ランニングによる膝の痛みの予防方法とストレッチを解説!サポーターの使用はあり?
エクササイズ
2023年09月28日掲載
コロナ禍や健康志向の高まりをきっかけに、近年ランニングを始めた方は多いのではないでしょうか。ですが、特にランニングを急に始めた方の中には、「ランニングをすると膝が痛くなってしまう」と訴える方も少なくないようです。そこで今回は、ランニングによる膝の痛みの原因や予防法・痛みを解消する方法などについて、リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長の松尾瑠偉先生に教えていただきました。
松尾 瑠偉
【監修】リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長
北海道メディカルスポーツ専門学校出身、スポーツトレーナー歴10年、治療家歴7年。リコア鍼灸接骨院・北堀江院の院長として院で働きながらサッカーJリーグのトレーナーとしてスポーツの現場でも活動しています。
ランニングで生じる膝痛「ランナー膝」とは
ランニングで生じる膝痛の代表格は、腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)です。世間一般的には「ランナー膝」とも呼ばれています。ランニング時、膝は屈伸を繰り返します。その際に、太ももの外側にある腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)と大腿骨外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか)が擦れあって摩擦が起き、炎症が生じ、ランニング時やランニング後に痛みが出ます。これがランナー膝です。
ランナー膝の症状
痛みが出る場所はどこ?どんなときに痛みが出る?
ランナー膝の症状は、ランニング中やランニング後に膝の外側にズキズキとした痛みが出るのが特徴です。ポイントは、痛みが出るのは膝の外側のみということ。膝のお皿や内側など、別のところが痛ければ違う症状が疑われます。
また、ある程度の距離を走ると痛みが出たり、膝を曲げた状態から伸ばすときに痛みが出たりすることもあります。特に下り坂では、着地時に体重の5倍近くの負荷が膝にかかるため、痛みが増しやすい傾向が。
悪化するとどうなる?
症状が悪化すると、ランニング後も痛みが治らず慢性化しやすくなります。何もしていないときでも痛みが出たり、膝の曲げ伸ばしが痛くて階段の上り下りを苦痛に感じたりするなど、日常生活にも支障をきたしかねません。
ランニングで膝の痛みが生じやすい人の特徴
ランナー膝になりやすい人の特徴
ランナー膝になりやすい人の特徴を見てみましょう。
- ランニングを始めたばかりの人
- 筋力が弱い人
- 筋肉が硬くなっている人
- O脚で足の外側に体重がかかりやすい人
ランニングを始めたばかりの人は、年齢問わずランナー膝にならないよう十分に気をつける必要があります。ランナー膝は、骨が擦れて炎症が生じるもの。特に、普段からあまり運動をしていなくて筋力が弱い人・筋肉の柔軟性が低い人はなりやすいと言えます。
ランナー膝を引き起こしやすくさせる要因
このほか、以下の要因によっても、膝の痛みが出やすくなります。
- 硬いシューズ
- 硬い地面
- 下り坂
- ランニング前のウォームアップ不足
- オーバーワーク
ランナー膝を予防するには、装備を整えることが大事です。普通のスニーカーのように硬いシューズで走ると、クッションが薄いため膝への負担が大きくなります。
走る場所も選びましょう。地面が硬くアップダウンのある道路よりも、運動公園などにあるトラックなど走れるようになっている場所がおすすめです。
また、いきなり走り始めるのは危険!ランニング前にしっかりストレッチなどウォームアップをするようにしましょう。このほか、無理に長距離・長時間走るのも膝痛を招く要因に。膝に痛みや違和感が出ないように、無理のない距離・時間で続けることが大切です。
ランニング時の膝痛を防ぐストレッチ
ランナー膝にならないようにするには、ランニング前のウォームアップとして、ストレッチを十分におこなってください。特に意識してストレッチしたいのは、おしり・太ももの裏側・太ももの前側です。また、ランニング前のストレッチでは、「動的ストレッチ」といって、反動をつけながら行うのがポイントです。反対にランニング後は、同じストレッチを、反動をつけずに行ってください。
1. お尻のストレッチ
椅子などに腰掛けて片足を組み、そのまま前に倒れます。お尻が伸びているのを感じてください。
2. 太もも裏のストレッチ
太ももの裏側を伸ばすには、前屈が効果的です。
3. 前もものストレッチ
片足ずつお尻に近づけて、前ももをぐーっと伸ばしましょう。また、ヨガの「鳩のポーズ」も効果的です。
ランニング時の膝痛を改善するには
ランニング中やランニング後に膝に痛みが出た場合は、以下のように対処してください。
とにかく痛みが出たら安静に!
ランニング時に膝の痛みを感じたら、安静にすることが大事です。痛みが強い場合は運動をしばらく休みましょう。また、ランニング量が多すぎる可能性があるので、減らすようにしてみてください。
痛みが強いときはクーリングを
痛みが強いときは、アイスパックでクーリングしたり、消炎鎮痛剤が入った湿布を貼ったりすると、痛みが引きやすくなります。
サポーターは「気休め」と考えて
ランニングで膝が痛くなってしまったときにサポーターを使用する方がいますが、これは「気休め程度」だと考えたほうがいいでしょう。サポーターは、膝の横の動きを制限するのには有効ですが、ランナー膝のケースではあまり効果はないと考えられます。なお、「O脚が強すぎて膝が痛い」といったケースであればサポーターは効果的です。
歩くのが痛いなら、靴にインソールを入れてみて
ランナー膝の場合、サポーターを使用するよりも効果的なのは、靴にインソールを入れること。足の裏を補強すると膝の角度が変わるので、痛みで歩くのが辛いときにもおすすめです。また、衝撃吸収もしてくれます。自分の足に合ったインソールを入れることが大事なので、インソールを作れる専門店や一部の整形外科などで相談してみてください。
症状がひどい場合は治療機関に相談を
痛みがひどい場合は、治療機関で診てもらうことをおすすめします。ランナー膝の痛みを改善するには、鍼灸接骨院への受診がおすすめです。鍼灸接骨院では、鍼治療を行ったり、患部の周りの筋肉をマッサージで緩めたりする治療を行います。また、痛み止めがほしい場合は、整形外科を受診すると良いでしょう。
まとめ
手軽にできる有酸素運動であるランニングは、健康な体づくりやダイエットに有効であることから、ぜひ続けたい運動習慣ですね。ランニングによる膝の痛みを防ぎ、快調に継続するためには、ランニング前のストレッチを入念に行うことが大切です。また、シューズ選びやコース選びなど、膝に負担をかけにくい環境で走ることも重要。ご自身のランニングのやり方を見直して、ランナー膝にならないように工夫してみてくださいね。
リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長 松尾 瑠偉
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。