春と秋に急増!有害物質「PM2.5」から身を守る!
PM2.5の健康被害
健康とくらし
2014年02月06日掲載
花粉症を始め、アレルギーに悩む人が多い現代。
日本人の3人に1人は何かしらのアレルギーを持っているとも言われています。
そんな中、最近テレビなどでよく耳にする、中国大陸から飛来する有害物質「PM2.5(微小粒子状物質)」。その量は春や秋に増加する傾向があるため、アレルギー症状をさらに悪化させてしまう危険性があります。
アレルギーを重症化させないためにも、また健康被害を受けないためにも「PM2.5」対策を行い、脅威を未然に防ぎましょう!
後藤浩之先生
監修:ごとう内科クリニック 院長
1991年に高知大学医学部卒業し、大阪大学医学部第3内科に入局。その後、日生病院、大阪府立成人病センター、関西労災病院に勤務し、呼吸器やアレルギー疾患の診察を行う。2008年にごとう内科クリニックを開設。
日本呼吸器学会呼吸器内科専門医
ごとう内科クリニック
大阪市都島区善源寺町2-2-22 善源寺メディカルモール2F TEL 06-6924-8868
メディアでの「PM2.5」の報道が加熱し、脅威に思われている方も多いと思いますが、必要以上に怖がることはありません。正しい知識を身に付け、日常生活のできる範囲で「PM2.5」に注意することが大切です。ただし、「PM2.5」は花粉症やぜんそくなどの持病がある方は症状が悪化する可能性もあり、風邪でもないのに2週間以上せきが続くなど気管支に異常を感じたら、迷わずにお医者さんへかかってください。
目に見えない有害粒子「PM2.5」
「PM2.5」は微小粒子状物質とも呼ばれ、自動車の排気ガスや石炭の可燃により発生する煙などに含まれる微粒子の総称で、経済発展の著しい中国大陸から飛来する大気汚染源です。
そのなかには硫酸塩、硝酸塩、有機化合物など、からだに有害な物質が多く含まれています。そのサイズは2.5μm(マイクロメートル)以下で、髪の毛の太さの1/30程度。スギ花粉よりも粒子が小さく、目視ができないので不安視されています。
特に春になると、有害な化学物質を含んだ黄砂と共に日本に飛来、さらに花粉の時期ということもあり、アレルギー症状をさらに悪化させる原因となることもあります。
「PM2.5」がまねく健康被害
鼻から吸い込まれた空気中の微小粒子は10μm以上であれば、気管支や肺に到達することはありませんが、PM2.5は10μm以下のため奥まで侵入しやすく、呼吸器系や循環器系への影響が心配されています。
世界保健機関(WHO)でもPM2.5を含む大気汚染物質の発がんリスクを、5段階ある危険度のうち、最上位に分類。さらに、大気汚染が原因の肺がんで2010年には全世界で22万3000人が死亡したとのデータを示すなど、警鐘を鳴らしています。
「PM2.5」が人間のからだに及ぼす健康被害には以下のものがあります。
鼻水や目のかゆみなどのアレルギー
目や鼻の粘膜にPM2.5に含まれるディーゼル粒子などの有害物質が付着し、炎症が起きます。さらに、花粉などのアレルゲン物質も入り込むと、その症状は悪化する可能性も。
気管支炎やぜんそくなどの呼吸器系疾患
PM2.5は肺や気管支に付着しやすく、四日市ぜんそくなどの公害病と同じくディーゼル粒子を含むため炎症を起こし、気道が狭窄することで気管支炎やぜんそくの悪化につながってしまいます。
心筋梗塞などの心疾患
肺胞に入り込んだPM2.5が血流に乗り、他の臓器に到達してしまう可能性も。PM2.5に含まれる有害物質には血の凝固を促す働きがあり、心筋梗塞などの心疾患の発症も危惧されています。
皮膚疾患
PM2.5は粒子が細かいため、しっかり洗い流さないと皮膚に沈着してしまい、毛穴に炎症を起こしてしまいます。そのため、じんましんや肌荒れの原因になります。
肺がん
PM2.5の主成分の1つである硫酸塩などが化学反応を起こし、アスベストと同じ最高レベルの発がん性物質に変化。それを吸い込むと、肺が炎症を起こし、肺がん発症のリスクが高まってしまいます。
春と秋に急増!有害物質「PM2.5」から身を守る!
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