がんは身近な病気です 受けよう!がん健診
病気・症状と予防
2009年05月07日掲載
あなたと家族のために
ライフスタイルや食生活の変化に伴って、健康への関心が年々高まっている一方、糖尿病、心疾患、脳卒中などの生活習慣病、そして「がん」という恐ろしい病気にかかる人も増えています。健康な毎日を安心して送るためには、定期的に健康診断を受け、自分自身の体について知っておくことが何よりも大切。数ある検査のなかでも、とくに「がん健診」の積極的な受診をおすすめします。今回は、日本におけるがんの現状と、がんの早期発見に高い効果が期待できる「PET検査」について、中之島クリニックの田邉 卓爾先生にお話を伺いました。
がん患者の状況
日本人の死因で最も多いのは、がん。がんが日本人の死因の1位になったのは、1981年のことでした。厚生労働省の人口動態統計(2006年)によると、がんで亡くなった日本人は約33万人で、そのうちの約20万人が男性、約13万人が女性となっています。部位別で見ると(右表参照)、最も多いのは肺、続いて、胃、肝臓、結腸、すい臓という順になっています(結腸と直腸を合わせた大腸として見ると3位)。
また、これまで、がんは高齢者の病気という見方がされてきましたが、実際には30代~40代にも多く見られるようになっています。つまり、がんという病気は、“身近な病気”のひとつと捉えるほうが正しいのです。
【部位別:がん死亡数の順位】
男性 | 女性 | 男女計 | |
1位 | 肺 | 胃 | 肺 |
2位 | 胃 | 肺 | 胃 |
3位 | 肝臓 | 結腸 | 肝臓 |
4位 | 結腸 | 乳房 | 結腸 |
5位 | すい臓 | 肝臓 | すい臓 |
結腸と直腸を合わせた大腸の場合
男性:4位、女性:1位、男女計:3位
(厚生労働省:2006年人口動態統計)
がんの原因は?なりやすいのはどんな人?
がんは、遺伝子の突然変異によって発生する病気であることから、遺伝も大いに影響しているものと考えられています。親族でがんになった方がいる場合は、人間ドックの受診をおすすめします。乳がんやすい臓がんなどの一部のがんは、遺伝が大きく影響しているとされ、実際に、母子ともに乳がんを発症したというケースも多くあります。
もちろん、がんの原因は遺伝だけではありません。がんの発症は、普段の生活習慣に起因する場合が非常に多く、よく挙げられるのが、タバコや過度の飲酒、肥満といったものですが、下の表にあるように、高身長やサプリメントなどの意外なもの・ことが、がんのリスクを上げる要因になっているという発表もあります。
食物関連要因とがんとの関連
要因 | 関連するがんの種類 | |
---|---|---|
関連性の強さ「確実」 | 関連性の強さ「可能性大」 | |
肥満 | 食道がん、大腸がん、乳がん<閉経後>、子宮体部がん、腎臓がん、すい臓がん | 胆嚢がん |
内臓脂肪 | 大腸がん | すい臓がん、乳がん<閉経後>、子宮体部がん |
高身長 | 大腸がん、乳がん<閉経後> | すい臓がん、乳がん<閉経前>、卵巣がん |
アルコール | 口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん | 肝臓がん、大腸がん(女性) |
アフラトキシン | 肝臓がん | |
飲料水中の砒素 | 肺がん | |
β-カロテンのサプリメント | 肺がん | |
成人期の体重増加 | 乳がん<閉経後> | |
出生時過体重 | 乳がん<閉経前> | |
塩蔵食品・塩分 | 胃がん | |
中国式塩蔵魚 | 鼻咽頭がん | |
飲料水中の砒素 | 皮膚がん | |
マテ茶 | 食堂がん | |
食事からのカルシウム | 前立腺がん |
World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research. Food, Nutrition, Physical Activity,
and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. AICR, Washington DC (2007)
出典:国立がんセンターがん対策情報センター
早期発見・早期治療が一番
そこで利用して欲しいのがPET検査です。会社や地域で胃がん検査や乳がん検査などが行われていますが、それらの検査では特定部位のがんを見つけることしかできません。会社などでのがん検査と併用して、PET検査で全身を徹底的に調べることが、早期発見・早期治療への近道です。
PET検査でがんの早期発見につながると聞けば、逆に受診するのが不安になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、がんは誰にでも発生するものなのです。早期に発見し、早期に治療できれば、これほど良いことはありません。
※がんの「早期」とは一般的な言葉で、医学的に厳密な定義はありません。強いていうならば、「腫瘍が小さい」「手術の必要がない」「転移していない」といったものになります。また、がんの種類によっても定義は異なります。
がんは身近な病気です 受けよう!がん健診
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。