関西の専門医が語る ドクター's コラム
逆流性食道炎とは 診断と治療法
病気・症状と予防
2013年04月01日掲載
吉岡 秀樹 北浜よしおか内科クリニック 院長
執筆:
逆流性食道炎の診断
逆流性食道炎は、おもに問診と内視鏡検査で診断されます。
胸やけをはじめ、さまざまな症状がありますから、医師にどのような症状がでているのか詳しく説明しましょう。
内視鏡検査では食道の炎症の状態を調べます。胃カメラを挿入し、びらん(粘膜がただれること)や潰瘍(かいよう)の有無などを確認します。判断が難しい場合はその場で組織を取り、検査に出す場合もあります。
しかし、なかには症状を感じているのに、胃カメラでは炎症が確認出来ない場合もあります。
これは「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」とよばれ、最近注目されている症状です。
逆流性食道炎と同じく内視鏡検査をして診断しますが、内視鏡検査だけでは判断が困難な場合があります。まだ一般的ではありませんが、24時間にわたって携帯式の記録装置に胃と食道内部の酸度(pH)の変動を記録する、pHモニタリング検査を行うことがあります。
ドクターズメモ
“見えない現代病”非びらん性胃食道逆流症(NERD)
逆流性食道炎症とまったく同じ症状があるのに、胃カメラでは炎症が確認できない「非びらん性胃食道逆流症」。実は胸やけなどを訴える方の60%が、「非びらん性胃食道逆流症」だとするデータもあります。この、非びらん性胃食道逆流症は、少しの胃酸逆流でも症状が発生する、知覚過敏の影響が考えられています。
逆流性食道炎の治療法
薬物療法
逆流性食道炎でよく使われるのは、直接の原因となる胃酸の分泌を抑える薬です。胃酸の量を抑えることで、食道への逆流を少なくし、症状や炎症を落ち着かせます。また、食道の粘膜を保護する薬や、酸を中和する薬、食道や胃の運動機能を活発にさせる薬も用いられます。
逆流性食道炎は薬をきちんと服用すれば治すことが可能な病気で、ほとんどの人は数日間の服用で自覚症状はなくなります。しかし炎症が治ったわけではないので、勝手な判断で薬をやめてしまうと再発する恐れも。医師の指示に守って薬を服用するようにしましょう。
手術
まずは医師の指示通りに薬を服用し、生活習慣を改善することがおもな治療となりますが、再発を繰り返し、薬での治療が難しくなった場合は、開腹手術や腹腔鏡手術を行う場合もあります。
手術法としては、食道と胃のつなぎ目である噴門を締めなおす「噴門形成術」が行われます。
生活習慣の改善
逆流性食道炎を治すためには薬の服用とともに、食事と日常生活を見直すことも大切です。
食生活で意識すること | 日常生活で意識すること |
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逆流性食道炎と診断されたら、できるだけ下記の食べ物は避けるようにしましょう。
脂肪分の摂り過ぎやアルコールによって下部食道括約筋がゆるむと言われているほか、甘いものや香辛料、コーヒーに含まれるカフェインは胃酸の分泌を促進させます。
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お腹の圧力が高くなると胃の内容物が逆流しやすくなります。日常生活では腹圧がかからないような姿勢・動作をするようにしましょう。
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ドクター's コラム「逆流性食道炎とは」
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