暮らし あと押し eo

eo健康

とれない膝の痛みの原因と改善に効果的な簡単ストレッチをご紹介︕

膝は⽇常のあらゆる動作で使う部位です。だからこそ、知らず知らずのうちにダメージが蓄積し、痛みが出やすい部位でもあります。中⾼年になると特に、膝の痛みに悩む⼈が増えますよね。そこで今回は、膝の痛みの原因を解説するとともに、⾃宅でできる膝痛の予防改善ストレッチをウォーキング・インストラクターで理学療法士の森下聖子さんに教えてもらいました。

森下 聖子

【監修】ウォーキング・インストラクター 理学療法士

病院や介護施設での豊富な経験を持つ理学療法士。健康増進に繋が る歩き方や姿勢の指導を行う「プレシャスウォーキング」のインストラクターとして、日常生活での姿勢やウォーキングのレッスンを開催、チャリティーウォークイベントなど大阪府を中心に関西で活動中。

pro_hiza

膝は体の中でも特に負担がかかる部位

1_hiza

膝の周辺には、靱帯や軟⾻・腱・半⽉板といった組織があり、骨と骨がズレたりグラグラしたりしないように、動きを支えています。そんな膝には、日常的に大きな負荷がかかっています。

その理由は、⽴ち上がるとき・歩くとき・階段を昇り降りするとき……など、さまざまな動作で必ず動きが発生する部位だからです。膝にかかる負荷は、平地歩行で体重の約3倍、階段で 約6〜7倍といわれており、スポーツなどではさらに⼤きな負荷がかかることになります。

膝が痛い原因は︖

膝が痛くなる原因はさまざまです。原因によって取るべき対応策も変わってくるので、まずは原因を知ることが⼤事です。

スポーツによるケガや疾患

スポーツによって膝に痛みが出ることがあります。特に起きやすいのは、以下のような症状です。

膝の靭帯損傷(じんたいそんしょう)

⼈間の体にある関節は、靭帯と呼ばれる紐状の組織によってつながれています。スポーツなどの激しい運動をすると、この靭帯に⼤きな負荷がかかり、靭帯が切れてしまうことがあります。これを、靭帯損傷といいます。

靭帯損傷が起きると、瞬間的に激痛が⾛り、動けなくなることがほとんどです。数週間程度で痛みや腫れは落ち着きますが、靱帯が損傷したことでその後も膝関節が不安定になるケースもあります。

ランナー膝

ランナー膝と呼ばれる腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、ランニングをする⼈に多い膝の疾患です。膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、太ももの外側にある腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)と⼤腿⾻外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか)が擦れあって摩擦が起き、⾛っている最中や⾛った後に痛みが生じます。

関連記事: ランニングによる膝の痛みの予防⽅法とストレッチを解説︕サポーターの使⽤はあり︖

ジャンパー膝

ジャンパー膝と呼ばれる膝蓋腱炎(しつがいけんえん)という疾患もあります。これは、膝のお⽫の下にある膝蓋腱という筋に損傷が起き、痛みが⽣じる疾患です。ジャンプ動作のような膝の屈伸運動の繰り返しによる、膝への過度の負荷が主な原因と考えられます。

半⽉板損傷

半⽉板損傷も、スポーツが原因で起きやすい症状の⼀つです。半⽉板は、膝関節の中にある C とO の形をした板状の組織で、⾻と⾻のクッションの役割をしています。

その半⽉板が何らかの原因で損傷すると、膝を曲げたり伸ばしたりする際に痛みが出たり、膝関節が完全に伸ばせなくなったり、さまざまな膝のトラブルにつながります。

鵞⾜炎(がそくえん)

鵞⾜とは、膝の内側にある縫⼯筋・半腱様筋・薄筋という 3 種類の筋⾁と脛の⾻をつないでいる部分を指します。この鵞⾜が炎症を起こしている状態を鵞⾜炎と呼びます。

鵞足炎は、ランニング・サッカー・⽔泳などのスポーツで鵞⾜に過度な負荷がかかることで発症することが多いです。また、変形性膝関節症の合併症で鵞足炎になるケースもあります。

オスグッド病・シュラッター病

成⻑期の子供に多く⾒られる膝のオーバーユースによる疾患です。膝の下の⾻が突出し、痛みや熱感、腫れが出てきます。バスケットボールやサッカーなど複雑で激しい動作を繰り返す成⻑期のお⼦さんに多い疾患です。

加齢による変形性膝関節症

中⾼年(50歳以上)に多いのが、変形性膝関節症です。変形性膝関節症とは、関節の動きを滑らかにし、衝撃を和らげる役割の軟⾻がすり減っていく疾患のこと。軟⾻がすり減る原因としては、加齢による軟⾻の⽼化・筋⾁量の低下・肥満・スポーツによる過度の負荷などが考えられます。

変形性膝関節症の症状

【初期】
  • 歩き始めや⽴ち上がった際に痛みが出る
  • ⻑時間歩くと痛みが出る
  • 休むと痛みが取れる

【進⾏期(※初期の症状も継続)】
  • 階段の上り下りが辛い
  • 正座が⾟い
  • 膝に炎症が起きて、膝の骨を守るために⽔(関節液)が溜まる

【末期】
  • 痛みが強くなり歩くのが困難になる
  • 膝をまっすぐに伸ばせない
  • O 脚やX 脚などの変形が⽬⽴つ

 

関節リウマチによる慢性的な痛み

関節リウマチは、関節内に存在する滑膜という組織が異常増殖することで、関節内に慢性の炎症が起きる疾患です。

最初は両⼿⾜の関節に腫れや痛みが生じます。また、朝にこわばりが発生するのも特徴です。⼈によっては膝・股関節などの変形が進み、⽔が溜まったり動ききにくくなったりします。関節を動かさなくても痛みが出るのが、その他の疾患との大きな違いです

30〜40 代の⼥性に発症することが多く、貧⾎や微熱、全⾝倦怠感などの症状を合併することもあります。遺伝的要因や細菌・ウィルスの感染によって発症すると考えられていますが、明確な原因はまだわかっていません。

膝の痛みを予防改善するためのストレッチ

2_hiza

膝のストレッチをする際の注意点とポイント

炎症が起きている・痛みが強いときは安静に

炎症が起きていたり、痛みが強く出ていたりするときには安静にしましょう。炎症や強い痛みはなく、なんとなく膝が痛い・運動後に膝周りが固くなっているといった場合は、ストレッチを行うと楽になります。

ストレッチの基本を覚えておこう

ストレッチは、ゆっくり深い呼吸をしながら、1つの種⽬に対して1回 20〜30 秒を 2〜3 セット、トータル 1分伸ばすようにしましょう。伸ばしたい部位を意識して、痛気持ちいい程度の力で行ってみてください。ゆすったり反動をつけたりして無理に伸ばす、または痛みを我慢しながら行うと、伸⻑反射が起きて逆に筋⾁が硬くなってしまうことがあるので注意してください。

膝の裏の痛みに効くストレッチ

膝の裏側に痛みを感じる際は、裏ももとふくらはぎを伸ばすストレッチを行いましょう。

【やり方】

1. 仰向けに寝ます。

3_hiza

2. 片足をあげて足の指先にフェイスタオルをかけます。反対の足は伸ばしたままにしておきましょう。

4_hiza

3. そのまま足を伸ばします。このとき反対の太ももは地面につけておくことが大切です。

5_hiza

▲赤く示している部分が伸びていることを確認しましょう。

4. 反対側の脚でも同じ動きを行います。

膝の外側の痛みに効くストレッチ

膝の外側が痛いときは、太ももの横(腸脛靭帯)を伸ばすストレッチを行いましょう。2種類のストレッチをご紹介します。

【やり方】

1. 上で紹介した「膝の裏の痛みに効くストレッチ」の「3」の状態を作ります。

6_hiza

2. 上げた足と反対の手でタオルを持ちます。

7_hiza

3. 手の方向に足を倒し、太ももの外側を伸ばします。

8_hiza

▲赤く示している部分が伸びていることを確認しましょう。

4. 反対側の脚でも同じ動きを行います。

【やり方】

1. 足をクロスさせて立ちます。次の動作で赤く示している部分を伸ばします。

9_hiza

2. そのまま前屈します。膝の後ろと横がしっかり伸びるように意識しましょう。

10_hiza

3. クロスする足を入れ替えて、同じ動きをしましょう。

膝の内側の痛みに効くストレッチ

膝の内側が痛いときは、内もも(股関節内転筋)とふくらはぎを伸ばすストレッチを行いましょう。2種類のストレッチをご紹介します。

【やり方】

1. 高さが30cm程度の台に片足を乗せて立ちます。ちょうどよい台がない場合は、例えばソファーや収納ボックスなど、身近なもので代用してみてください。

11_hiza

2. 体を太ももに引き寄せるように傾けて、上げている脚の太ももの内側を伸ばします。腰が前に行ったり後ろに倒れたりしないように気をつけましょう。

12_hiza

▲赤く示している部分が伸びていることを確認しましょう。

3. 反対側の脚でも同じ動きを行います。

【やり方】

1. 両手を壁につけ、片足を後ろに引いて後ろ足を伸ばします。後ろ足は、つま先と膝を同じ向きにして、かかとを床につけたままにしましょう。

13_hiza

2. 前の膝を緩め曲げ、後ろの脚のアキレス腱、膝のウラ、太ももの付け根を伸ばします。このとき、上体は起こしたままにします。

14_hiza

▲赤く示している部分が伸びていることを確認しましょう。

3. 反対側の脚でも同じ動きを行いましょう。

膝の前の痛みに効くストレッチ

膝の前が痛いときは、前もも(⼤腿四頭筋)を伸ばすストレッチを行いましょう。

【やり方】

1. うつ伏せに寝転びます。

15_hiza

2. 片足の足の甲を同じ方の手で掴んで前ももを伸ばします。できる人は、膝が持ち上がるくらいまで前ももを伸ばしましょう。

16_hiza

▲赤く示している部分が伸びていることを確認しましょう。

3. 反対側の脚でも同じ動きを行いましょう。

まとめ

今回ご紹介したストレッチは、なんとなく膝が痛い、硬さや違和感があるいった場合に有効な方法です。強い痛みを感じる、膝の痛みが長期間取れないといった場合は、無理に動かさず、整形外科で診断を受けるようにしましょう。

ただ、日常的にこれらのストレッチを行うことで、膝痛を予防することはできます。膝痛は加齢とともに発症しやすいので、運動不足の方や体が硬いという方は、ぜひ日常にストレッチを取り入れてみてください。

【監修】ウォーキング・インストラクター 理学療法士 森下 聖子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

おすすめ記事一覧