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血圧を下げる方法は?高血圧の予防改善に最適な食べ物・運動

一般的に、血圧は年齢とともに高くなる傾向にあり、高血圧になるリスクは年齢とともに上がっていきます。みなさんの中にも、ご自身やご家族の高血圧にお悩みの方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、高血圧のリスクや血圧を下げるための食事・生活・運動のほか、高血圧の予防方法などについて内科医の泉岡利於先生に教えていただきました。

泉岡利於

療法人社団宏久会 泉岡医院 院長

関西医科大学卒業後、済生会野江病院循環器内科、関西医大附属病院心臓血管病センター、門真市阪本蒼生病院内科を経て現職に。現在は大阪府内科医会の副会長と大阪市都島区医師会の会長を務める。

高血圧の基準と症状

高血圧の基準と症状

まずは、高血圧の基準や特徴的な症状について知っておきましょう。

高血圧の基準

診察室血圧(※1)の収縮期血圧/拡張期血圧の両方、あるいはどちらかが140mmHg/90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。しかし、130-139mmHg/80-89mmHgも正常高値血圧といわれ、注意が必要です。また診察室血圧だけでなく、家庭血圧(※2)を測ることも重要です。できれば一台血圧計を持って、定期的に測ってみることをおすすめします。家庭血圧が130-139mmHg/80-89mmHgの場合は、高血圧を疑ったほうが良いでしょう。

(※1)診察室血圧
病院やクリニックなどの診察室で測定した血圧
(※2)家庭血圧
家庭血圧計を利用して自宅で測定した血圧

自覚症状はほとんどない

高血圧に自覚症状はほとんどありません。そのため、気づかないうちに血圧が高くなっていて、健康診断や人間ドッグで初めて高血圧が判明する方が多いのです。まれに頭痛やめまい・肩こりなどが起きることもありますが、これらはほかの原因でもありうる症状のため、高血圧のせいとは言い切れません。高血圧の重症度と症状とは相関しないといわれているので注意が必要です。

冬は高血圧になりやすい

冬は高血圧になりやすい季節といわれています。その理由は、体が寒さにさらされると血管が収縮して血圧が上昇するからです。また、汗をかく量が減ること・運動量が減って脂肪がつきやすくなることなども、血圧上昇の誘因となると考えられます。

高血圧はどうして危ない?高血圧によって起こりうる症状・病気

高血圧はどうして危ない?高血圧によって起こりうる症状・病気

高血圧はなぜ「危険」だといわれているのでしょうか。その理由と、高血圧によって引き起こされる病気についてご紹介します。

血圧が高い状態が続くとどうなる?

血圧が高い状態が続くと常に血管に強い圧がかかるので、血管の壁が傷つき、次第に厚く・硬くなっていきます。これが動脈硬化と呼ばれる症状です。さらに進行するとさまざまな重篤な病気を招きます。

起こりやすくなる病気

高血圧は、以下のような重大疾患のリスクファクターとなります。

  • 脳血管障害(脳卒中・脳出血・脳梗塞・くも膜下出血など)
  • 心臓病(心筋梗塞・感情動脈硬化・狭心症・心肥大など)
  • 慢性腎臓病(腎不全・腎硬化症など)

血圧を下げる食習慣・食べ物は?

血圧を下げる食習慣・食べ物は?

高血圧を招く原因はさまざまですが、肥満は重要ファクターとされています。なお、肥満の程度を示すBMI(Body Mass Index)の計算方法は以下です。

【BMIの算出方法】
BMI値=体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]

  • BMI値19.8~24.2=正常範囲
  • BMI値24.2~26.4=過多体重
  • BMI値26.4以上=肥満

(※)BMI (Body Mass Index)
ボディマス指数とも呼ばれる。体重と身長から算出される肥満度を表す指数。

BMI値が過多体重以上の方は、血圧も高めの可能性があります。以下で紹介する方法で食生活を見直し、高血圧を予防・改善しましょう。

コレステロール・飽和脂肪酸の摂取を控える

コレステロールや飽和脂肪酸は、血圧の上昇を招きやすくさせます。コレステロールや飽和脂肪酸は、肉類の脂や乳製品など、動物性脂肪に多く含まれています。反対に、植物性の油や魚の脂に含まれている不飽和脂肪酸は、コレステロールを減らす働きがあるとされています。肉類よりも魚を積極的に食べることをおすすめします。また、バターやチーズなどの乳製品の摂り過ぎにも注意しましょう。

塩分の摂り過ぎを控える

減塩は高血圧の予防・改善に非常に有効な方法です。1日の塩分摂取量は6g未満に抑えましょう。実際に計測してみるとわかるかと思いますが、6gというのは思っている以上に少ない量です。特に現代の食生活では塩分過多になりがち。食事の際にかける塩やしょうゆの量はもちろん、料理に使う調味料の量もきちんと計るようにすることが大事です。外食やお惣菜・お弁当を利用するときも、塩分量を確認するようにしましょう。また、塩味を減らすかわりに、出汁やお酢・香辛料など食塩を含まないものを活用するのも上手な減塩のポイントです。

血圧の上昇を防ぐ食材

食物繊維やカリウムには、体内のナトリウムを排出し、血圧の上昇を防ぐ働きがあるといわれています。特に食物繊維には、悪玉コレステロールを低下させて善玉コレステロールを増やす働きや、コレステロールそのものを体外に排出する働きがあるとされています。ぜひ積極的にメニューに加えましょう。
カリウムは、果物や野菜・芋類に、食物繊維は野菜や海藻類・きのこ類・大豆製品などに豊富に含まれています。食物繊維と同様に血圧の上昇を抑える働きがあるため、高血圧の方は積極的に摂取してみてください。

血圧を下げる運動は?予防改善に有効な有酸素運動

血圧を下げる運動は?予防改善に有効な有酸素運動

肥満をともなう高血圧の改善に効果的なのは有酸素運動です。有酸素運動の概要や1回の運動時間、運動の強度についてご紹介します。

有酸素運動とは?

有酸素運動とは、体内に酸素を取り込み、糖質や体脂肪といったエネルギーを燃焼させる運動のことです。身体に大きな負担をかけることなく、軽~中等度の運動を長時間続けることができます。運動の種類には、ウォーキング・ジョギング・水泳などが含まれます。
有酸素運動の対になるのが、酸素の取り入れをともなわない運動・無酸素運動です。無酸素運動には短距離走や筋トレなどが含まれます。筋トレも筋力アップ・基礎代謝量のアップに効果的ですが、脂肪燃焼を第一に目指したい方には、有酸素運動の方がおすすめです。

有酸素運動はどの程度行えばよい?

有酸素運動をどのくらい行えばいいのかについては諸説あります。厚生労働省は、「1回30分以上の有酸素運動をほぼ毎日行うこと」を推奨しています。10分以上の運動を数回に分けて、1日合計30分以上でも問題ありません。なお、運動の種類は問わないため、ウォーキング・ジョギング・水泳などの中から好みのものを選ぶとよいでしょう。

有酸素運動の強度は?

運動の強度は、1分間に心拍数100~120程度が目安です。感覚としては「少し息があがる」「ややきつい」と感じる程度が良いとされています。強度を高めすぎると、かえって血圧を上昇させてしまうほか、身体への負担も大きくなります。有酸素運動は継続することが大切なため、無理なく長く続けられる程度の強度で行いましょう。

【運動時の注意点】
運動時間や強度はあくまで目安です。マスクを着用した状態で負荷が大きすぎると感じたら、時間・強度を減らして行ってください。

日常生活に取り入れたい!食べ物・運動以外の血圧を下げる方法

日常生活に取り入れたい!食べ物・運動以外の血圧を下げる方法

血圧を下げるには、食べ物や運動だけでなく生活習慣の改善に取り組むことも重要です。高血圧の予防にもつながるため、以下の方法をぜひ試してみてください。

タバコをやめる

タバコは、高血圧を招く一因とされています。また、高血圧だけでなく、動脈硬化やガンなどさまざまな疾患とも関連があります。タバコを吸っている方はぜひ禁煙を。自力で禁煙するのが難しい方は、禁煙外来を頼るのもひとつの方法です。
禁煙方法や禁煙外来について詳しく知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。

関連記事:やめたいのにやめられないタバコ...!禁煙外来専門医に聞く失敗しない禁煙方法

睡眠習慣の改善

睡眠習慣の改善も高血圧の予防・改善に有効です。特に注意すべきは寝不足です。寝不足になると交感神経が刺激され、血管が収縮して心拍が増加し、血圧の上昇につながります。厚生労働省によると、人間に必要な睡眠時間の目安は6~8時間とされています。これよりも短い方は、十分な睡眠時間を確保しましょう。
また、長く眠るだけでなく良質な睡眠をとることが大切です。睡眠の質を改善したいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。

関連記事:寝付けない・夜中に目が覚める。不眠症の原因と改善ポイント

深呼吸を行う

血圧が高い方は、呼吸が浅く回数も多い傾向があります。日常の中で気が付いたときに深呼吸を行い、浅く回数の多い呼吸を改善しましょう。深呼吸をすることで、血圧が下げるだけでなく、自律神経が整う、副交感神経が優位になるなどの効果が得られます。深呼吸をする際には腹式呼吸で行うとよりよいでしょう。

まとめ

決して他人事とはいえない高血圧。放っておくと、動脈硬化や脳卒中といった恐ろしい病気につながることもあります。健康診断で高血圧と診断された方や、日頃から食事バランスが良くない方・運動不足の方は、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。ただし、血圧は急激に下げれば良いというわけではありません。少しずつ・毎日続けていくことが大事です。まずは、ご自身にできることから始めてみてください。

医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長 泉岡利於

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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