海猫沢めろんインタビュー「自意識という病から脱け出して、ゆるく生きるために」
健康とくらし
2017年03月16日掲載
ホストやDTPデザイナーなど様々な職業を経験し、現在小説家として活躍する海猫沢めろんさん。
2014年に出版された『頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン』(大和書房)では、自由になることを望んで友人が自殺した経験から、生きにくさを抱えている人に「ゆるく自由に生きる」方法を提案、多くの反響を得ました。
今回はそんな海猫沢めろんさんに、心と体の健康について話をうかがいました。
「自意識という病」とは、ロシアの文豪ドストエフスキーによる小説『地下室の手記』に書かれたことばから。めろんさんは「自意識を外部に置き、自分以外のものに没頭することに、ゆるく生きるヒントがある」と語ります。
海猫沢めろん(うみねこざわ めろん)
1975年生まれ。大阪府出身。小説家・文筆業。さまざまな職業を体験した蓄積を生かし、小説やエッセイなどの分野で活躍中。近著に自身が最新テクノロジーを科学者に取材したルポ『明日、機械がヒトになる ルポ最新科学』(講談社現代新書)、小説『夏の方舟』(角川書店)などがある
健康のためにもスマホをやめました
――今、めろんさんご自身は健康に気を配られていますか?
僕は去年、42歳で本厄だったんですが、本当にいろんなことが起きて。まず、熊本に引っ越して3日後に地震(注1)が起きたんですね。夏に突発性難聴になって、冬に頻尿に悩まされて。12月にはドアを開けて出ようと思ったら、ドアに耳のピアスがひっかかって耳から出血して七針縫う。ホント、こんな続くとは(笑)。厄年って運がどうこうではなくて、きっと体が衰えてきているんでしょうね。体の健康がくずれると、メンタルも不安定になってくる。心と体が相互に関係していることをすごく感じましたね。
注1:2016年4月14日以降に発生した熊本地震
――熊本に移動されたことは、心と体の健康に影響していると思いますか?
引越しは「死別」「離婚」に次ぐ人生三大ストレスとも言いますし、地震や難聴や耳のケガもあったので、あまり良い影響はなかったかもしれません(笑)。引越しは色々な手続きをする必要もありますし、ストレスフルなものです。ただ、いっぽうで何かをリセットする、いいきっかけでもある。僕は28歳のときに小説家としてデビューしたのですが、当時はお金がなくて30歳前後で落ち着くまではホームレス同然の生活をしていました。常にどこかに移動するような。そうすると、軽トラック一台におさまるくらいの荷物しか持たなくなったんですね。そういう風に、ものから解放されるというのはストレスから逃れるにはいいのかもしれません。
――そういえば、スマートフォンを持たない生活をされているんですよね?mineoの会社としては、少し複雑ですが……。
僕はいわゆるガラケーですけど、家族はmineoを使わせてもらってますよ(笑)。テザリングでPCをネットにつなぐときなどに家族から借りて、熊本に移るときは重宝しました。ただ、スマホってなんでもできてしまうんですよね。そうすると、時間も脳もそれにとらわれてしまう。スマホを持っているときのストレスはすごかったです。僕は情報ジャンキーなんです。スマホは無限に情報が出てくる板だから、持ってるとおかしくなるんですよね。スマホを脳につなげたいとすらと思っていましたから(笑)。起きている間は、常にスマホを触って、5つくらい同時にゲームやりつつ、Twitterやったり写真撮ったりあらゆることをしていて、眠れない、寝る時間がないんです。毎晩眠くなるぎりぎりまでやって、寝落ちするみたいな状態で、朝起きると目がつぶれそうに痛いし、頭も痛いんですよ。
――健康のためには、スマホとうまくつきあっていったほうがいいのかもしれないですね。
でも一般のサラリーマンの人はスマホをやめるという決断はできないと思います。会社勤めで、スマホを捨てるなんて、きっとできないですよね。デバイス自体を変えるのがいいのかもしれないですね。
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