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その症状、うつになる前に!五月病対策

新社会人や人事異動などで新しい環境に身を置き、疲れが出始める5月に多く見られる「五月病」。
その症状と予防・対処法を知って、体も心も健やかな毎日を過ごしましょう。

五月病ってなに?

五月病ってなに?

「五月病」とは、おもにゴールデンウィーク明けごろから陥る、倦怠感や虚脱感などをともなう体と心の一時不調を示す俗語です。医学的な分類でいえば適応障害や、軽度のうつに該当する場合もあります。この症状は決して5月に限って起こるものではありません。
人は不慣れな環境や、人事異動にともなう周囲の変化など、緊張状態が続く環境に身を置くと徐々にストレスが蓄積していきます。また、持続的で心理的負荷の高い環境では、メンタル不調が起こりやすくなり、その際に本人が仕事を抱え込んでいたりすると、不調の自覚に乏しくなるケースもあります。
このようなことから、体と心の疲れにより、朝起きられなくなったり、出勤・登校が億劫などの症状が現れてきます。
かつては、五月病は若い新入社員・新社会人などに多く見られ、新しい環境に慣れ始める夏ごろになると自然とその症状はなくなっていくのが通例でした。しかし現在では新社会人だけでなく、部署移動や転職などで新しい環境に置かれた中高年にも増加しています。つまり、ストレス社会の現代に生きる以上、五月病になる可能性は誰にでもあると言えるのです。さらに、五月病から「うつ病」になることもあるので、注意が必要です。

こんな体と心の不調がある場合は要注意! 

次のチェックリストで思い当たるふしがある人は、五月病になっているかもしれません。
気になる症状がある時は、メンタルクリニックなどの診察を受けることをおすすめします。

  • 朝早く目が覚めても、布団の中から出るのがつらい
  • 食欲が湧かない
  • ヒゲ剃り、化粧を怠るなど身だしなみを整えるのが億劫になってきた
  • 「自分はダメだ…」など、マイナス思考に陥りやすい
  • 会社や学校が近づくにつれて、動悸や腹痛など体調不良が出る
  • 仕事の作業効率が悪くなったり、ミスが増えた
  • 人と会うのが億劫に感じる
  • 夜はなかなか寝付けない
  • イライラしたり、焦ったりしやすくなった
  • 頭痛や肩こり、めまいが起こりやすくなった

五月病と心の関係

進学、就職、配置転換などの新しい環境に適応しようとして、最初は頑張っていた人が、次第に心身ともに疲労し、エネルギーが持続しなくなり、やる気が起こらなくなることがあります。また、受験や入社など目指していた目標に到達できたことで、新生活で次の目標を見いだせず、無気力状態に陥ってしまうことがあります。

五月病はこのように環境変化と大きく関わっています。そのような環境変化が、“幸せホルモン”とも呼ばれ、ストレスの軽減に役立つ脳内の神経伝達物質セロトニンの分泌を不足させ、その結果、感情を上手くコントロールできなくなったり、憂うつな気分になりやすくなります。
この他にも、連休中の不規則な食事や夜更かしによる体内リズムの変化から、セロトニンの分泌が鈍くなってしまうことが原因となることも。
やる気はあっても体と心が付いていかず、やる気がなさそうに見えるその姿に、周囲からは「怠けているだけ」「気合いが足りない」などと見られ、五月病の人は自分自身にさらにプレッシャーをかけ、症状を悪化させてしまうこともあります。これらのような状態が改善されず、1カ月以上続くと、うつ病につながることもあります。

こんな人が五月病からうつ病に発展しやすい!

  • 真面目
  • 几帳面
  • おとなしい性格
  • 完璧主義
  • 責任感が強い
  • 感情を表に出すのが苦手 など

これらに当てはまる人すべてが、五月病からうつ病に発展しやすいというわけではありません。
五月病の大きな原因は疲労やストレスと言われています。そのため、ストレスに耐性のある人は五月病やうつになりにくいと考えられています。

五月病からうつ病にならないために…対処と予防

五月病はちょっとした心がけで、症状の改善や予防をすることができます。一番は五月病の原因であるストレスの解消や、疲労回復を心がけること。もし「五月病かな」と思ったら、次のようなことを心がけてみましょう。下記の対処法は症状の改善だけでなく、予防にもなります。

  • 完璧主義をやめる
    何事も一生懸命にやるのはとても素晴らしいことですが、「完璧にしないと」という気持ちが自分の思っている以上に心の負担となっていることがあります。上手くいかなくてもいい、失敗は成功の元と考えましょう。

  • 体を動かしてリフレッシュ
    ジョギングやウォーキング、水泳などの有酸素運動を行うことで、脳内のセロトニンの働きが活発になり、憂うつな気持ちも吹き飛ばしてくれます。

  • 読書など趣味に打ち込む
    自分の好きなことをすることで、脳内でセロトニンの分泌が活性化され、ストレスが和らぎます。

  • 新たな目標を決める
    普段からできる簡単な目標を定めて、実行しましょう。
    目標を達成する喜びと共に、自分に自信をとり戻すきっかけにもなります。

  • 悩みを抱え込まない
    悩みごとを自分で抱え込みすぎるのは、体に毒。家族や友達に、悩みを聞いてもらいアドバイスをもらうなど、心の荷物を少し下ろしてみましょう。

  • 規則正しい生活を心がける
    セロトニンの不足は連休中の「遅寝遅起き」も原因の一つです。セロトニンの分泌を促すためには、毎朝太陽の光を浴びるのが効果的です。休日もある程度決まった時間に起き、生活リズムを崩さないよう心がけましょう。

  • セロトニンを含む食品を摂取する
    セロトニン不足を補うため、バナナや乳製品、大豆製品などセロトニンを含んだ食べ物を摂取するといいでしょう。

セロトニン摂取におすすめの健康レシピ
米っこスコーン
米っこスコーン
鶏と大豆のさっぱり炒め
鶏と大豆のさっぱり炒め
さつまいもとオレンジのヨーグルトサラダ
さつまいもとオレンジのヨーグルトサラダ

上記の予防と対処法を試してみて、症状に改善が見られない場合は一人で悩まずに、メンタルクリニックのお医者さんに相談をしてみましょう。
また、周囲に五月病の疑いのある人がいる時は無理に励ましたり焦らさずに、話を聞いてあげるなどして、見守ってあげることが大切です。
五月病は「新生活に慣れれば治るでしょう」と病気を軽く見ずに、自分の体の声にしっかりと耳を傾けてあげることが重要です。

監修:心療内科・精神科 OMCIクリニック 院長・藤本 修先生

医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医など。1977年、大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院精神神経科、大阪府立病院などに勤務したのち、関西にある大学の医学部で教鞭をとる。2009年に、職場のメンタルヘルス支援事業や啓発活動を行う、一般社団法人おおさかメンタルヘルスケア研究所を設立。「職場のメンタルヘルス」(ミネルヴァ書房刊)や「精神科医はどのように話を聴くのか」(平凡社刊)、「メンタルヘルス」(中公新書刊)などの著書も多数


一般社団法人 おおさかメンタルヘルスケア研究所附属クリニック OMCIクリニック

〒541-0056 大阪市中央区久太郎町3丁目3-9(ORIX久太郎町ビル1F)
TEL:06-6251-0929  公式サイト: http://www.omci-clinic.com/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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