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合併症から命にかかわる場合も!「ちくのう症(蓄膿症)」
病気・症状と予防
2014年02月20日掲載
鼻がつまったり、鼻の中からイヤなにおいがするといった不快な症状が起こる「ちくのう症(蓄膿症)」。実は風邪や花粉症が原因となって発症することもある、とても身近な病気です。
鼻水や鼻づまりの症状は続いていませんか?放置していると悪化して、合併症を引き起こすこともあります。気になる症状が見られたら、耳鼻咽喉科で受診しましょう。
ちくのう症ってどんな病気?
鼻の周辺に「副鼻腔」と呼ばれる空洞があります。そこが風邪や花粉症などにより炎症を起こしてしまう病気を「副鼻腔炎」言います。とくに発症早期のものを急性副鼻腔炎、それの炎症が長期化してしまったものを慢性副鼻腔炎、「ちくのう症」と言います。
ちくのう症は代表的な症状に鼻水や鼻づまりが挙げられ、黄色や緑がかった粘着性のある鼻水が特徴的です。しかし、それらの症状が出ているにもかかわらず、花粉症などによる「アレルギー性鼻炎」だと思い込んで診療を受けていない人も多いのです。
<ちくのう症と花粉症の症状の違い>
目のかゆみ | くしゃみ | 鼻水 | |
---|---|---|---|
ちくのう症 | なし | なし | 黄色や緑がかったネバネバした鼻水が鼻の奥にへばりつき、のどへ流れ落ちる(後鼻漏) |
花粉症 | ある場合も | あり | 無色透明のサラサラとした鼻水が前にがタラタラ垂れてくる |
さらにちくのう症の場合、副鼻腔の炎症で鼻の粘膜が腫れて鼻茸(はなたけ)というポリープができるケースもみられ、鼻茸が鼻の通りをさらに悪くしてしまうこともあります。
ちくのう症の症状
ちくのう症になると鼻づまりを始め、たくさんの不快な症状が現れます。
以下の症状がみられる人はちくのう症かもしれません。
- 鼻が詰まって息苦しい
- 鼻をかんでもかんでも鼻水がでる
- ドロッとした黄色や緑色の鼻水がでる
- 両頬や目の周囲など副鼻腔のある場所が痛んで重く感じる
- 鼻水がのどまで垂れてネバネバとして不快に感じる
- 鼻づまりで嗅覚が鈍り、食事の味が分かりにくくなる
- 鼻の中からイヤなにおいを感じる
- 頭痛
油断できない合併症
ちくのう症はただの鼻詰まり、と油断できません。副鼻腔は顔の中心に位置し脳や目、耳などの重要な器官に近いため、副鼻腔の炎症が下記のような合併症を引き起こすこともあり、稀ではありますが、命にかかわる重篤な症状につながることもあります。
- 中耳炎…耳と鼻は耳管でつながっているため、副鼻腔で増えた細菌が耳管にも伝わり、炎症を起こしてしまいます。
- 眼の合併症…目の痛みや疲れなどを引き起こします。
- 脳の合併症…脳膿症や髄膜炎などが起こり、意識障害や麻痺といった症状が見られます。重い後遺症がのこり、命にかかわる危険も。
ちくのう症になる主な原因
主に風邪、花粉症からくるアレルギー性鼻炎や、鼻の形が原因と考えられています。
風邪
鼻の粘膜の炎症が副鼻腔にまで広がり、ちくのう症になることがあります。
花粉症やカビによるアレルギー症状
風邪と同じように鼻の粘膜の炎症が副鼻腔にまで広がりちくのう症に。花粉だけでなくホコリやペットなどのハウスダストも原因になります。
鼻の形
鼻の真ん中を通り、左右を分ける仕切りのような鼻中隔。これが極端に曲がってしまうと、片方の鼻の通りが悪くなり、副鼻腔が炎症を起こしやすくなります。
他にも虫歯や偏った食生活、ストレス、顔面のケガが原因となることもあります。
ちくのう症の診断と治療方法
ちくのう症状は早期治療が大切です。診断と治療は決して難しいものではありませんので、黄色や緑がかった粘り気のある鼻水が出るなど、鼻に異変を感じたら自己診断せずに早めに受診しましょう。
ちくのう症の診断
レントゲンもしくはCTで頭部を撮影して診断します。
本来、空洞であるはずの副鼻腔は黒く写りますが、炎症を起こしていると白く写ることからちくのう症の可能性が高くなります。
ちくのう症の治療
抗生剤を中心とした投薬治療を行います。ちくのう症の治療には数週間~数ヶ月の時間がかかることがありますので、根気強く治療を続けることが大切です。ネブライザーという吸入治療や、鼻の洗浄を通院治療で行うことも有効です。
ただし鼻茸を伴うような重症の場合や、投薬治療を続けても改善しない場合は、手術が必要になります。手術は、鼻の中から内視鏡を使って行います。
ちくのう症の予防法
ちくのう症にならないようにするためには、風邪やアレルギー症状などで鼻炎を悪化させないことが重要です。鼻うがいで鼻粘膜を清潔に保ち、鼻はすすらずに鼻水はかんで体外へ出すようにして、なるべく鼻通りをよくしましょう。
さらに、ちくのう症は栄養状態が悪い戦後に多く見られたことから、免疫力を高める栄養バランスのとれた食事を心がけることも大切です。
免疫力を高める健康レシピ
監修:やまだ耳鼻咽喉科 院長・山田浩二先生
日本耳鼻咽喉科学会認定医。大阪市立大学医学部附属病院、大阪市立総合医療センターでの勤務医時代には、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の手術を数多く担当。2007年にやまだ耳鼻咽喉科を開業し、アレルギー性鼻炎・中耳炎・副鼻腔炎などの診察を行っている
やまだ耳鼻咽喉科
大阪市平野区喜連東1-8-46
TEL:06-4302-3387 公式サイト: http://www.yamada-jibika.com
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。