関西の専門医が語る ドクター's コラム
関節リウマチ 診断と治療法
病気・症状と予防
2013年04月01日掲載
関節リウマチの診断
近年、関節リウマチは早期発見、早期治療で進行を抑制し、改善できるようになりました。そのためにも次のような症状が現われたら早急に医療機関で診察を受けましょう。
○手のこわばり
起床時や長時間体を動かさずにいた後、関節がこわばり動かせない。手を握ろうとしても関節が曲がらず握りこぶしを作ることができない。
○手指第二関節の腫れ
第二関節の周りが腫れて膨らみ、時間差で左右の手指が同じ状態となる。左右の手を比べると判別しやすい。
○手指第三関節の腫れ
第三関節の周りが腫れて関節の凹凸がなくなり、丸みを帯びた状態となる。左右の手を比べると判別しやすい。
もっとも初期の症状である「こわばり」の状態が1カ月以上続く場合は、できればリウマチ専門医の診察を受けてください。
関節リウマチの治療法
関節リウマチの症状は発症から約2年で急速に悪化してしまうため、早期発見、早期治療がもっとも重要とされています。症状の進行は年齢や体質、生活環境によってさまざまですが、朝のこわばりや関節痛などの初期症状で治療を開始すればその後の進行を大きく抑制する事が可能と言われます。
関節リウマチの基本的な治療方法は「薬物療法」です。特に初期段階(米国リウマチ学会の治療指針では発症3カ月以内)の治療では、投薬によって関節の炎症を抑え、関節破壊の進行を防ぐ方法がとられ、その効果を見ながら患者個々にもっとも適した薬を絞り込んでいきます。
しかしこれらの治療薬で効果があまり得られない場合や、重度の進行による骨破壊などで日常生活に支障をきたす場合には「手術療法」がとられます。
また「リハビリテーション」による運動療法で、関節や筋肉の機能低下を防ぎ生活動作を高めることも重要な治療と言えます。
≪薬物療法≫
症状に対する効果によって抗炎症薬(NSAIDs)、抗リウマチ薬(DNARDs)、ステロイド、生物学的製剤など数段階の薬が用いられます。抗炎症薬は関節の腫れや痛みを和らげる効果がある即効性の薬ですが、炎症を根底から取り除くことはできません。抗リウマチ薬は原因といわれる免疫異常に作用し、病状の進行を抑える働きがあるもっとも使われる薬です。しかし効果が出るまでに半年ほどかかることもあるのが難点です。抗炎症薬や抗リウマチ薬で充分に進行を抑制できないときに使われるのがステロイドです。強力な反面、投薬を中止すると腫れや痛みが再発することと、感染症や糖尿病などを引き起こす恐れがあるため、連用には注意が必要です。そして最近使われるようになったのが生物学的製剤で、もっとも効果的とされています。これらの治療により、今では痛みがなくなり、関節破壊がほぼ抑え込まれ、「寛解(かんかい)」と呼ばれる日常生活を送れる状態にまで改善された元患者が増えています。その反面、生物学的製剤は薬代も高額で、副作用もあるため、使用には医師とよく相談してください。
≪手術療法≫
外科的な治療法としては、増殖した関節の滑膜を取り除く滑膜切除術や破壊された関節の機能を再建させる人工関節置換術、壊れた関節を固定して痛みをとる関節固定術、変形の進んだ足指の関節を切り取って矯正する関節切除術などがあります。人工膝関節で歩行可能になった例は多数あり、機能保持期間は15~20年くらいといわれています。しかし手術を受ければ一生症状が出ないわけではなく、人工関節の磨耗やゆるみなどのケアも必要となるため、整形外科医とよく相談することが大切です。
≪リハビリテーション≫
リハビリテーションには、運動によって関節や筋肉の機能を維持する「運動療法」や水や温水、超音波などを使い血液の循環を良くする「物理療法」、関節変形を予防、矯正、保護するための装具を使った「装具療法」などがあります。いずれのリハビリテーションも病状の進行を抑え、自立した日常生活を営むために重要な作業となるため、毎日少しずつでも続けられるようにすることが重要です。
関節リウマチになりにくいようにするには
関節の腫れと痛みは、免疫機能の異常により引き起こされていますので、免疫機能を低下させないように、以下のことが有効だとされています。
- ストレスを溜めない
- しっかりと睡眠をとる
- バランスの取れた食事を心がける
- 出産時のストレスにも注意する
- 喫煙を避ける
ドクター's コラム「関節リウマチ」
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