目がゴロゴロするときの原因と対処法。コンタクト・眼病が原因?【眼科医監修】
病気・症状と予防
2019年12月05日掲載
目がゴロゴロする・異物感があるといったことは、誰もが感じたことのある身近な症状ではないでしょうか。我慢しようと思えばできるため、ついついそのままにしてしまいがちですが「慢性化している」「長引いている」ようであれば注意が必要です。今回は眼科医の櫻井寿也先生に、目がゴロゴロする原因や治療法・対処法について教えてもらいました。
櫻井寿也 院長
多根記念眼科病院
奈良県立医科大学卒業、同眼科学教室入局。医局長を経て、2001年より多根記念眼科病院に勤務し、2017年より現職に。専門は眼科全般、網膜硝子体疾患など。
目がゴロゴロする原因:合わないコンタクトレンズ
●原因は合わないコンタクトレンズかも
コンタクトレンズをしているときに目がゴロゴロするなら、目に合っていない可能性があります。特に、眼科の検診を受けずに自己判断で購入している方にその傾向が見られます。というのも、眼球の大きさやカーブは人によって違うため、ご自身の目の形に合っていないコンタクトレンズをつけているとどうしても違和感が出るからです。
●コンタクトレンズ選びで見るべきポイント
ご自身でコンタクトレンズを選ぶとき、レンズの色や大きさ・値段だけを見ている方は多いかもしれません。しかし重要なのは、レンズの「酸素透過率」や「ベースカーブ」です。
【酸素透過率】
酸素透過率とは、レンズを通してどれだけ酸素が目に届けられるかを数値化したものです。酸素透過率が高ければ高いほど酸素を届けられるため、角膜の負担を軽減できます。
ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズより一般に酸素透過率は高いと言われています。しかし最近では、ハードコンタクトレンズ並みに酸素を透過するシリコンハイドロゲルソフトコンタクトレンズが主流になりつつあります。
ただし、「酸素透過率がとにかく高いものを選べばいいのか」というと、決してそうとは言い切れません。なぜなら、酸素透過率が高ければ高いほど涙も通しやすいため、コンタクトレンズを通じて涙が蒸発しやすく乾燥してしまうからです。特にドライアイの方は、酸素透過率の高さが目の乾燥や違和感・ゴロゴロ感の原因になる可能性があります。
関連記事:市販の目薬ではかえって悪化?ドライアイは治療で治る?実は知らないドライアイのこと
また一般的に、酸素透過率が高いものほど汚れがつきやすいと言われています。汚れていると透過率は落ちてしまうので、きちんとケアをきちんとしないと透過率が高いレンズをつけていても意味はなくなってしまいます。
★ポイント★
- 酸素透過率が高いほど角膜への負担が少ない
- 酸素透過率が高いほど目が乾燥しやすい・ゴロゴロしやすい
どのくらいの酸素透過率が適しているのかは人によって異なります。そのため、コンタクトレンズを選ぶときは実際につけて装用感を試してみることが大切です。通販やバラエティショップでは基本的に試着はできませんが、眼科であれば複数のレンズを試してから購入できます。
【ベースカーブ】
ベースカーブとは、コンタクトレンズ内面の曲率半径のこと。数値が小さいほどカーブはきつくなり、数値が大きいほどカーブは緩くなります。ベースカーブがきつすぎると、レンズが角膜に張りついている感じがしてゴロゴロ感を覚えやすくなります。また、レンズが角膜の上で動きにくくなるため、酸素が供給されず角膜障害が起こる恐れも。反対にレンズが緩すぎるとレンズが外れやすくなります。
★ポイント★
- ベースカーブがきついと、ゴロゴロしやすく角膜に負担もかかりやすい
- ベースカーブがゆるいと、レンズが外れやすい
一般的なソフトコンタクトレンズは、ベースカーブを2種類から選べるものがほとんど。ハードレンズの場合はもっと多くの種類から選べます。快適に・かつ安全にコンタクトレンズを装用するには、自分の目に合ったカーブを選択することが大事です。眼科であれば、検診によって最適なベースカーブが分かります。
正しいアイケアとレンズケアで目のゴロゴロ感を防ぐ
●目薬をしてドライアイを防ぐ
コンタクトレンズによるゴロゴロ感は、乾燥(ドライアイ)が原因のケースが多くあります。ドライアイを防ぐためには、目薬を定期的にさすのが効果的です。市販のものでも構いませんが、注意したいのは目薬に含まれる「防腐剤」です。多くの市販の目薬に含まれている防腐剤が、コンタクトレンズに吸着されて炎症の原因になる恐れも。また、ドライアイの原因は人によって違い、涙の量自体が少ないせいで乾燥しやすい人もいれば、涙の質が良くないゆえに乾燥しやすくなっている人も。目の状態にあわせた目薬を選択するには、やはり眼科での処方が一番です。
●レンズの正しいケアを
コンタクトレンズの表面は、非常に細かいメッシュ状になっています。そこに汚れがつくとメッシュが詰まり、酸素透過率が低下したり眼病の原因になったりします。外した後にきちんと洗うのはもちろん、2週間以上使用するタイプのレンズを使うのであれば、定期的にタンパク質除去剤を使ってケアを。コスト面を考えないのであればワンデータイプがおすすめです。
●眼科で定期的に検診を受ける
自分ではコンタクトレンズを正しく使っているつもりでも、いつのまにか角膜が傷ついている恐れがあります。長年コンタクトレンズを使っていると目の知覚が低下しやすいため、傷や炎症に気づかなくなっているケースも。炎症をそのまま放置するとドライアイ・アレルギー性結膜炎・角膜感染症といった眼病に進行し、深刻な視力障害をきたす恐れもあります。定期的に眼科を検診して目の状態をチェックするようにしましょう。
目がゴロゴロする原因:ホコリやアイメイク
ゴミやホコリ・アイメイク(マスカラやアイシャドウ・アイラインなど)・洗顔料の洗い残りなどが入って目がゴロゴロすることもあります。予防のためには以下の点に気をつけましょう。
- 空気の悪い場所や砂やホコリの舞いやすい場所に行ったときは、目をパチパチと水洗いして汚れを落とす
- アイメイクはしっかり落とす
- メイクをした状態で目をこすらない
- 洗顔時は洗い残しのないようしっかりすすぐ
なお、このような異物がまぶたの裏側に入り込んでしまった場合、自分ではなかなか取れないため知らず知らずのうちに角膜を傷つける恐れがあります。慢性的にゴロゴロした状態が続いているようなら、一度眼科で検査をしたほうがいいでしょう。
目がゴロゴロする原因:目の病気
目の病気が原因で目がゴロゴロすることもあります。
●流行性結膜炎
流行性結膜炎は、アデノウイルスというウイルスに感染して結膜に炎症が起きる病気です。この症状として目がゴロゴロしたり、結膜の腫れやむくみ、充血や目やにが生じたりします。片目だけに突然このような症状が出た・周りに流行性結膜炎にかかっている人がいるという場合は、この病気が疑われます。
アデノウイルスは感染力がとても高く、主に手を介して伝染します。その強さは感染者が触れた電車のつり革に触れ、その手で目をこすっただけでうつってしまうほどです。症状が出たら眼科で診察を受け、必ず治療を行ってください。また、まわりの人にうつさないようタオルやコップを使い回さない・家族と同居しているならお風呂は最後に入るなどの配慮も必要です。
●アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、目の表面に花粉をはじめとするアレルギー物質が付着することによって結膜に炎症が起きる病気です。この症状として、目のゴロゴロ感や結膜の腫れ・むくみ・充血・目やになどが生じます。特定の季節になると目がゴロゴロする・何らかのアレルギーを持っているという場合は、アレルギー性結膜炎が疑われます。
●角膜炎
角膜炎は、角膜に傷がつき炎症を起こしている状態を指します。この症状として、目のゴロゴロ感・痛み・充血・視界のにごり・まぶしさなどが現れます。角膜炎を引き起こす要因はさまざまです。例えば、コンタクトレンズの不適切な使用・逆さまつげ・アイメイクが入り込んだ・真菌やカビ・ウイルスが入ったなどが考えられます。角膜炎は放っておくと重症な視力障害につながる恐れがあります。目の違和感が続いているのであれば、早めに眼科を受診しましょう。
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まとめ
目がゴロゴロする原因はさまざま。コンタクトレンズが合っていないこともあれば、角膜炎や結膜炎などの眼病にかかっている可能性も。放置していると、いずれ深刻な視力障害をきたす恐れもあります。目の違和感が慢性化している・長く続いている方は、ぜひ一度眼科で検診を受けてみましょう。
多根記念眼科病院 櫻井寿也 院長
公式URL:http://tanemem.com/
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