暮らし あと押し eo

eo健康

関西の専門医が語る ドクター's コラム

逆流性食道炎とは 診断と治療法

吉岡 秀樹 北浜よしおか内科クリニック 院長

執筆:

吉岡 秀樹 北浜よしおか内科クリニック 院長

逆流性食道炎の診断

逆流性食道炎は、おもに問診と内視鏡検査で診断されます。
胸やけをはじめ、さまざまな症状がありますから、医師にどのような症状がでているのか詳しく説明しましょう。
内視鏡検査では食道の炎症の状態を調べます。胃カメラを挿入し、びらん(粘膜がただれること)や潰瘍(かいよう)の有無などを確認します。判断が難しい場合はその場で組織を取り、検査に出す場合もあります。
しかし、なかには症状を感じているのに、胃カメラでは炎症が確認出来ない場合もあります。
これは「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」とよばれ、最近注目されている症状です。
逆流性食道炎と同じく内視鏡検査をして診断しますが、内視鏡検査だけでは判断が困難な場合があります。まだ一般的ではありませんが、24時間にわたって携帯式の記録装置に胃と食道内部の酸度(pH)の変動を記録する、pHモニタリング検査を行うことがあります。

ドクターズメモ

“見えない現代病”非びらん性胃食道逆流症(NERD)

逆流性食道炎症とまったく同じ症状があるのに、胃カメラでは炎症が確認できない「非びらん性胃食道逆流症」。実は胸やけなどを訴える方の60%が、「非びらん性胃食道逆流症」だとするデータもあります。この、非びらん性胃食道逆流症は、少しの胃酸逆流でも症状が発生する、知覚過敏の影響が考えられています。

逆流性食道炎の治療法

薬物療法

逆流性食道炎でよく使われるのは、直接の原因となる胃酸の分泌を抑える薬です。胃酸の量を抑えることで、食道への逆流を少なくし、症状や炎症を落ち着かせます。また、食道の粘膜を保護する薬や、酸を中和する薬、食道や胃の運動機能を活発にさせる薬も用いられます。

逆流性食道炎は薬をきちんと服用すれば治すことが可能な病気で、ほとんどの人は数日間の服用で自覚症状はなくなります。しかし炎症が治ったわけではないので、勝手な判断で薬をやめてしまうと再発する恐れも。医師の指示に守って薬を服用するようにしましょう。

手術

まずは医師の指示通りに薬を服用し、生活習慣を改善することがおもな治療となりますが、再発を繰り返し、薬での治療が難しくなった場合は、開腹手術や腹腔鏡手術を行う場合もあります。
手術法としては、食道と胃のつなぎ目である噴門を締めなおす「噴門形成術」が行われます。

生活習慣の改善

逆流性食道炎を治すためには薬の服用とともに、食事と日常生活を見直すことも大切です。

食生活で意識すること 日常生活で意識すること

逆流性食道炎と診断されたら、できるだけ下記の食べ物は避けるようにしましょう。

  • ・脂肪を多く含んだもの(油っぽいもの)
  • ・アルコール
  • ・甘いもの
  • ・刺激の強い香辛料
  • ・コーヒーや濃い緑茶
  • ・みかんやレモンなどの酸味の強い果物

脂肪分の摂り過ぎやアルコールによって下部食道括約筋がゆるむと言われているほか、甘いものや香辛料、コーヒーに含まれるカフェインは胃酸の分泌を促進させます。
また食べ方にも注意が必要です。

  • ・時間をかけてゆっくりと食べる
  • ・食べ過ぎは避ける
  • ・夕食の量を減らして朝まで我慢する
  • ・寝る直前にものを食べないようにする
  • ・食べた後、すぐ横にならない
    (食後約3時間は胃の内容物が逆流しやすい)

お腹の圧力が高くなると胃の内容物が逆流しやすくなります。日常生活では腹圧がかからないような姿勢・動作をするようにしましょう。

  • ・前かがみの姿勢は避ける
  • ・重いものを持ち上げたり、強く力んだり、お腹に力を入れる動作は避ける
  • ・ベルト、ガードル、帯などでお腹を強く締め付けないようにする
  • ・便秘にならないようにする
  • ・肥満に注意する
  • ・なるべく腰を伸ばす
  • ・寝るときは背中の中央部から上を高くする
  • ・禁煙する

ドクター's コラム「逆流性食道炎とは」

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

おすすめ記事一覧