関西の専門医が語るドクター's コラム
クローン病とは
病気・症状と予防
2013年04月10日掲載
渡辺 敏彦
執筆:わたなべクリニック 院長
近年増加している大腸疾患(癌、ポリープ)、難病(潰瘍性大腸炎、クローン病)を中心に消化器疾患全般にわたり診療している。また、苦痛のない内視鏡検査や治療に取り組み、ポリープ切除や早期癌切除などの内視鏡治療は原則的に日帰り手術にするなど、患者に負担の少ない診療をモットーとしている。
クローン病とは
クローン病とは、おもに10~30代の若い人に見られる病気で、口腔から肛門に至るまでの消化管のあらゆる場所(主に小腸や大腸)に、炎症や潰瘍を引き起こす病気です。クローン病を発症すると、腹痛、下痢、体重の減少といった症状が出るほか、大出血を引き起こすことがあります。原因は不明ですが遺伝的素因、環境因子(食餌、感染、化学薬品、食品添加物等)、免疫異常などが複雑に絡みあって発症すると考えられています。
クローン病は、炎症性腸疾患のひとつです。炎症性腸疾患は、細菌や薬剤など、はっきりした原因で起こる「特異的炎症性腸疾患」と、原因不明の「非特異的炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)」に分けられます。しかし、一般的に炎症性腸疾患(IBD)と言えば、クローン病や潰瘍性大腸炎のことを指します。※「IBD:Inflammatory bowel disease」
また、クローン病は発生する場所によって、3つの病型に分けられています。病変が小腸にのみ発生するのが「小腸型」、小腸と大腸に発生するのが「小腸大腸型」、大腸にのみ発生するのが「大腸型」となります。
クローン病の症状
患者さんによって症状は異なりますが、半数以上の患者さんに、腹痛や下痢の症状が見られます。このため、過敏性腸症候群(IBS)と間違えられることもあります。
- ≪主な症状≫
- ・腹痛
- ・下痢
- ・発熱
- ・下血
- ・体重減少
- ・貧血
- ≪その他の腸管外合併症≫
- ・ろう孔/腸管などから体の表面や、その他の臓器に通じる異常な管のこと
- ・狭窄/消化管が狭まってしまう状態のこと
- ・膿瘍(のうよう)などの腸管合併症
- ・関節炎/膝・肘などの大きな関節で多く見られる
- ・虹彩炎/眼の虹彩とよばれる部分におきる炎症のこと
- ・肛門部病/痔ろう、肛門周辺膿瘍
クローン病の発生部位
クローン病は、口腔から肛門に至るまでの消化管のあらゆる場所に発生しますが、特に回腸の末端から盲腸にかけて(回盲部)多く発生することが特徴です。
ドクター's コラム「クローン病」
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