加齢臭はどこから臭う?原因と対策、セルフケアを解説!
健康とくらし
2022年09月15日掲載
40代を過ぎてから、自分の体臭が変化したと感じている方は多いかもしれません。その原因の一つとして考えられるのが、「加齢臭」です。加齢臭とはミドル世代以降に現れる、独特な体臭のこと。自分では気づいていない人も、実は加齢臭が出ているかもしれません。そこで今回は、加齢臭の原因や対策方法について、男性専門の総合美容クリニックの総院長・稲見文彦先生に教えていただきました。
稲見文彦
男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』 総院長
東邦大学医学部を卒業後、同大形成外科学教室に入局。美容外科医を志し某大手美容形成外科に入職。10年以上に亘り数多くの手術を行い、また多数の医師や看護師の育成に携わる。同院京都分院長を経て、2015年に「男性美容のシンボル」をミッションとして掲げる男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』総院長に就任、現在に至る。所属学会:日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS、JSAS)、日本美容皮膚科学会。
加齢臭ってそもそも何?
加齢臭とは、40代以降の男女に多く見られる、独特の体臭のこと。一般的には「古本のようなニオイ」「枯れ草のようなニオイ」「青臭い油のニオイ」「カメムシのニオイ」などと表現されます。
加齢臭というと男性に多いイメージがあるかもしれませんが、女性も例外ではありません。特に更年期以降は加齢臭が強くなると言われています。
加齢臭の原因は?
加齢臭の正体は、「ノネナール」
加齢臭のひとつは「ノネナール」と呼ばれる物質です。ノネナールは20代・30代ではほとんど見られませんが、40歳を過ぎた頃から増加する傾向があります。つまり、加齢臭はミドル世代特有の体臭だと言えます。
ノネナールの生成メカニズム
ノネナールは、皮脂に含まれる「パルミトレイン酸」と皮脂が酸化して生じる「過酸化脂質」が結びつき、皮脂の常在菌の作用によって酸化・分解されることで生成されます。年齢を重ねると皮脂中のパルミトレイン酸と過酸化脂質が増えるため、ノネナールが生成されやすくなるのです。
加齢臭はどこから臭う?
加齢臭が発生しやすい部位は?
加齢臭は頭や耳の後ろ・首の後ろ・背中・胸元・お腹・など、頭部や体幹を中心として体全体から漂います。頭部や体幹部分には皮脂腺が多いからです。
加齢臭は自分では気づきにくい?
加齢臭は自分では気づきにくく、家族や周りから指摘されて初めて知る人が多い傾向があります。他人からしてみれば強いニオイにも関わらず自分で気づきにくい理由は、加齢臭は体全体から継続的に臭い続けるため自分では慣れてしまうからです。気になる方は、以下のリンクから加齢臭チェックシートを確認してみましょう。チェック数が多い人ほど加齢臭が強い可能性があります。
加齢臭の原因「ノネナール」が増える理由
食事習慣:脂質の取りすぎ
動物性脂質の摂取量が増えると、血管内でコレステロールが蓄積され、皮脂の分泌量が増加します。すると必然的に皮脂のパルミトレイン酸と過酸化脂質も増え、ノネナールが多く生成されるというわけです。
一説には、和食中心で動物性脂質の摂取量が少なかった昔の日本人は、体臭が少なかったとも言われています。しかし、近年は食生活の欧米化により動物性脂質の摂取量が増えているため、加齢臭が気になりやすくなっていると考えられます。
ストレス
ストレスは加齢臭を強くする要因と言われています。ストレスは体内で活性酸素という物質を発生させ、皮脂の酸化を促進するからです。また、加齢臭を気にすることがさらにストレスになる……という悪循環も起きやすくなります。
女性ホルモンの減少
女性の場合、更年期以降になって女性ホルモンが減少すると加齢臭が強くなる傾向があります。これは、女性ホルモンが減ることで相対的に男性ホルモンが活性化し、皮脂分泌量が増加するからです。
加齢臭を予防・改善するための対策
ノネナールの生成を抑えるための“内側からの対策”
食事の見直し
動物性脂質のとりすぎに気をつけ、酸化を抑制する成分を含む食品(抗酸化食品)を積極的にとりましょう。
【抗酸化作用のある成分】
・ビタミンC
・ビタミンE
・ポリフェノール
・ベータカロチン
・カテキン
・イソフラボン
ストレスを溜めない
ストレスは加齢臭を助長させると考えられています。また、ストレスは自律神経の乱れを招き、さまざまな体調不良に繋がります。ストレスそのものをなくすのは難しいですが、自分なりの解消方法を見つけて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
アルコールの摂取量を減らす
アルコールを摂取することで体内に活性酸素が生じます。活性酸素は皮脂がノネナールに変化する際に関与するため、アルコールの過剰摂取は加齢臭の増加にもつながります。加齢臭以外にも疲労臭の原因となり、またそもそも「酒臭い」状態になるため深酒は避けるようにするのがベターです。
タバコをやめる
タバコに含まれるニコチンは体内でビタミンCを消費します。ビタミンCは活性酸素を消去する抗酸化物質であるため、喫煙するということは体の酸化を加速します。つまり脂質がノネナールに変化しやすくなるため「喫煙イコール加齢臭増加」と考えてよいでしょう。そもそもタバコを吸わない人にとってタバコ臭は相当な悪臭であるため、禁煙することは最も手軽なスメルケアと言えます。
運動で汗をかく習慣をつける
ウォーキングなどの有酸素運動はストレス発散による加齢臭対策効果があるほか、汗腺の機能を正常に保ち良質な汗をかくことで皮膚のノネナール濃度を下げる効果があると言われています。ただし、かいた汗は放置しないことが大切です。そのまま放置すると「汗臭さ」の原因となってしまうので注意しましょう。
また、運動が苦手な方はサウナを利用するのもおすすめです。サウナの魅力や健康への影響については以下からご確認ください。
ノネナールを除去するための“外側からの対策
このほか、ノネナールを除去してニオイを抑えるために、以下のポイントにも留意しましょう。
- 加齢臭専用のボディソープやシャンプーを使用する
- 湯船に浸かる
- 日中は首の後ろや耳の後ろなどを汗拭きシートで拭き取る
- 枕カバーやシーツを頻繁に洗濯する
- 加齢臭対策用のデオドラント剤を使う
まとめ
自分ではなかなか気づきにくい加齢臭。「まさか自分に加齢臭があるわけない」と思い込まず、40代になったら「加齢臭が出ているかも」と考えて対策することが必要です。今回ご紹介したように、加齢臭予防には、栄養バランスのとれた食事や適度な運動・お酒を控える・タバコをやめるなど、健康的な生活を心がけることが大切です。ミドル世代を生き生きと過ごすためにも、さっそく今日から意識的に生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』 総院長 稲見文彦
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。