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【自転車保険】大阪、滋賀、兵庫で義務化。加入しないとまずい!?

2016年に大阪府、その後滋賀県や兵庫県でも加入が義務化された自転車保険。他の自治体でも義務化検討が進行中。近年、趣味・健康のために自転車を利用する人は増えていますが、自転車利用者が事故の加害者になるケースは後を絶ちません。事故によっては被害者が重傷もしくは死亡、裁判で高額の賠償命令がでたというケースもあります。万一に備え自転車保険に加入しましょう。ファイナンシャルプランナーの中野敦成さんが、選ぶときの3つのポイントを解説します。

自転車に乗るあなたが加害者になるかも

ここ数年、自転車ブームが続いています。
趣味で乗る人以外にも、運動や交通費の節約のために通勤や通学に使う人が増加。なかでも、よりスピードの出るスポーツタイプの自転車の年間販売台数は2003年と比べて約3.5倍と急増しています(2013年時点)。
そしてこの台数に比例するように自転車事故も増加し、2005年の自転車事故は約18万件。ただし、自転車事故は年々減少し、2015年には11万2000件と、約40.6%にまで減少しました。
ところが、あまり減っていない自転車事故もあります。それが、「自転車同士の事故」と「自転車と歩行者の事故」です。特に自転車と歩行者の事故は、10年前とほとんど変わらず、減少率はわずか2.5%にとどまっています。

「自転車事故件数の推移」引用元:イタルダインフォメーションNo112 交通事故分析レポートより(交通事故分析センター)

それでも「自動車ほどスピードの出ない自転車の事故だから、たいしたことはないだろう」と考えてはいませんか? 実は自転車同士の事故では約10%が重傷に、対歩行者との事故では歩行者の約12%が重傷もしくは死亡しています。

<事故の例>

・小学5年生がマウンテンバイクで走行中、67歳女性に激突。女性は頭の骨を折るなどして意識不明に。
・15歳の男子中学生が、62歳の男性会社員に正面衝突。男性は転倒し死亡。
・男性が坂道をスピードを落とさずに自転車で走行中に、38歳の主婦に衝突。主婦は3日後に脳挫傷により死亡。

※ひき逃げ等で当事者の損傷が判明しないものは除く

引用元:イタルダインフォメーションNo112 交通事故分析レポートより(交通事故分析センター)

このように、自転車運転者は車やバイクに対しては被害者になることが多いですが、自転車同士、あるいは歩行者に対しては加害者になる可能性が高いのです。 さらに自転車事故を起こす年齢は、16~18歳が最も多く、次に多いのが13~15歳。つまり小さな子供ですら、意図せず加害者になってしまうことがあるのです。

※人口は、総務省統計資料「各年10月1日現在人口」を使用
※自転車運転者数は、対歩行者事故の1・2当、自転車相互事故の1当を集計
引用元:イタルダインフォメーションNo112 交通事故分析レポートより(交通事故分析センター)

自転車保険への加入が当たり前の時代に!?

大阪府では自転車保険への加入を義務づける条例が制定されるなど、自転車保険の必要性が重視されてきています。万が一に備えて、自転車に乗る人は自転車保険への加入がベスト。さまざまなタイプの自転車保険が販売されているので、ぜひ加入しておきたいところですが、種類が多くて迷ってしまいます。
そこで、自転車保険加入を検討中のOさん(39歳)が、自転車保険に詳しいファイナンシャルプランナーの中野さんにアドバイスを受けました。ぜひ加入の参考にしてください。

中野さんプロフィール

ファイナンシャルプランナー。1972年大阪府堺市生まれ。1996年金沢工業大学卒業。社会人経験を経て、2005年ファイナンシャルプランナーの社会的意義に感銘し、「LB PLANNING」を開設する。

Oさんプロフィール

大阪市在住。妻、娘(8歳)と暮らす3人家族。自転車利用が多く、子どもも自転車に乗る機会が増えてきたため、加入を検討中。

最近、自転車保険の話題をよく耳にするようになりました。

そうですね。大阪府では、2016年に「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が施行され、この条例の中で自転車保険の加入が義務化されました。これにより、新聞やテレビなどさまざまなメディアで取り上げられたということがあるでしょう。
特に大阪に住むOさんの場合、勤務先やお子さんの通う学校などによっては自転車保険への加入を促す案内が配布され、目にする機会が増えたことも考えられますね。

なぜ大阪府で、義務化になったんですか?

自転車は、日常の通勤や通学、買い物や行楽などさまざまな場面で利用される手軽で身近な移動手段です。小さな子供から高齢者まで幅広く利用されていますが、利用者のマナー違反などによる事故も増えているんです。特に大阪府内では2015年の自転車事故の死者数は50名に達し、都道府県別の事故件数も全国ワースト1となりました。
自転車事故を起因とした、高額な賠償請求の事例が発生していることもあり、被害者への補償を確保するために自転車保険等への加入を促すために義務化されたのです。

私はまだ自転車保険に加入していないんですが、罰則などはあるのでしょうか?

罰則規定はないんですよ。ただ、だからといって、自転車保険等に加入する必要がないということではありません。
罰則がないのは、自転車には車両を登録するシステムがなく、車体を特定し、罰則の対象を確認することが困難なためです。
ご自身や家族、被害者となった方の補償を確保するためにも自転車保険等には加入してください。

ちなみに、他の都道府県でもそのような条例は制定されているんですか?

兵庫県、滋賀県では、大阪府同様に自転車保険等への加入が義務づけられています。京都府については、レンタサイクルなどの事業者への加入義務があります。その他の自治体でも検討が進められていることもありますから、今後多くの自治体で自転車保険等への加入が義務化する可能性はありますね。

ではそのうち、自転車保険に加入することが当たり前の時代になるかもしれないんですね。

自転車保険で注意すべき3つのポイント

僕は通勤で自転車を使っていますし、妻も買い物などには自転車を利用しています。娘も1人で自転車に乗って遊びに出かけることが増えてきたので、自転車保険に入りたいなと思っているんですが……。まず、どこで加入できるんでしょうか?

損害保険会社の代理店の他、自転車ショップ、携帯電話ショップ、コンビニエンスストアなどでも加入の手続きが行うことができる店舗もあります。
また、損害保険会社によっては、インターネットサイトで手続きすることができますよ。

コンビニやネットで加入できるのは便利ですね! 加入する際はどういう点に気をつければいいんでしょうか?

気をつけるポイントは次の3つです。
1. 誰を補償の対象にするか
2. 何に対して補償をするのか
3. いくらくらいの補償額が必要なのか

1つめの「誰を補償の対象にするか」ですが、家族の中で自転車に乗る人は誰なのかを確認しましょう。本人だけなのか、本人の配偶者や子供も補償の対象にするのか、によって保険の加入方法が異なります。

次に、2つめの「何に対して補償をするのか」。
自転車保険の補償の対象には、大きく分けて3つの補償があるんです。
・自転車に乗っている本人の体の補償
・自転車の故障などが起きたときの補償
・自転車で他人にケガをさせたときや、他人の財物に被害を与えたときの補償

何のために備えるのかをはっきりさせると、保険も選びやすいと思います。
最後に3つめの「いくらくらいの補償額が必要なのか」。
「何に対して補償をするのか」考えた補償が、どのくらいあればよいかを考えましょう。
たとえば自転車の故障のためであれば、数万円~数十万円でよいかもしれませんが、他人にケガを負わせてしまった場合の補償のためであれば多額の補償額を準備する必要があります。

先日、娘の自転車を買いに行ったとき、サイクルショップでTSマークの説明を受けたんです。TSマークにも保険がついていると聞いたんですが……。

TSマークは、点検整備した安全な普通自転車に貼られるシールのこと。 TSマークには傷害保険と賠償責任保険が付帯されています。ただし、第一種TSマーク(青色シール)の付帯保険は、自転車搭乗中の人が他人を死亡させてしまった際の賠償責任補償額は1,000万円なんです。この金額は被害者に対しての賠償額としては、不足する可能性があると思います。

同じように、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として、すでに個人賠償責任保険に加入している場合もあります。またクレジットカードの付帯サービスで、個人賠償責任保険が付加されている場合もあるでしょう。これらも自転車事故に対応できますが、補償の対象や補償額が限られている場合があります。ですから「付帯サービスで保険がついているから」といって、安心することはできないんです。今一度、先ほどの3つのポイント「誰を対象で・何に対して・補償額がいくらに設定されているのか」を確認しましょう。
また、クレジットカードの特約などでは示談交渉サービスがついていない商品もあります。万が一、被害を与えてしまった場合に、スムーズに事故解決を行うためにも、付帯サービスにも注意するといいでしょう。

第一種TSマーク
賠償責任補償
1,000万円(限度額)

第二種TSマーク
賠償責任補償
5,000万円(限度額)

個人賠償責任保険……加入してたかな? もし僕のクレジットカードに個人賠償責任保険が付帯されていて、そのうえで自転車保険に加入した場合、補償はどうなるんですか?

補償が重複している場合は、保険会社からの補償の総額は実際の補償額と同額になるんです。
例えば、A社・B社の2社で保険に加入していて、20万円の費用がかかった場合の補償額は、A社・B社併せて20万円が保険金として給付されます。
ただし、ケガの補償などで日額補償や一時金で決まった金額の保険金が給付される補償については、それぞれの保険会社から既定の保険金が支払われます。

では僕の家族構成の場合、オススメのプランはありますか?

Oさんの家族構成の場合、一人ひとり個別で加入すると割高になるので、「家族型」と一般的に言われるプランに加入することで、保険料を抑えることができます。
家族型は、ご本人と配偶者、同居の親族および別居の未婚の子供を補償の対象とするプランです。お子さんだけでなく、同居のご両親なども対象となります。
同居の親族に関しては保険会社によって規定が異なる場合がありますので、加入前に確認してくださいね。

生命保険や健康保険は年末調整のときに申請しますが、自転車保険も同じように控除対象になるんでしょうか?

以前は、傷害保険などは控除の対象となっていましたが、現在、新規に加入する損害保険の控除対象は地震保険のみになっています。ですから、どのような形であっても傷害保険に類する控除はありません。

自動車を買い換えると新たに保険の手続きが必要ですが、自転車を買い換えた時はどうなんですか?

一般的な自転車保険の場合では、特に手続きは必要ありません。ただし自身の自転車の修理補償などが付加されている保険の場合は、担当者に手続きが必要かを確認してください。

友だちの自転車で事故を起こした場合は?

一般的には借りた自転車で事故を起こした場合にも、ご自身で加入されている自転車保険でカバーされます。ただし、商品によっては、カバーされない可能性もありますので、加入前に担当者に確認してください。

では、万が一事故を起こしてしまったら、どうしたらいいでしょうか。加害者と被害者ではやるべきことは違いますか?

加害者と被害者ですべきことは大きくは変わりません。事故の多くは道路上などで起きますので、まずは、安全が確保できるところまで移動してください。その上で、次のことを行いましょう。

・警察への連絡
・加入保険会社の担当・コールセンターへの連絡
・相手との連絡先の交換

注意したいのは、当事者同士で口約束などは行わないこと。保険に加入をしているからといって、事故の当人が思っている補償が必ず行われるとは限りません。相手を気遣ってのことだとしても、補償の話などをしてしまい、後で「言った」「言わない」などのトラブルなどにならないように気をつけてください。

なるほど。自転車事故とはいえ気軽に考えてはいけませんね。保険は家族とも相談して決めたいと思います。今日はありがとうございました。

監修

ファイナンシャルプランナー 中野敦成さん

LB PLANNING

住所:大阪府大阪市西区北堀江1丁目1-7 四ツ橋日生ビル本館207
電話:06-6536-5988  ウェブサイト:http://www.lbplan.net/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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