乱視の症状と原因を解説!スマホの影響と矯正方法は?
健康とくらし
2022年01月20日掲載
「夜になるとモノが二重に見える」「通常のコンタクトレンズだと、視界がにじんで見える」。そんなお悩みのある方は、もしかすると乱視の傾向があるのかもしれません。乱視をそのままにしていると、見えづらくて不便なだけでなく、目の疲れやドライアイを悪化させてしまう恐れがあるため、乱視用メガネやコンタクトレンズを適切に使うことが大事です。今回は、乱視の症状や原因・乱視の矯正方法などについて、眼科医の野﨑真世先生に教えていただきました。
野﨑 真世
医療法人涼悠会・梅北眼科医
医療法人涼悠会・梅北眼科の眼科医師。眼科一般診療をはじめ、白内障や緑内障などの定期検査・網膜裂孔や糖尿病網膜症に対するレーザー治療・眼鏡やコンタクトレンズ処方、さらに一部形成外科手術などを行う。子供の治療にも力を入れており、近視進行予防についての提案もしている。
乱視とはどのような症状?
乱視とは
乱視は、目の屈折異常のひとつです。角膜や水晶体のゆがみによって、目に入る光が網膜上で一点に合わなくなり、モノが二重に見える状態を指します。
人間の目は、簡単に言うとカメラと似たような構造をしています。入ってきた光をレンズに相当する角膜と水晶体が屈折させて一点に集めることで、ピントを合わせ、像を見えるようにしているのです。
通常、角膜や水晶体の表面はきれいな球体になっています。しかし、生まれつきの形状異常や目のケガ・病気などが原因で角膜や水晶体の表面がラグビーボールのような楕円形になっていると、焦点がうまく合わず、像が二重に見えてしまいます。これが乱視です。また、水晶体に何かしらの濁りがある場合にも焦点が合いづらくなり、同じ見え方になります。
乱視の種類
乱視には、ふたつの種類があります。
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正乱視
生まれつきの角膜や水晶体の形状異常によって起きる乱視 -
不正乱視
目のケガや病気(角膜の傷・形状の異常・水晶体混濁など)が原因で起きる乱視
これって乱視?乱視のセルフチェック
乱視の方に現れやすい症状
以下のような症状がある方は、乱視の可能性があります。ただし、下記の中には、ドライアイが原因で起きる症状や、結膜炎や白内障で現れる症状もあります。乱視だけに見られる症状というのは少ないため、「この症状が出ていれば乱視です」と断言することはできません。
- モノが滲んで見える
- モノが二重に見える
- まぶしさを感じやすい
- 夜景が滲んだり、月が二重に見えたりする
- 細かい文字が見えにくい
- まばたきをするたびに視界がブレる
- 暗くなると目が疲れやすく、症状が出やすくなる
- よく見えるときと見えないときの差がある
ドライアイと乱視が混同されることもある
前述したように、ドライアイがひどい方も乱視のような症状が出ることがあります。こういった場合、角膜や水晶体に歪みはなくても、機械で計測すると乱視が強く出ます。乱視なのかドライアイなのかを自分で判断するのは難しいと思いますので、気になる症状があれば眼科で相談してみましょう。
乱視の原因は?
乱視の原因は以下と考えられます。
生まれつき
通常、角膜や水晶体は球体で自然なカーブを保っていますが、生まれつき角膜や水晶体が歪んでいる方もいます。前述した「正乱視」がこれに当たります。
角膜のケガや角膜の疾患
角膜のケガや角膜や水晶体の疾患などによって、角膜の表面がデコボコに波打ち、乱視の症状が現れることがあります。前述した「不正乱視」がこれに当たります。
目を押し付ける動作をよくしていると、乱視になることも
「うつ伏せ寝」や「目をこする」といった目を押し付ける動作をよくしていると、乱視になることがあります。
加齢によって乱視になることはある?
乱視は、あくまでも角膜や水晶体の形状の問題です。加齢によって、これらの形状が変化することは通常ありません。ただし、加齢とともに水晶体に濁りが出て、その濁りによって乱視の症状が現れることはあります。
近視・遠視だと乱視になりやすい?
前述したように、乱視は角膜や水晶体の形状の問題です。「近視だから乱視になりやすい」「遠視だから乱視になりやすい」ということはありません。
スマホの見過ぎは乱視の原因になる?
「スマホの見過ぎで乱視になる」ということは通常ありません。ただし、暗いところでスマホを見たり、長時間見続けていたりすると、目のピントを合わせる毛様体筋が疲弊し、眼精疲労やドライアイを招きやすくなります。その結果、「視界がにじむ・モノがだぶって見える」といった「乱視のような症状」が現れることはあります。
乱視を放っておくとどうなるの?
「乱視なのに近視用の眼鏡やコンタクトを使ったままでいる」といったように、乱視を放っておくと見えにくいので不便です。また、無理にピントを合わせようとするため、目が疲れやすくなったりドライアイがひどくなったりします。頭痛や肩こりが生じることもあります。なお、ドライアイや疲れ目にお悩みの方はこちらの記事もチェックしてみてください。
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乱視の矯正方法
「モノが滲んで見える、二重に見える」といった症状にお悩みの方は、一度眼科で検査を受けてみましょう。もし乱視であれば、適切な矯正をすることをおすすめします。乱視の矯正方法は以下となります。
正乱視の場合
乱視によって見えづらくて困っている場合は、乱視用のメガネやコンタクトレンズを装用します。角膜のカーブに対して逆方向のカーブをつくるレンズを使い、目のカーブを相殺する方法です。矯正の仕方が適切にできていないと効果を得られず、また目の疲れや不快感につながるので、眼科で検査を受けた上で適切なレンズを処方してもらいましょう。
なお、乱視用のコンタクトレンズというと、昔はハードレンズばかりでした。乱視の方の中には、「自分はハードレンズしか使えない」と思っている方も多いと思います。ですが今のソフトレンズは進化しており、乱視の方でも使えるものがたくさんあります。「ハードレンズを使っているけれど、ソフトレンズを使ってみたい」という方は、一度眼科で相談してみると良いでしょう。
不正乱視の場合
不正乱視の場合は、角膜表面が均一でないことが多いため、ハードコンタクトレンズを使って矯正するのが一般的です。ハードレンズは硬いため、目の緊張をしっかり抑え込んで球面でモノを見るように矯正することが可能なのです。ただし角膜表面に傷がある場合、コンタクレンズの装用を控える必要があります。かかりつけの眼科医と相談のうえ、適切な治療方法を探ってみてください。
まとめ
乱視の疑いがある方は、一度眼科に行って検査をしてみましょう。コンタクトレンズやメガネを乱視の矯正用のものに変えるだけで、見え方が変わってとても楽になるはずです。
また、最近では「乱視かもしれない」と眼科を受診したものの、実際に検査をしたら「乱視ではなくドライアイだった」という方も多くいます。自分で正しい判断をするのは難しいと思いますので、気になる症状がある方は一度眼科で相談してみることをおすすめします。
医療法人涼悠会・梅北眼科医 野﨑 真世
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