雨の日の体調不良はなぜ起こる?低気圧が体に与える影響と治し方
健康とくらし
2024年08月21日掲載
雨の日が近づくと、頭が痛い、眠い、呼吸がしづらい、肩が凝る、気分が落ち込むなどの体調不良を訴える人は少なくありません。なぜこのような体調不良が発生するのでしょうか?
今回は、雨の日や低気圧の体調不良の原因や改善策・予防策などについて、久野銀座クリニック院長 医学博士の岡村信良先生に教えてもらいました。
岡村信良
【監修】小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士
平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。
雨の日の体調不良とは?原因は?
雨の日に体調不良が起こる主な原因として、低気圧の影響が挙げられます。低気圧とは、簡単にいうと周囲よりも大気の圧力が低い状態のことで、このような大気の圧力の変化が心身にもさまざまな影響をもたらします。目安としては、気圧が990hPa以下になると、低気圧に敏感な人は体調不良を感じやすくなります。特に自律神経のバランスが崩れることにより、症状が強く表れる人もいます。
低気圧で体調不良が起きるのはなぜ?
自律神経が乱れやすくなるから
低気圧が近づくと、気圧の変化によって自律神経が乱れやすくなります。これが原因で、頭痛やめまい・疲労感などの症状が現れることがあります。
体内の酸素濃度が低下しやすくなるから
低気圧の状態では、空気中の酸素濃度が低下するため、体に十分な酸素が供給されにくくなります。これが原因で、息苦しさや倦怠感を感じることがあります。
血行不良が起きやすくなるから
気圧の変化により血管が拡張し、そのせいで頭痛や関節・筋肉の痛みが悪化することがあります。
体の水分調節がうまくいかなくなるから
雨の日は湿度が高くなるため、体内の水分調節がうまくいかず、むくみや関節痛が起こりやすくなります。
低気圧による影響を受けやすい人はどんな人?
不調の原因となる病気を持っている人、自律神経のバランスが乱れやすい人などは影響を受けやすいとされています。例えば、不規則な生活や偏った食事をしている人、ストレスをためやすい人、持病を持っている人(狭心症・低血圧・喘息・うつ病の他、過去に大きな怪我や手術の経験がある)などがあげられます。また、ホルモンバランスの影響で、男性よりも女性の方が低気圧の影響を受けやすいとされています。
気象病との違いは?
気象状況の変化が体調に悪影響を与えることを気象病と呼ぶことがあります。そのため、低気圧によって体調が悪化する症状も気象病の中に含まれます。ただし、気象病は正式な医学用語ではなく、気圧、温度、湿度などの変動によって起こる不調全般をざっくり指す言葉として使われています。
低気圧が引き起こす体調不良ってどんなもの?
低気圧による体調不良は人それぞれですが、以下のような症状を感じる人が多い傾向にあります。
頭痛
気圧の変化により、血管が拡張し、頭痛が引き起こされることがあります。特に片頭痛を持っている人は、低気圧時に症状が悪化しやすい傾向があります。
めまい
自律神経が乱れることで、平衡感覚が影響を受け、めまいを感じることがあります。
疲労感
低気圧により酸素濃度が低下するため、体が酸素を取り込みにくくなり、全身の倦怠感や疲労感が増すことがあります。
関節痛
気圧の変化が関節や筋肉に影響を与え、関節痛や筋肉痛が悪化することがあります。特に、関節炎やリウマチを持っている人は、症状が顕著に現れることがあります。
耳の不快感
気圧の変化により、耳の圧力が変わり、不快感や耳鳴りが発生することがあります。
息苦しさ
低気圧による酸素濃度の低下が原因で、呼吸が浅くなり、息苦しさを感じることがあります。
胃腸の不調
自律神経の乱れが胃腸に影響を与え、胃の痛みや消化不良、吐き気などの症状が現れることがあります。
なお、狭心症・低血圧・喘息・うつ病といった持病をお持ちの方は、低気圧で症状が表れやすくなる他、過去に大きな怪我や手術の経験がある方は、傷口が傷んだりうずいたりしやすくなります。
低気圧による体調不良への対策方法
リラックスを心がけよう
低気圧で体調不良のときは、無理せずリラックスすることが大事です。心身がリラックスすると自律神経が安定し、不調が改善しやすくなります。ゆったり過ごすことを心がけるほか、ヨガやストレッチ、深呼吸、瞑想などがおすすめです。
水分補給をしっかり!
水分をしっかりと摂ることで、体内の水分バランスが保ちやすくなり、むくみを予防できます。常温の水を少量ずつこまめに飲むようにしましょう。一度にたくさんの水を飲むのではなく、少しずつちょこちょこ飲むのがポイントです。
温かい食べ物や飲み物を摂ろう
体を温める食べ物や飲み物を摂ることで、血行を良くし、体調不良を和らげることができます。冷たい飲み物ではなく常温の水、アイスやかき氷など冷たいものは避けましょう。夏場でも低気圧で辛いときはうどんやおかゆ・スープなどの温かい食べ物がおすすめです。
また、脂っこいものや味付けの濃いもの、繊維質なものはさけ、消化の良いものをとりましょう。揚げ物やジャンクフード・脂身の多い肉類ではなく、柔らかく煮た野菜やあっさりしたささみや白身魚などを使った料理などがおすすめです。
運動や半身浴で汗をかこう
汗をかいて体の水分代謝を促すことも大事です。動ける状態であれば、ウォーキングなどの運動をするか、体が辛い場合は半身浴で汗をかきましょう。
血行改善を意識して
低気圧で体調不良が出ているときは、体の血行が悪化しています。息苦しい、むくみがひどいといった体調不良の際は、ストレッチやマッサージ、お風呂にゆっくりつかるなどして血行を良くしてみましょう。
体を冷やさないように気を付けて
体が冷えると、血行不良によりむくみが悪化してしまいます。体を冷やさないように、冷房を控えめにしたり、カーディガンを羽織ったりひざ掛けをしたり対策を。夏場は外が暑くても室内は冷房で冷えていることが多いので、個人での温度調節がとても大事になります。また、冷たい食べ物や飲物も、極力控えましょう。
症状によっては薬の服用も
低気圧の影響で頭痛がひどいのであれば、鎮痛剤を服用するのも選択肢のひとつです。我慢しすぎは良くないので、必要に応じて薬に頼っても良いでしょう。
低気圧による体調不良を防ぐために気をつけたいこと
規則正しい生活習慣を
規則正しい生活リズムを保つことはとても大事です。十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事・適度な運動を意識することで自律神経のバランスが整いやすくなるので、低気圧による体調不良も起こりにくくなります。
天気予報をこまめにチェックしよう
低気圧による体調不良がよく起きる人は、天気予報をこまめにチェックしましょう。気圧の変動を教えてくれるスマホアプリもあるので、活用してみると良いでしょう。そして、低気圧が予測される日には、体調を整えるための対策を早めに取ることが大切です。
どうしても外せない仕事や用事以外はできるだけ予定を入れずにゆっくり過ごす、頭痛が出やすい人は鎮痛剤を持ち歩く、体を冷やさないように上着を持ち歩く、血行が悪化しないようにこまめに体を動かすなど、症状を穏やかにするための対策を行いましょう。
まとめ
低気圧による体調不良は、自律神経の乱れや酸素濃度の低下などが原因で発生します。大事なのは、規則正しい生活を心がけてそもそも気圧に左右されにくい体づくりをすること。そして体調不良が起きてしまったときは、リラックス法を取り入れたり水分補給をしっかりしたりすることを意識しましょう。また、天気予報をチェックして、事前に対策を取るのも大事です。
小田原博信会理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士 岡村信良
URL: https://kuno.odawaragc.com/
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