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梅雨に大繁殖!住まいのダニ対策

ダニがアレルギーの原因に!

むかしながらの日本家屋と異なり、高断熱・高気密の住宅が増えた現代。密閉性が保たれる一方、高温多湿を好むダニには最適な環境となり、ダニによるアレルギー疾患を訴える方も増加しています。
ジメジメとした梅雨を迎えるこれからの季節、住空間を清潔に保ち、家の中のダニを退治しましょう!

吹角隆之 先生

監修:ふくずみアレルギー科/院長・医学博士

信州大学医学部卒業。大阪大学大学院博士課程修了。その後、大阪大学病院の皮膚科に入局。平成2~14年、大阪府立羽曳野病院(現 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)にてアトピー性皮膚炎を中心としたアレルギー性皮膚疾患、食物アレルギー、化学物質過敏症の治療に注力する。平成15年、ふくずみアレルギー科を開院。患者の生活環境や食生活などからアレルギー原因をつきとめ、治療に当たっている。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定専門医。

ふくずみアレルギー科
大阪市中央区谷町1-5-6 サンユー天満橋ビル4F
電話番号:06-6940-2702

 ふくずみアレルギー科

かつて、日本の住環境はすきま風が入るなど、通気性に優れていました。また、高い床下や畳、障子、ふすま、漆喰の壁など調湿性にも優れており、冬も現代に比べると寒かったものです。それに比べ、現在は密封性に優れていますが、セメントに化学畳、塩ビの壁紙、クッションフロアなど、調湿作用のほとんどない建材が使われています。人間が快適に過ごせるようになった一方で、それはダニにとっても一年中、一定湿度の保たれた高湿度の心地のいい環境を生み出すことになってしまっているのです。アレルギーの原因は食べ物、花粉、化学物質などさまざまですが、ダニも原因の1つです。部屋に置いてあるものを見直すだけでも、家の中からダニを減らすことができますので、住環境をこの機会に見直してみてください。

住まいに生息するダニ

“ダニ”とひと言で言っても、その種類は実にさまざまです。これまでわかっているだけでも、その数はなんと20,000種類!その中でも人間の生活に直接関わりがあるのは、次のような種類です。

ダニの種類 大きさ 生息場所 発生時期 特徴
チリダニ 0.1~0.4mm 布団やベッド、じゅうたん、たたみ、ソファー 一年中
(梅雨から夏に活発化)
人の体から落ちた、垢、皮膚のかけら、フケなどをエサにして繁殖します。人間を咬んで攻撃してくることはありません。
ツメダニ 0.3~1.0mm チリダニの近く 梅雨から秋 人間を噛むダニですが、体液を吸い、吸血はしません。チリダニをエサとしているので、チリダニが発生する場所に多く生息しています。
イエダニ 0.6~0.7mm ねずみの体 春から秋 ねずみに寄生するダニですが、大量発生すると人間の血を吸うこともあります。
コナダニ 0.3~0.4mm 粉類 梅雨から秋 特に梅雨時に発生しやすく、爆発的に繁殖するダニ。小麦粉やミックス粉などに発生して、誤って摂取するとアレルギー症状を引き起こすことがあります。
マダニ 2~4mm 山や草むら 夏から秋 人間やイヌ、ネコなどの哺乳類に取り付いて吸血します。吸血時には膨らんで1cmにもなることがあります。咬まれた人がSFTSという感染症にかかり死亡する事例も報告されています。
ヒゼンダニ 0.2~0.4mm 人間の皮膚の奥深く 一年中
(梅雨から夏に活発化)
皮膚に寄生すると、強いかゆみが生じ「疥癬(かいせん)」という疾患になります。

この中で、私たち人間の生活に最も関係のあるのは「チリダニ」です。
チリダニには「コナヒョウヒダニ」と「ヤケヒョウヒダニ」の2種類があり、その死がいや糞が原因でさまざまなアレルギー症状が引き起こされます。
どちらも高湿度の環境を好む傾向にあり、人間の暮らす家に多く見られるダニです。

チリダニが増えると、それらをエサとするツメダニも増加する傾向があります。
ツメダニは特にコンクリート造りや密閉性の高い家屋で多く見られ、人間に対しては吸血はしませんが、人を刺して体液を吸うことがあります。ツメダニに刺されてから1~2日すると、赤く腫れてかゆみが生じます。そのかゆみは1週間ほど続き、刺された痕はしばらく残ります。

ダニは「ハウスダスト」の主な原因のひとつ!

アレルギー症状を引き起こす原因としてよく耳にする「ハウスダスト」。
これは家の中に溜まるチリやホコリのことを言い、その中にはダニや人間のフケや垢、髪の毛、ペットの毛、食べ物のカスなどが含まれています。人間が動くたびに空気中に舞い上がるハウスダストを、知らないうちに鼻や口などから吸収することで、さまざまなアレルギー症状が引き起こされます。

ダニが原因のアレルギー

ダニそのものでなく、その死がいや糞がアレルギーの原因となります。
「ダニだけによって引き起こされるわけでなく、食べ物や化学物質などでも同様のアレルギー症状が見られます。花粉症と同じように、アレルギーへの耐性が低いとアレルギー症状を起こしやすく、特にアトピー性皮膚炎の患者さんにダニアレルギー体質であることが多いです。おもに目や鼻、皮膚、呼吸器に次の症状が現われます。 」(吹角先生)

アレルギー性鼻炎、結膜炎

目や鼻に起こるアレルギー症状。目のかゆみ、鼻づまり、くしゃみなどの症状が現われます。


かゆみ、アトピー性皮膚炎

ダニの死がいや糞から出るアレルギー物質がバリア機能の低下した皮膚から侵入し、炎症を起こします。これにより、ドライスキンや発疹、かゆみなどのアトピーの症状が起こります。


気管支喘息

口や鼻から吸い込んだダニの死がいや糞により、呼吸器にアレルギー症状が起こります。

ダニ豆知識 顔にも生息する「ダニ」

顔の広範囲に赤みが出たり、ニキビが治りにくかったり、顔にかゆみがあることはないですか?これらは顔の皮膚の中に住む、「ニキビダニ」が関係していることがあります。
「顔ダニ」や「毛包虫」などとも呼ばれるニキビダニは、肌の皮脂をエサにして生息しており、大人であれば誰の肌にも存在していると考えられていて、皮膚の清潔を保つために必要な存在だとも言われています。
しかし、ニキビダニが増殖してしまうとニキビの治りが悪くなったり、皮膚に赤みが出たり、かゆみを伴うことがあるのです。ニキビダニの増殖は皮脂が多い証拠でもあります。常日頃から洗顔を丁寧に行い、肌を清潔に保つことが大切です。

梅雨に大繁殖!住まいのダニ対策

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