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ピラティスの効果とは?美容・健康への影響とおすすめの取り入れ方

「姿勢を良くしたい」「肩こりや腰痛をどうにかしたい」「痩せたい」。体型に関するお悩みや希望はさまざまですが、すべての方におすすめなエクササイズがあります。それが今回ご紹介するピラティスです。インナーマッスルを効果的に鍛えられるので、姿勢改善や肩こり・腰痛の改善・ダイエットなどに有効です。今回は、その方法や効果・メリットなどについて、ボディコーディネーターの山崎麻央先生に教えていただきました。

山崎 麻央/YAMAZAKI MAO

ボディコーディネーター

ソラーチェ代官山 主宰/加圧・FTPピラティスインストラクター/臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラー。慶応義塾大学卒業後、外資系IT企業に10年間勤務。出産を機に退職し、加圧トレーニングやピラティス、インディバ、食カウンセリングほか、多角的に体のケアを行うプライベートスタジオをオープン。自ら指導を行うほか、セミナー講師、雑誌や書籍の監修等でも活躍。また、化粧品、健康食品等の開発にも携わっている。2017年に講談社より刊行された『#腹筋女子~お腹が割れたら人生変わった!~』は発売当日に増版されて話題に。2020年2月に、TBSの「バックステージ」で仕事ぶりが特集され注目を集め、2020年5月には三笠書房より新著「10秒痩せストレッチ〜一生太らない!気持ちよく痩せる〜」が発売され好評をよんでいる。

ピラティスってどんな運動?

ピラティスは、体力低下や怪我で激しい運動ができない方でも筋力を強化できるエクササイズです。第一次世界大戦下のドイツで、負傷した兵士のリハビリの一環として考案されましたその後はピラティスの効果(身体機能の向上・精神の安定)がダンサーなどを中心に普及し、世界的な認知を得るようになります。
以降、世界各地でさまざまな流派に枝分かれしていきましたが、いずれもドイツで生まれたものがベースとなっています。なお、ピラティスという名称は、考案者の名前・ジョセフ・ピラティス氏に由来しています。

ピラティスの効果

ピラティスの効果:インナーマッスルを鍛えられる

ピラティスを行うとインナーマッスルを鍛えることができます。インナーマッスルとは、体の深い部分にある筋肉のこと。外からは触ることはできず、自分で動かすこともできない筋肉ですが、関節を安定させる、内臓を支える、アウターマッスルとともに働いて姿勢の保持や動作のサポートするなど、とても大切な働きをしています。体の深層にあるため意識するのが難しい筋肉です。ピラティスでインナーマッスルを鍛えることで、以下のような効果が期待できます。

1.姿勢改善

インナーマッスルを鍛えると、姿勢を改善しやすくなります。下腹部には「骨盤底筋」というインナーマッスルがあり、これが内臓をハンモックのように支えています。この骨盤底筋をしっかり鍛えてあげることで、正しい姿勢をとりやすくなります。

2.肩こりや腰痛などの改善

猫背やストレートネックなどの悪い姿勢がクセになっていると、肩こりや腰痛を引き起こしがちです。ピラティスでインナーマッスルを鍛え、姿勢を改善すると、肩こりや腰痛も緩和されていきます。また、ピラティスによって姿勢が改善されると、全身の血流が良くなるので、それもまた肩こりや腰痛をはじめとする筋肉の凝り固まりを解消するのに役立ちます。

3.ダイエット効果

インナーマッスルがしっかりつくと、可動域が広がり姿勢が改善することによって代謝が向上し、ダイエット効果を得やすくなります。ダイエットというと、有酸素運動や筋トレなどをする方が多いかもしれません。こういったトレーニングもたしかに大事ですが、トレーニングをしている時間よりも、日常生活をしている時間のほうがはるかに長いですよね。ですから、その日常生活においてどれだけエネルギー代謝ができるかしだいで、ダイエットの進捗は大きく変わってきます。インナーマッスルを鍛えることでエネルギー代謝が上がるため、脂肪燃焼をしやすい・痩せやすい体になるのです。さらに、インナーマッスルがついて正しい姿勢をキープできるようになると、ボディラインも美しく見えます。

ピラティスの効果:骨盤の歪みを改善する

ピラティスは、骨盤の歪み改善にも効果的です。骨盤の歪みは、左右の筋肉のアンバランスさから生じます。「座るとき、いつも同じ方の足を上にして組んでいる」「鞄をいつも同じ方に持っている」「いつも同じ方に体重をかけて立っている」といった方は、左右どちらかの筋肉が使いすぎて負荷がかかっている状態に、もう片方は使わなさすぎて衰えた状態になっている可能性が。ピラティスでは、こういった筋肉のアンバランスさを整え、骨盤の歪みを改善します。

ピラティスの効果:呼吸が深くなる

猫背で姿勢が悪いと、肋骨のまわりの筋肉が硬くなりやすいため、呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅いと、体に酸素が十分取り込まれず不足するため、栄養が全身に運ばれず、自律神経も乱れやすくなるといわれています。ピラティスでは、深く長い「胸式呼吸」を使います。肋骨を思いっきり開いたり閉じたりするので、体にたっぷりと酸素を取り入れることができます。

ピラティスの効果:集中力を高める

ピラティスで胸式呼吸をしながら体を動かすと、自律神経のうち交感神経の活動が優位になります。そのため、集中力が高まる効果が期待できます。海外では、大事な会議前にピラティスの時間を設ける企業もあるほどです。

ヨガとの違いは?ピラティスとヨガ、それぞれの特徴

ピラティスはヨガと比較されることが多くあります。みなさんの中にも、「どう違うの?」と思っている方がいるかもしれません。ヨガとピラティスには、以下のような違いがあります。

ピラティスよりヨガの方が精神的な要素が強い

ヨガはインド発祥で、もともとは瞑想を基盤とした精神修行の一環として行われていました。一方ピラティスはヨーロッパ発祥で、身体機能を回復させるためのリハビリのために考案されています。そのため、ピラティスの方が宗教精神的な要素は少ないといえるでしょう。

ヨガとピラティスは呼吸法が違う

ヨガは腹式呼吸、ピラティスは胸式呼吸をベースとしています。腹式呼吸は副交感神経の活動を優位にするため、リラックスに向いています。一方、胸式呼吸は交感神経の活動を優位にするため、集中力アップを促してくれます。

ヨガはポーズをキープ、ピラティスは動きながらポーズを取る

ヨガは、ひとつのポーズをキープすることに重きが置かれる傾向があります。一方、ピラティスはエクササイズ的な要素が多く、ポーズをキープしながら、足や腕を動かすことが多いといえます。また、ヨガはひとつのレッスンを通して流れを作り、ゆっくりと体と心を調整していきますが、ピラティスの場合は、流れで行うというよりも、ひとつひとつのエクササイズごとに区切って取り組んでいきます。

ヨガとピラティスは共通点も多い

ここまでヨガとピラティスの違いをいくつか挙げましたが、実はヨガとピラティスには共通点がたくさんあります。

似たポーズがたくさんある

ヨガのポーズにはピラティスのポーズと似たものがあり、ピラティスのエクササイズにもヨガのポーズを取り入れたものが多数あります。

効果にも類似点がたくさんある

ヨガというとメンタル面への作用が大きいと思われるかもしれませんが、ヨガにもインナーマッスルを鍛えて姿勢を改善したり、肩こり・腰痛改善・骨盤の歪み改善をしたりといった効果が期待できます。また、リラックスだけではなく集中力を高める効果も。一方、ヨガの特徴であるリラックス効果やストレス改善効果は、ピラティスでも得ることができます

ヨガとピラティス、あなたにはどちらが合ってる?

ここまで読んだ方は、「じゃあヨガとピラティス、どちらをやればいいの?」と思うかもしれません。結論から言うと、おすすめなのは「両方やること」。両方やることで相乗効果が得られるからです。
例えば、「ピラティスをある程度やってからヨガを始める」とします。ピラティスでは、普段意識していないインナーマッスルの“意識の仕方”を覚え、具体的な体の動かし方・使い方を習得できます。その状態でヨガを始めると、同じポーズでもよりしっかりとインナーマッスルを鍛えられるようになり、ヨガの効果を高められます。
ピラティスだけでなく、ヨガについても知りたいという方はこちらの記事も合わせて読んでみてください。
関連記事:朝ヨガの効果とは?初心者におすすめの呼吸法とポーズを解説

初心者におすすめのピラティスのポーズ

最後に、初心者におすすめのピラティスのポーズを4つご紹介します。ピラティスの呼吸はすべて胸式呼吸で行います。肋骨を広げるようなイメージで鼻からゆっくりと吸い込み、口から細く長く吐き出しましょう。
また、ピラティスでは、最初のポジションを安定させることが大事です。エクササイズがきつくなってくると、肩が上がったり肩甲骨が上がって肩が丸まったりしやすくなります。できるかぎり、最初に取ったポーズから崩れないように意識してみてください。

なお、ピラティスを行うタイミングはいつでもOK。あえて時間帯を絞るなら、体の代謝を上げる意味で、朝に行うのがおすすめです。集中力も上がり、体も動かしやすくなります。また、1日活動した体の歪みを取りたい方は、夜に行うのも効果的です。

ピラティスのニュートラルポジション

ニュートラルポジションとは、骨盤と床が平行となる姿勢のことです。ピラティスの基本姿勢のひとつで、ニュートラルポジションからはじまるポーズも多いため、まずはこのポーズを取れるようにしましょう。

【やり方】
1. 仰向けに寝て両膝を立て、骨盤の上に両手を置いて三角形をつくります。
2. この三角形が床と並行になるように骨盤の位置を調整します。
3. 腰は完全に床に密着させるのではなく、腰の後ろに手のひらが入るくらいの隙間を作るようにすると、キレイなニュートラルポジションをとれます。

それでは、ここから初心者におすすめのピラティスのポーズを4つご紹介します。

ピラティスのポーズ1


【やり方】
1.まずはニュートラルポジションを取ります。

2. 両手は体側に。おなかを骨盤にしまい込むように意識して、鼻からゆっくり息を吸いましょう。

3.口から息を吐きながら、片足ずつゆっくり持ち上げます。膝が直角に、足の付け根の真上にくるようにしてください。足を持ち上げるとき、骨盤が動かないように注意しましょう。

4. 膝を直角に保ち、息を吐きながらウエストをひねるようにしてゆっくり右側に倒していきます。このとき、左のお尻は床から離れてもOK。肩甲骨が上がらないギリギリのところまで、自分の体重の重みで自然に倒しましょう。

5. 一度息を吸って、吐きながらおなかの力でひっぱるようにして戻し、今度は反対側へと倒します。足の力で動かすのではなく、おなかの力で動かすのがポイントです。つらい方は、小さい動きでも大丈夫。動きを大きくすることよりも、肩甲骨が床から離れないことを意識してください。

6. この動きを左右10回行いましょう。

★期待できる効果
  • おなかまわりのインナーマッスルを鍛えられます。
  • 背筋を使うので、背骨まわりを刺激し、自律神経バランスを整える効果も期待できます。
  • 腹斜筋を使うので、ウエストのサイズダウンにも効果的です。

ピラティスのポーズ2

【やり方】
1.四つ這いのポーズを取ります。

【四つ這いポーズのポイント】
  • 肩の真下に手のひらが、骨盤の真下にひざがくるようにします。
  • おしりから頭の先までをまっすぐにします。
  • 肩甲骨と肩が上がらないように注意します。
  • おなかを薄くさせるイメージで少しへこませます。

2. 息を吸って準備し、吐きながら右手を前に上げます。このとき、体の重心が変わらないように注意。左手に体重をかけないようにしましょう。 

3. 息を吸いながら右手を戻し、今度は息を吐きながら左手を持ち上げます。

4. 息を吸いながら左手を戻し、吐きながら右足を持ち上げます。息を吸いながら右足をそっと戻したら、次は吐きながら左足を持ち上げます。このときも、体の重心が動かないように意識しましょう。

5. 息を吸って準備し、吐きながら右手と左足を持ち上げて、3秒キープ。できる方は5秒・10秒と長くしてもOKです。このときも骨盤の位置やおなかの位置が変わらないように注意してください。

6. 息を吸いながら右手と左足をゆっくり戻し、今度は息を吐きながら左手と右足を持ち上げて3秒キープ。

7. この動きを左右5回ずつ行いましょう。

★期待できる効果
  • 背骨まわりの筋肉を鍛えられ、姿勢改善に効果的です。
  • 腰痛や肩こりの改善にも役立ちます。
  • おなかまわりのインナーマッスルを鍛えられます。

★体をキープさせるときは肩と骨盤の位置を意識
以下の写真は肩と骨盤の位置がずれてしまっているNG例です。こんなふうに、肩が上がったり、骨盤の位置が上がりすぎてしまったりしないように注意しましょう。

体を反らすのではなく、地面に対して肩と骨盤が平行になるように意識してみてください。


ピラティスのポーズ3

【やり方】
1. 体育座りをします。坐骨から頭の先まで一直線になるようにしましょう。

2. 息を吸って準備し、息を吐きつつ背骨をまっすぐにキープしたまま後ろに倒れ、右足・左足を順番に持ち上げます。

3. このポーズで3秒かけて鼻から息を吸い、口から5秒かけて吐き出し5呼吸分キープしましょう。

★キープするときは肩と背中の位置を意識
下の写真は体をキープするときのNG例です。このように、肩が上がったり背中が丸まったりしないように注意しましょう。

姿勢が崩れてしまうとポーズの効果を得られなくなるため、背骨がまっすぐの状態であることが大切です。キープができない方は無理に続けるのではなく、まずは正しいポーズが取れるようにしてください。正しいポーズを取れるようになったら、キープする時間を少しずつ伸ばしていきましょう。

★期待できる効果
  • おなかのインナーマッスルを鍛えられます。
  • 体幹を鍛えられます。

ピラティスのポーズ4

【やり方】
1.ニュートラルポジションを取ります。

2. 息を吸って準備し、吐きながら腰の後ろの隙間をなくすように骨盤を後ろに倒します。お尻から徐々に体を天井に向かって持ち上げていき、ひざから肩が一直線になるようにします。内ももが開かないように気をつけましょう。おしりはできるだけコンパクトに、中心に寄せるようにします。

3. その姿勢を保ったまま、息を吸って準備、吐きながら右足を左の膝の高さまでゆっくり上げていきます。このときお尻が下がったり、骨盤が動いてしまったりしないように気をつけましょう。左足も同じように行います。

4.この動きを左右10回ずつ繰り返します。

★期待できる効果
  • おなかのインナーマッスルを鍛えられます。
  • おしりの筋肉を鍛えられるので、ヒップアップに効果的です。
  • 背骨の結合を調整し、姿勢を改善する効果があります。

★お尻を持ち上げたときの姿勢に注意
下の写真はNG例です。お尻を持ち上げたとき、慣れていないとこのように内ももが外に開いてしまうことがあります。

膝を閉じて、なるべく内ももが開かないように注意しながら、おしりを上げてみてください。


まとめ

今回は、インナーマッスルを鍛えるのに効果的なピラティスについてご紹介しました。姿勢改善やダイエット効果などが期待できるので、ぜひ今日から実践してみてくださいね。しっかり学びたい方は、ピラティス教室に通うのもおすすめ。お近くの教室を探してみてください。

監修

ボディコーディネーター 山崎 麻央/YAMAZAKI MAO

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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