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大きくて痛い「しこりニキビ」。どうやって治す?再発しないためには?粉瘤との違いも

赤くてボコっと目立つニキビができてしまった……そんな経験がある人が多いのではないでしょうか?触ると痛かったり、メイクしても隠しきれなかったり、とってもブルーな気持ちになってしまいますよね。そこで今回は、このいわゆる「しこりニキビ」の原因や対処法・予防方法を市立東大阪医療センター 副院長・皮膚科部長 猿喰浩子先生に教えていただきました。あわせて、しこりニキビと間違われやすい粉瘤(ふんりゅう)という病気についても解説していますので、気になる方は参考にしてください。

猿喰浩子(さるばん ひろこ)

【監修】地方独立行政法人 市立東大阪医療センター 副院長・皮膚科部長

山口大学医学部卒業後、大手前病院や大阪警察病院・関西労災病院などに勤務。現在は、市立東大阪医療センター副院長・皮膚科部長を務める。専門はアレルギー性皮膚疾患や乾癬(かんせん)。日本皮膚科学会 専門医・指導医。

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しこりニキビとは?

ニキビの女性

そもそも「ニキビ」とは、皮脂の多い部位の毛穴に発症する炎症性の丘疹(きゅうしん)・膿疱(のうほう)のこと。この小さなニキビが炎症を起こして悪化したものが、いわゆるしこりニキビと呼ばれます。つまり、しこりニキビは、突然ボコっとできるわけではなく、ニキビの最終段階とも言えるものなのです。

ニキビがしこりニキビになるプロセスとは?

ニキビ種類

ニキビには悪化のプロセスがあります。

第1段階:微小面皰(びしょうめんぽう)……ニキビができる1歩手前

微小面

ニキビができる第一段階は、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まっている状態です。見た目には「ニキビができているな」とは確認できないレベルの異変です。

第2段階:面皰(めんぽう)…… 白ニキビ、黒ニキビ

 白ニキビ、黒ニキビ

次の段階では、毛穴の中に皮脂がさらに蓄積されてアクネ菌が繁殖していきます。触ると少しポコっとしていたり、見た目にも「ニキビになりそう」とわかったりすることが多いです。この状態のニキビには、「白ニキビ」と「黒ニキビ」があります。白ニキビは毛穴が閉じていますが、黒ニキビは毛穴が開いています。

第3段階:丘疹(きゅうしん)膿疱(のうほう)…… 赤ニキビ、黃ニキビ

赤ニキビ

白ニキビや黒ニキビの状態よりもさらに毛穴の中でアクネ菌が繁殖すると、炎症を起こして腫れを伴う「赤ニキビ」になります。

黄ニキビ

赤ニキビの炎症がさらに進んで腫れが悪化すると、黄色い膿が見える状態になります。これがいわゆる「黄ニキビ」です。

第4段階:嚢腫(のうしゅ)・硬結(こうけつ)…… いわゆる「しこりニキビ」

しこりニキビ

赤ニキビや黄ニキビがさらに悪化すると、毛穴の周りにも炎症が広がっていきます。皮膚の下に膿や血が溜まって、ニキビが大きく腫れ上がります。触ると痛みを感じたり、しこりのように硬くなったりすることも。これが「しこりニキビ」です。しこりニキビまで進んでしまうと、炎症が治って腫れが引いても、赤みが残りやすくなります。炎症が皮膚の深部に及んでいる場合は、皮膚のひきつれ・ケロイド状の痕・クレーター状の痕が残ってしまうこともあります。

注意!しこりニキビではなく粉瘤の可能性も

粉瘤

一つ知っておきたいのが、「しこりニキビのように見えても、実はニキビではなく粉瘤(ふんりゅう)の場合もある」ということです。見た目はよく似ているため、素人目には区別がつかないこともあります。粉瘤の場合、ニキビとは治療方法が異なるので注意が必要です。

粉瘤とは?

粉瘤は、本来皮膚から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂などの老廃物が、皮膚の下にある袋に溜まってできる腫瘍です。

粉瘤としこりニキビの違い

ニキビは大きくなっても数ミリ程度ですが、粉瘤は悪化するにつれて大きくなっていき、数ミリから10センチ以上に巨大化することもあります。また、粉瘤は中央に黒点状の開口部があるのも特徴です。強く押すと嫌な匂いのする白から黄色のペースト状のものが出てくることもあります。粉瘤の場合は、放置していると老廃物が溜まって大きくなったり炎症を起こしたりするので、早い治療が必要です。しこりニキビか粉瘤かわからない場合は、皮膚科で診てもらうことをおすすめします。

しこりニキビはどうすれば治る?皮膚科での治療法

ニキビ薬

ニキビが小さな炎症ではなく「しこりニキビ」にまでなってしまった場合、セルフケアで綺麗に治しきるのは難しいと言えます。悪化や再発を防ぐには、皮膚科での治療が最短ルート。皮膚科では以下のような治療を行います。

塗り薬の処方

皮膚科でのニキビ治療は、塗り薬の処方がメインです。アクネ菌を殺菌する作用のある薬や、毛穴への皮脂つまりを防ぐ薬、抗菌剤などを用いるのが一般的です。最近は健康保険適用のニキビの外用薬にもさまざまな種類があるので、肌の状態を見ながら、適切な外用薬を処方します。

内服薬の処方

炎症症状が強い場合は、抗生物質の内服薬を処方することもあります。また、体質改善の目的で漢方薬を処方したり、補助的内服療法として、ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンEなどのサプリメントが出されたりすることも。このほか、月経周期に伴うホルモンバランスの乱れによるニキビには、低用量ピルを処方するケースもあります。

切開手術やレーザー治療も

外用薬や内服薬の処方のほかに、しこりを切除する切開手術や、レーザーを用いた治療法もあります。ただし、治療法によっては健康保険の対象外になる場合も。このほかにも、イオン導入や不要な角質を除去するピーリングといった美容治療も、長い目で見ればニキビの改善に効果が期待できます。

しこりニキビを防ぐために気をつけるべきポイント

ニキビ予防

しこりニキビの再発や悪化を予防するには、皮膚科での治療と平行して、ご自身の生活の中にある“ニキビを悪化させる要因”を取り除くことが大事です。

まずは毛穴を詰まらせないことが大事

しこりニキビを防ぐには、しこりニキビの元となる小さなニキビを作らせないことが大事。まずはニキビの原因となる毛穴詰まりを防ぎましょう。メイク汚れや皮脂汚れを肌に残さないよう、クレンジングや洗顔できちんと落とし、その後は乾燥を防ぐために適切な保湿ケアを行なってください

ニキビを悪化させないためのスキンケアを

ニキビを悪化させないよう、スキンケアや化粧品の選び方にも気をつけましょう。ニキビができやすいのであれば、「ノンコメドジェニック」と明記されたスキンケア製品・化粧品を使用するのがおすすめです。なお、ノンコメドジェニックとは、「コメド(初期段階のニキビ)が発生しにくいようにつくられている」という意味です。

また、大人の場合は特に、肌の乾燥がニキビを悪化させることがあるので、保湿はしっかりと。洗顔のしすぎによる皮脂の取りすぎにも注意してください。ニキビを隠そうとコンシーラーやファンデーションで隠すのも、ニキビの悪化を招いてしまいます。本当はニキビ部分には極力何も塗らないのが理想ですが、どうしても隠したい場合は、ノンコメドジェニックの化粧品や肌負担の少ないアイテムを使う・帰宅後はすぐにメイクを落とすなどの対策を

ニキビには極力触らない

ニキビを気にして触ったり潰したりするのは厳禁。細菌などが入り込んで感染を起こして炎症が悪化したり化膿したりする恐れもあります。スキンケア時も、肌を擦らずに優しく扱うことが大事です。また、ニキビができているところに髪の毛が当たらないようにしましょう。

食生活や生活習慣の改善も大事

ニキビを防ぐには、スキンケアだけでなく食生活や生活習慣の見直しも必要です。食事面では、偏食を避けて栄養バランスの良い食事を心がけて。足りない栄養素を補うために、ビタミン剤などのサプリメントを取り入れるのも良いでしょう。また、ストレスはニキビの大敵。ストレスを貯めない・ストレス解消法を見つけることが大事です。睡眠不足にも注意しましょう。

まとめ

ニキビの最終段階とも言えるしこりニキビ。一度できてしまうと治りづらく、炎症が引いても痕になってしまうことも。そうならないよう、初期段階の小さなニキビのうちに適切なケアや治療を行うことが大事です。皮脂が多い・毛穴が詰まりやすい・小さなニキビが繰り返しできるという方は、一度皮膚科で相談してみるのがおすすめです。

地方独立行政法人 市立東大阪医療センター 副院長・皮膚科部長 猿喰浩子(さるばん ひろこ)

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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