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放置しているとガン化する場合も・・・知れば怖くない「痔」のはなし

痔にはどんな種類がある?

痔にはどんな種類がある?

痔は大きく分けて3つの種類に分けられます。どんな症状なのか知っておきましょう。

【痔核(イボ痔)】

痔核(じかく)は俗にイボ痔と呼ばれるものですが、このイボは皮膚にできる“イボ”とは別のもので、静脈の血管がふくらんでできた静脈瘤です。イボが小さいうちは気付くことはなく、腫れないかぎり痛みはありませんが、自然に治ることもありません。

「私は痔核の原因は直腸性便秘だと考えています。肛門に便が長時間貯留していると、肛門に負担がかかりうっ血して腫れて、その腫れがひかなくなるとイボになるんです」。
肛門の中にできる痔核を内痔核、外側やふちにできる痔核を外痔核とよび、痔核が外に飛び出すことを脱肛(だっこう)といいます。脱肛の程度によって、治療方針が決まってきます。

内痔核の進行度

痔核が脱出しない。出血するが痛みはない

いきむと痔核が脱出するが自然に戻る。出血や痛みあり

いきんだり、おなかに力を入れたりすると容易に脱出する。手で戻さないと戻らない

常に脱出していて戻すことは不可能

医学的にはIII度以上が手術適応となりますが、「治療方針は施設によって異なる」とのこと。
「当院では患者さんが困っていないようなら、そのまま様子を見ます。イボは静脈瘤なのでいつ出血してもおかしくはないのですが、癌に変わるというようなことはないので治さなくても死にません。痔とうまくつきあう方法もあると思いますね」。

<治療方法>

痔核の手術は施設によりますが日帰りで行なうこともできます。(手術時間は施設により異なります) 術後の通院も施設や医師によって異なり、毎日通院するスタイルの施設もあれば、1~2週間に1回の通院でOKという施設もあります。一般的には手術後は飲酒や自転車に乗ることが禁止となります。
最近は痔核に直接注射薬を打つ治療法もありますが、副作用や合併症、後遺症が残ることもあるためリスクをきちんと把握した上で、注射療法の得意な肛門を専門とする医師にお願いすると安心です。

【裂肛(切れ痔)】

肛門が切れたり裂けたりした状態のこと。固い便が通ることによって切れることがほとんどです。小さな傷であれば自然と治ることも多いですが、繰り返し同じ箇所を切ると傷が慢性化していきます。するとその傷の部分に便が入り込んで炎症を起こし、肛門ポリープや見張りイボとよばれるイボ状の突起物などができることも。肛門ポリープや見張りイボ自体に痛みはありませんが、イボ痔とは異なり固さがあるため排便時に裂けて出血する場合があります。さらに傷が潰瘍となり筋肉まで炎症を起こすと、肛門狭窄症という症状になり、肛門が狭くなってしまいます。

<治療方法>

できたての裂肛であれば軟膏や座薬で治りますが、肛門狭窄症になると手術が必要になります。
「裂肛は便秘を治さないと根本的な治療にはなりません。癌によって肛門から出血することもありますから、血が出たなと思ったら早めに病院へ行きましょう」。

【痔ろう(あな痔)】

痔核や裂肛は便秘の人に多い痔ですが、痔ろうは下痢気味の人に多い病気です。
免疫力や抵抗力が落ちているときに、肛門と直腸の境目にあるくぼみに下痢便が入り込み感染が起こると化膿します。膿のたまった状態は肛門周囲膿瘍とよばれ、痔ろうの前駆段階。膿は組織の弱い方向に広がり、膿の通り道ができた状態を痔ろうとよびます。肛門周囲膿瘍は痛みを伴いますが、自然に破れたり切開することによって膿をだしてしまえば楽になります。しかし膿の通り道がなくなるわけではないので、膿はいつまでも出続けたり、一見治ったように見えてもまた繰り返すことになります。

<治療方法>

痔ろうは手術が必要となります。
「膿がでてしまうと楽になるので放置する人がいますが、放置し続けると痔ろう癌になることも。お休みがとれる時期に早めに手術をしたほうがいいでしょう」。

上記3つ以外のおしりの病気

【血栓性外痔核】

痔核と書きますが、イボ痔ではありません。肛門にある静脈に血栓(血豆)ができ腫れあがる病気で、できると2~3日は非常に痛みますが、血栓は次第に溶けて行くため腫れも引き、痛みも収まります。手術の必要はありませんが、放っておくと何度も再発する場合もあるので生活習慣の改善が必要です。

【肛門そう痒症(こうもんそうようしょう)】

肛門がかゆい病気の総称です。かゆみの原因は直腸性便秘で、便の刺激でかゆみが引き起こされます。かゆいからといって掻くとそれが原因で湿疹ができ、皮膚がさらにぼろぼろになっていくという悪循環に。症状がひどい場合はステロイド外用剤を使います。便通を直さなければ根本的に治らないです。

【尖圭コンジローマ】

ウイルスが原因の病気で、主に性行為で感染しますが、公衆トイレの温水便座や公衆浴場などで感染することも考えられるとか。肛門の周りが小さなイボ状のものができ、かゆみを伴うこともあります。治療は手術や軟膏治療があります。

放置しているとガン化する場合も・・・知れば怖くない「痔」のはなし

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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