脳虚血(一時的な脳梗塞)といって、本格的な脳梗塞の前触れですので、治ったからといって放置せず、専門医の治療を受ける必要があります。また、生活習慣病(高血圧、心臓病、糖尿病、脂質異常症、腎臓病など)を背景に起こることも多く、これらの病気にかかっているかどうかを見分ける参考になります。

脳出血は、脳の血管が破れて出血すること、脳梗塞は脳の血管が詰まって血液が流れなくなることを言い、2つを合わせて脳血管障害または脳卒中と呼びます。これらの疾患は生命にかかわる疾患です。後遺症を残さないためにもできるだけ早く治療を受ける必要があります。疾患によるめまいは回転性とは限らず、浮動性のめまいのこともあり、また、程度もさまざまです。聞こえの症状(難聴、耳閉感、耳鳴など)はあったりなかったり一定しません。
めまいに「激しい頭痛」や「神経症状」「意識障害」を伴う場合は、脳血管障害を疑い、たとえそれがどんな状況であっても、即座に救急車を呼ぶ必要があります。

診断: 問診をとり、神経学的な所見をとり、眼振検査(フレンツェル眼鏡)を行った後、血液検査をします。また、画像診断(MRIが直後から有用)で確定できます。
治療: 薬物療法、外科的治療があります。程度を含めた状況、時期などにより、治療法を選択します。

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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