関西の専門医が語る ドクター's コラム
巻き爪
病気・症状と予防
2013年04月01日掲載
松﨑 浩
執筆:医療法人暁会 田辺整形外科上本町クリニック 医師
医学博士、日本整形外科学会認定医、日本手の外科学会認定医
手の外科を中心とした外傷全般を軸にスポーツ外傷から脊椎疾患、変形性ひざ関節症などの慢性疾患まで幅広い治療を行なっている。
巻き爪とは
最近、男女を問わず、巻き爪の症状で悩んでいる方が増えており、患者さんの数は約10人に1人の割合と言われています。症状が見られない場合でも、知らず知らずのうちに、巻き爪の予備軍になっていることもありますので、日頃から注意しておきましょう。
巻き爪の症状
巻き爪とは、足の指にある爪の両端の先端部が、強く内側に湾曲した状態を言います。巻き爪になるのは、負担のかかりやすい親指の爪であることが多いのですが、その他の指の爪も巻き爪になることがあります。巻き爪は、見た目が悪くなってしまう程度のことと、侮ってはいけません。巻き爪が進行していくと、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込んで、次第に激しい痛みを引き起こすようになります。さらに、曲がった爪に巻き込まれた皮膚が化膿してしまい、歩くことができなくなる場合もあるのです。
また、巻き爪の痛みから足をかばおうと、いつもとは違った歩き方をしてしまうために、足首やひざ、腰にも負担がかかり、捻挫やひざ痛、腰痛の原因になることもあります。巻き爪の痛みを取り除くために、爪を深く切り込むことによって、一時的には痛みから解放されます。しかし、爪が伸びるにしたがって、爪の巻き込みはさらに強くなり、痛みも増し、悪循環を繰り返してしまいます。
巻き爪は医学的に「陥入爪(かんにゅうそう)」「弯曲爪(わんきょくそう)」「爪甲鈎弯症(そうこうこうわんしょう)」という3種類に大別されます。その中でも、爪の周囲の皮膚に食い込んで痛みが生じる、陥入爪の症例が最も多くなります。弯曲爪は両側性の陥入爪がひどくなったもので、爪が爪床の皮膚を挟み込むようにして「のの字」型に巻き込み、持ち上がってしまったものです。爪甲鈎弯症は年配の方に多く見られます。爪甲(爪の外側の部分)が異常にぶ厚くなるのと同時に、異常に伸びてツノのような外観になってしまう症状で、甲状腺機能低下症などの内分泌障害なども原因となります。残念なことに、これには有効な治療法はなく、ヤスリなどで爪の形を一時的に整えるしかありません。
ドクター's コラム「巻き爪」
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