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関西の専門医が語るドクター's コラム

緑内障Q&A

Q. 緑内障に気付かないのはどうしてですか?視野変化を自覚しないのはどうしてですか?

A. 視野は普段の状態では自覚することが難しいものです。とくに、両眼で見ている場合は、左右それぞれの目が助け合って視野を補完しているので、欠損が始まっていても気が付きません。ときどき片眼ずつで見てみることが必要です。また、一度欠損した視野は回復しないので、なるべく早期に異常を発見する必要があります。下方の視野が欠けていると割合気づくのですが、上方が欠けていると分かりにくいようです。また、中心の近くに暗点が出てくると気付くこともありますが、このような中心に近い場所にある暗点は、意外と早く進行することがあるので注意が必要です。

Q. 点眼薬はどのようなものがありますか?

A. 点眼薬には多数の種類がありますが、房水の産生を抑えるタイプと、房水の流出を促進するタイプがあります。
また、最近ではもう1つの流出路と考えられている「ぶどう膜、強膜流出路」からの房水の流出を促進する点眼薬も多く使用されています

Q. 忘れずに点眼を行わなければならない理由は何ですか?

A. 眼圧を下げている状態を保つことが、眼を安定させ、視神経の圧迫を防ぎます。点眼を忘れると眼圧が上下する可能性が高くなり、揺さ振られることにより、安定した状態を保てません。できるだけ正確に、決められた回数の点眼を続けてください。点眼によって、常に眼圧を低く保つことが大切で、高くなっている時間帯を短くすることが重要です。

Q. 眼圧は変動するようですが、血圧との関係はありますか?

A. 眼圧は血圧ほど刻一刻と変動しているわけではありません。直接は関係ないと考えてください。ただし、低血圧の人は緑内障が進行しやすいと言われています。まったく別の話ですが、最近では脳脊髄圧(のうせきずいあつ)が低いと眼圧との差が高くなり、篩板(しばん)が湾曲するため、緑内障が進行しやすいと考えられています。

Q. 眼科へ行くたびに眼圧を測ってもらうのですが、いつも変動があるのはどうしてですか?

A. 眼圧は血圧ほど刻一刻変化しているのではありませんが、それでも常に一定というわけではなく3~5mmHgの日内変動があることが分かっています。厄介なことに、日内変動はすべての人、すべての眼が同じではなく、個人差が大きく、日中に高くなる人や、夜中・朝方に高くなる人、ほとんど変動しない人などさまざまです。比較的、夜間から早朝にかけて高くなる人が多いので、最近は夜に1回点眼するタイプの点眼薬が多くなっています。診察時に眼圧を測定し、治療効果を判定するには、いつも同じ時間に測ってみることが大切です。場合によっては、あえて夜の診察を受けて、昼の眼圧と変化がないか調べてみるのも有効かと思います。

Q. 眼圧が少しでも上がると、緑内障はすぐに悪くなるのですか?

A. 眼圧が少し上がるだけでは目立った変化はないと考えられます。眼圧が恒常的に健常眼圧を超えた状態が続くと、徐々に神経線維が脱落していく可能性がありますし、また上下の変動が大きいと悪くなりやすいと考えられます。緑内障になりやすい人には、神経質で心配性という性格的な特徴が見られます。交感神経の過度な緊張は良くありませんので、リラックスして、安心して治療を受けましょう。

Q. 眼圧の数値はどのくらい緑内障の進行に影響するのですか?

A. あくまでも平均眼圧での話ですが、データによると眼圧を常に平均して1mmHg下げることを維持できると、視野障害のリスクが10~14%減ると言われています。また、緑内障の治療で唯一、確定的に分かっていることは、「眼圧を下降させること」が、確実に進行を抑えることができる「唯一の方法」であるということです。

Q. 緑内障にとっていい食べ物はありますか?

A. 食事で緑内障が改善することはありませんが、刺激の強いものは良くないと考えられています。眼圧は日内変動もあるのですが、なるべく安定した状態を保つために、規則正しい生活を心がけることが大切です。ビタミンも含めて、バランスの良い食事を摂るということは、どんな病気でも同じことです。目の健康に役立つとされるブルーベリーですが、緑内障に効くというデータはないと思います。

Q. パソコンなどは控えたほうが良いですか?紫外線は影響しますか?

A. 初期の緑内障であれば、とくに問題はないと思いますが、少し進行している人は眼の酷使はさけた方がよいでしょう。紫外線は視神経より黄斑部網膜(おうはんぶもうまく)に影響を与えると考えられていますので、直接的には大丈夫でしょう。また、サングラスを上手に利用されるといいでしょう。

Q. 緑内障の遺伝はあるのですか?

A. 遺伝はたしかにあるようです。両親に緑内障のある人は、視神経の抵抗性が低い可能性があります。正常の眼圧でも緑内障に注意する必要があります。個人によって、健常眼圧は異なります。また近視の人は眼軸長が長くなり、篩板(しばん)が変形しやすいので緑内障になりやすい傾向があります。

Q. 緑内障はいつまで治療するのですか?

A. 急性の緑内障であれば、レーザー治療や手術で治まる場合もありますが、基本的には一生治療を続けると考えてください。緑内障の治療は、無理をせずに眼を良い状態に保ち、視野の進行を抑えるのが目的ですので、眼圧を正常な状態にキープすることが必要です。面倒でも中断することなく、ゆっくり続けていきましょう。

Q. 緑内障の治療で大切なことは何ですか?

A. 緑内障と診断されると、とても心配になると思いますが、簡単に失明する病気ではありませんから、落ち着いて眼の状態を見極めることが大切です。眼圧の程度、緑内障のタイプ、視野変化の程度をしっかり把握して、経過観察、管理を長期間にわたって継続することが大切です。また、視野の状態がどのように変化していくか予測して治療を選択することも大切です。もっとも大切なのは、緑内障は奥が深く、それぞれの眼で個人差が大きく(同じ人であっても左右の眼で異なります)、同様の症状や経過が見られるわけではないという点です。治療を行う際は、主治医とよく相談して、病気と仲良く付き合っていく必要があります。

ドクター's コラム「緑内障」

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