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頭皮のかゆみはなぜ起こる?かゆみの原因と対策、皮膚科に行くべき症状

頭皮のかゆみにお悩みの方は多いのではないでしょうか。「毎日ちゃんとシャンプーをしているのにどうして?」と疑問に思っている方もいるかもしれませんね。
実は頭皮のかゆみの原因はさまざまで、日々のヘアケア習慣に原因があるケースもあれば、頭皮に疾患が起きているケースもあります。そこで今回は、長谷川佳子先生に、頭皮のかゆみの原因や考えられる病気、対処方法などについて教えていただきました。

長谷川佳子

【監修】LECINQ clinic院長

2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック勤務を経て、2020年ルサンククリニック診療部長就任。2021年 ルサンククリニック院長就任。所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

頭皮がかゆい……原因は?

頭皮がかゆい……原因は?

まずは頭皮のかゆみの原因を見ていきましょう。

●頭皮が乾燥している

顔や体の皮膚が乾燥しているとかゆくなるのと同じように、頭皮も乾燥しているとかゆみが出やすくなります。また、頭皮が乾燥している場合、白くパサパサしたフケが出ることもあります。

●頭皮の皮脂分泌が過剰になっている

乾燥とは反対に、頭皮の皮脂分泌が過剰になっている場合もかゆみが出やすくなります。頭皮の皮脂の過剰分泌の原因は、洗髪不足や頭皮のムレ・汗などさまざまです。かゆみだけでなく、ベタベタしたフケが出ることもあります。

●間違った洗髪方法

洗髪の仕方が適切でないことも、頭皮のかゆみを招く大きな原因です。
主に考えられるのが、シャンプーのしすぎ。シャンプーには界面活性剤が含まれているため、洗髪をしすぎると必要な皮脂まで洗い流されてしまい、頭皮が乾燥します。1日に1回なら問題ありませんが、朝晩2回シャンプーをしているような方は注意が必要です。また、シャンプーをしっかり洗い流せていない場合も、かゆみの原因になることがあります。

●ヘアケアアイテムが自分に合っていない

自分の肌に合っていないシャンプーやコンディショナー・ヘアケア剤(ヘアオイルやスタイリング剤など)を使っていると、頭皮のかゆみが現れることがあります。特定の製品を使うたびにかゆみが出るという場合は、その製品に体質に合わない成分が含まれているのかもしれません。

頭皮のかゆみ、皮膚炎の可能性も?

頭皮のかゆみ、皮膚炎の可能性も?

頭皮にかゆみだけでなく、赤みや痛み・ぶつぶつなどが現れている場合は、頭皮湿疹の可能性があります。
頭皮湿疹には以下のような種類があります。

●接触性皮膚炎

接触性皮膚炎とは、いわゆる「かぶれ」のことです。頭皮に触れるさまざまな刺激(シャンプーやヘアケア剤・ヘアピンやヘアアクセサリーなどの金属製品・摩擦など)によって、頭皮に炎症が起こります。強い刺激を受けるほど炎症も強くなる傾向があり、かゆみだけでなく、赤みやぶつぶつ・水疱などが生じることもあります。

●脂漏(しろう)性湿疹

脂漏性湿疹は、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が増殖することで生じる皮膚疾患です。顔や頭皮など、皮脂の多い部位で起こります。頭皮の脂漏性湿疹の主な症状は、かゆみのほか、赤み・皮むけ・フケなどです。マラセチア菌は皮脂の分泌が盛んな場所で増殖するので、頭皮の皮脂が過剰に分泌されていたり髪を洗っていなかったりすると、脂漏性湿疹を招きやすくなります。

●皮脂欠乏性皮膚炎

皮脂欠乏性皮膚炎とは、皮脂不足によって生じる炎症のことを指します。全身性の疾患ですが頭皮に起きることもあり、かゆみやカサつき・フケなどを招きます。
皮脂欠乏性皮膚炎は、間違ったヘアケアや不規則な生活習慣などで起こりやすくなります。また、生まれつき皮脂の分泌が少ない人も、かかりやすいと言えます。

●アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎は体のどこにでも出る可能性があり、頭皮に症状が現れることも少なくありません。アトピー性皮膚炎の方の皮膚はバリア機能が低下しているので、ちょっとした刺激にも反応し、かゆみや赤みなどが出やすくなります。

頭皮のかゆみの対処方法

頭皮のかゆみの対処方法

頭皮がかゆいと感じる場合は、頭皮環境の改善が必要です。そこで大事なのがヘアケア方法の見直しです。

●自分にあったヘアケア剤を使う

シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア剤を見直してみましょう。シャンプーには保湿力の高いものから頭皮ケアができるさっぱりタイプまでいろいろあるので、自分に合いそうなものを試してみてください。最近は1回分の小分けパックになっているシャンプー&コンディショナーもたくさん売られているので、まずはそれで試してみるのも良いでしょう。

●正しい洗髪方法をする

正しい洗髪方法をすることで、頭皮環境が改善され、かゆみも出にくくなります。以下のポイントに気をつけてみてください。

・シャンプー前にお湯で予洗いする

いきなりシャンプーをつけて洗うのではなく、その前に2分程度かけて髪の毛と頭皮をお湯で洗い流しましょう。こうすることで汚れや皮脂がある程度落ちるので、少量のシャンプーでも十分に洗えるようになります。

・シャワーの温度を高くしすぎない

シャワーの温度が高すぎると頭皮の乾燥を招いてしまいます。「ちょっとぬるいかな」と感じる38度〜39度程度のお湯を使いましょう。

・シャンプーやコンディショナーはしっかり洗い流す

シャンプーやコンディショナーの成分が頭皮に残っていると、頭皮トラブルやかゆみを招きやすくなります。髪をかき分けながら、すすぎ残しがないよう頭皮までしっかり洗い流すようにしましょう。

・髪をしっかり乾かす

お風呂から上がったら、髪をしっかり乾かすことも大事です。髪が濡れたままの状態だと頭皮で菌が増殖しやすくなり、かゆみを招くことがあります。

●いったんヘアケアをやめてみるのも選択肢の一つ

頭皮のかゆみがひどいときは、思い切ってヘアケアをやめてみるというのも選択肢の一つです。ヘアケア剤を使わずにお湯だけで洗う「湯シャン」は、洗いすぎを防ぎ、頭皮の乾燥の緩和してくれます。

・湯シャンのやり方
  1. シャワーの前にブラッシングをして、髪の毛についた汚れやホコリなどを落としておく

  2. シャワーの温度を38〜40度程度に調節し、指の腹で頭皮をマッサージするように洗髪する

  3. パサつきが気になる場合は、頭皮につかないようにコンディショナーやトリートメントを少量つけてもOK

  4. 髪をしっかり乾かす

●ドライヤーのかけすぎに注意

ドライヤーをかけすぎたり、頭皮に近づけすぎたりするのも要注意です。頭皮が乾燥しやすくなり、かゆみの原因となることがあります。

●頭皮の乾燥が気になるなら、保湿ケアを

かゆみの原因が頭皮の乾燥にあると感じる方は、洗髪後に頭皮専用の保湿剤を使ってみましょう。乾燥がおさまると、かゆみも軽減されやすくなります。
ただし、乾燥が原因でない可能性もあるため、かゆみが気になったらまずは皮膚科で相談しましょう。

●赤みや痛み・ぶつぶつなどが出ているなら皮膚科へ

かゆみだけでなく、頭皮に赤みや痛み・ぶつぶつなどが生じているのであれば、前項でご紹介した皮膚炎である可能性も。皮膚炎の場合はセルフケアだけでは治らないことも多いので、気になる症状がある方は皮膚科に相談してください。

まとめ

今回は、頭皮のかゆみの原因や考えられる疾患・対処方法などをご紹介しました。頭皮のかゆみは、間違ったヘアケアをしていたり肌に合っていないヘアケアを使っていたりする場合に起きやすいので、まずは毎日のヘアケア習慣を見直してみてください。それでも症状が治らない・かゆみがひどい場合や赤み・湿疹などの炎症がある場合は、皮膚科に相談してみてくださいね。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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