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関西の専門医が語るドクター's コラム

脂質異常症とは 脂質異常症の予防と治療

脂質異常症(高脂血症)にならないために

脂質異常症(高脂血症)にならないためには、食生活に注意すること、適度な運動をすることが大切です。
予防に勝る治療はありません。コレステロール値は血液検査で簡単に知ることができますから、年に1度はチェックしておきましょう。食生活に注意するポイントは、下記の食事療法を参考にしてください。

悪玉と善玉のバランスを知る「LH比」

悪玉のLDLコレステロールと善玉のHDLコレステロールの値が問題になる脂質異常症ですが、最近、この2つのコレステロールのバランスを見る「LH比」が注目されています。というのも、LDLコレステロールやHDLコレステロール値が正常の範囲内であったとしても、このLH比が高いと動脈硬化が進行している場合があるためです。
LH比はLDLコレステロール値÷HDLコレステロール値で求めることができます。
数値の目安としては、健康上問題がない人は2.5以下、脂質異常症と診断された人は2.0以下、心筋梗塞や狭心症、糖尿病、高血圧などと診断されたことがある場合は、1.5以下を目標にすることが望ましいとされています。

ドクターズメモ

人類は長い歴史の中で、食糧不足による飢餓の時代を幾度も経験し、乗り越えながら発達してきました。ですから、現代のような飽食な環境には身体が慣れていないのです。食べ過ぎよりも少し空腹気味で過ごすほうが、身体の調子を保ちやすいと考えられます。

脂質異常症(高脂血症)と診断されたら

脂質異常症(高脂血症)の治療法は大きく分けて、食事療法、運動療法、生活習慣の改善、薬物療法があります。

食事療法

LDLコレステロール値・中性脂肪値を下げるために、食生活を適正にするようにします。

食事は腹八分目 食べすぎると、コレステロール量が増えてしまいます。摂取エネルギーは適正にするようにしましょう。
お酒を控える 適量のアルコールはHDLコレステロールを増やしますが、飲みすぎると中性脂肪が増えてしまいます。
食物繊維が含まれる
食べ物を多く摂る
LDLコレステロール値を下げる効果があります。
糖分を控える ジュースや果物お菓子などの糖分を多く含んだものを摂りすぎると、中性脂肪を増やすことになります。
脂肪の摂取量を
適正にする
食事に含まれる脂肪量は全体エネルギーの25%以下が理想です。
和食を中心にして、揚げ物や炒め物などを控えめにします。
脂肪の種類のバランスを
適正にする
理想なバランス「動物性脂肪40% 植物性油脂50% 魚の油10%」
動物性脂肪は肉料理で40%をすぐに摂れてしまうため、魚を積極的に食べるように意識しましょう。
コレステロールの
多い食品を減らす
人間の身体にはコレステロール量を一定に保つ機能が備わっていますが、LDLコレステロール値が高い人がコレステロールの高い食事を摂ると、さらにLDLコレステロール値が高くなります。
酸化脂質の摂取を減らす 体内で酸化されるのを止めることはできません。せめて食品として摂取する脂質は酸化していないものを摂るようにしましょう。(焦げた食品、揚げ過ぎの揚げ物、古くなって味の変わった肉・魚・油脂など)

運動療法

酸素をより多く取り込みながら、長い時間続ける有酸素運動が効果的です。ウォーキングなどの適度な有酸素運動を続けることで、HDLコレステロールの濃度を上げることができます。
しかし、運動後に甘いものやアルコールを摂ってしまえば、せっかく消費したエネルギーを元に戻してしまうことになりますので、注意しましょう。

生活習慣の改善

ストレスによってLDLコレステロール値が上がることがわかっています。できるだけストレスを溜め込まないように努力しましょう。また、喫煙はがんや動脈硬化を進行させる別の要因であるため、禁煙すること も大切です。

薬物療法

基本的には、上記の方法を続けることで数値の改善が見込めますが、精一杯努力をしても生活習慣が改善できない、改善しても数値が変わらないという場合は薬を用います。
しかし薬だけに頼るのではなく、食事療法、運動療法、生活習慣の改善を続けることが必要です。

参考図書

  • スンナリわかる脂肪の本―中性脂肪って何?コレステロールって何?/丸元 康生(著) 主婦と生活社2009年
  • 脂質異常症・肥満~動脈硬化~《予防とつきあい方シリーズ》/荻原俊男(監) メディカルレビュー社 2011年
  • 脂質コントロールの栄養食事療法―脂質異常症・胆嚢疾患・膵臓疾患(栄養食事療法シリーズ)/渡邉早苗・寺本房子・田中明・工藤秀機・柳沢幸江・松田康子・高橋啓子(シリーズ編集)、田中明・宮本佳代子・椎名美知子・村越美穂・遠藤美智子・西玉枝(共著) 建帛社 2009年
  • 脂質栄養と健康/日本栄養・食糧学会 監修、宮澤陽夫・柳田晃良・藤本健四郎(責任編集) 建帛社 2005年
  • ハーパー生化学(原書25版)/上代淑人(監訳) 丸善株式会社 2001年
  • (特集)動脈硬化性疾患予防のための脂質管理・診断と治療/診断と治療社 2008年(96巻7月号)

ドクター's コラム「脂質異常症とは」

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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