関西の専門医が語るドクター's コラム
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療
病気・症状と予防
2013年04月01日掲載
COPDの治療法
COPDの治療法は、症状に合わせてさまざまです。喫煙者の場合は禁煙からスタートすることになりますが、症状によっては薬の投与、酸素の吸入といった治療法をとる場合もあります。
【1】増悪の予防
・予防ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌)
COPDを発症すると、咳や痰の量が大幅に増えたり、息切れが激しくなったりすることがあります。このような状態を増悪(ぞうあく)と言いますが、COPDの増悪は、ウイルスによる感染症や過労などが原因になります。COPDの急性増悪が起こると、入院を余儀なくされることも多く、肺機能がいっそう低下することにもつながります。
【2】薬物療法
COPDの薬物療法では、気管支を拡張させる働きをもつ薬を用いて、呼吸をしやすくします。基本的に薬を吸い込む「吸入治療」を行います。吸入治療は気管支に有効に作用するので有利ですが、正しい吸入方法を身に付けることもポイントになります。
≪薬物療法で使用される薬の一例≫
- 気管支拡張剤:抗コリン薬「スピリーバ」
- β2刺激薬:「セレベント」、「ホクナリンテープ」
- テオフィリン製剤:「テオドール」
- 吸入ステロイド剤:「オルベスコ」、「フルタイド」、「アドエア」
- 去痰剤:「ムコダイン」、「クリアナール」
【3】非薬物療法
- A. 呼吸リハビリテーション
- 禁煙や薬物療法の効果を高めるために、日常生活に取り入れたいのが「呼吸リハビリテーション」です。COPD の治療は長期間になりますので、まずは無理なく始められる呼吸リハビリテーションから取り組んでいきましょう。内容や頻度については、かかりつけの医師に相談してみましょう。
≪呼吸リハビリテーションの種類≫
- 息苦しさを緩和するための「理学療法」:しっかりと呼吸するコツを身に付ける
- 呼吸に必要な筋肉を鍛える「運動療法」:ウォーキングなどの手軽な運動をする
- B. 在宅酸素療法
- 自宅に酸素吸入機を設置し、鼻に通したチューブから酸素を吸入します。外出時にも携帯できる酸素吸入機もあるため、症状によっては外出も可能です。
- C. 栄養管理
- COPDの方は非効率な呼吸をするため、消費カロリーが増える傾向にあります。このため、通常よりも多くのカロリーを摂取する必要があります。
【4】併発症に対する治療
肺気腫、慢性気管支炎の併発により引き起こされる閉塞性換気障害などの治療も一緒に行っていきます。
現状では、COPDになってしてしまうと、完治するのが極めて難しいのが実情です。可能な限り進行を遅らせることが、COPD治療の主な目的となります。また、食欲減退による栄養不足をいかに補うかも重要なファクターの一つであると考えられ、経口栄養法や胃瘻の手術が必要になる場合もあります。また、呼吸補助の機械を使えば呼吸が楽になりますが、使い続けると本来持っている呼吸能力が低下する恐れがあるため、病状が重症でなければ、自発呼吸に切り替えた方が良い場合もあります。
診療科について
COPDの診療科目は呼吸器内科となります。診療科目に呼吸器科と標榜しているところへ行くことをおすすめします。最近では「禁煙外来」も増えてきており、こちらでもCOPDの治療が可能であることが多くなっています。
ドクター's コラム「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」
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