セルフホワイトニング・ホームホワイトニングはあり?代表的な方法と歯医者での施術のメリット
健康とくらし
2023年06月14日掲載
マスクの着用ルールに変化が出てきた今、「いざマスクを外したときに歯の色が気になる」という方は多いかと思います。そんな方におすすめなのが、歯の色味を明るく・白くするホワイトニング施術です。とはいえ、ホワイトニングの施術方法には歯科医院で行うものもあれば自宅でできるものもあるので、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、ホワイトニングの種類やそれぞれの特徴・メリット・デメリットなどについて、姫路駅前グランツ歯科院長の粟谷英信先生に教えてもらいました。合わせて、ホワイトニングをする際の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
粟谷 英信
【監修】姫路駅前グランツ歯科院長
姫路駅前グランツ歯科の歯科医師。口腔外科の出身で、親知らずの抜歯をはじめとした外科処置においての専門知識も保有。かみ合わせを考えた審美的治療や全顎的な機能性を考えたインプラント治療にも積極的に取り組み、世界水準の歯科治療提供をモットーにしている。
ホワイトニングは大きく分けて4種類
●オフィスホワイトニング:歯科医院で行うホワイトニング
オフィスホワイトニングは、歯科医院で行うホワイトニングです。専用の薬剤(漂白成分である過酸化水素)を塗布した上で光を照射して歯を白くします。歯科医もしくは歯科衛生士が施術を行うので、高濃度の薬剤を使用することが可能です。
また、オフィスホワイトニングを受ける際には、ほとんどの歯科医院で施術前に歯のクリーニングや検診を行います。この際に虫歯などが見つかった場合は、そちらの治療が先になることもあります。
施術回数は、「どの程度白くしたいか」「元の歯がどの程度の色味か」などによって異なりますが、1回〜3回程度が一般的です。
費用は、健康保険の対象ではないため歯科医院によってまちまちですが、1回につき1万円〜2万円程度が相場です。歯科医院によっては3回セットのパック料金が設定されていることもあります。
●セルフホワイトニング:医療機関ではないサロンで行うホワイトニング
セルフホワイトニングは、医療機関ではないホワイトニングサロンに行って自分でホワイトニングをする方法です。サロンのスタッフから施術方法の説明を受けた後、自分で歯に薬剤を塗布し光の照射措置を行います。医療機関でないため漂白成分である過酸化水素を取り扱えないので、ポリリン酸という薬剤を使用するのが一般的です。
●ホームホワイトニング:自宅で行うホワイトニング
ホームホワイトニングは、自宅で行うホワイトニング方法です。まず歯科医院で歯型をとり、患者さんの歯並びに合ったマウストレーを作成します。このマウストレーにホワイトニング用の薬剤(過酸化尿素または過酸化水素)を注入して1日1〜2時間ほど装着するのを一定期間繰り返すことで、ホワイトニング効果を得ます。なお、薬剤の濃度は歯科医院で行うオフィスホワイトニングよりも低くなります。
●デュアルホワイトニング(またはパーフェクトホワイトニング):オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用するホワイトニング方法です。歯科医院である程度歯を白くしながら、自宅でもホームホワイトニングを繰り返し行います。併用することでより綺麗に白くすることを目指します。
4種類のホワイトニング、それぞれのメリット・デメリット
上記に紹介した4つのホワイトニング方法について、それぞれメリット・デメリットを解説します。
●オフィスホワイトニング
【メリット】
- 一回の施術でも効果を実感できる
- 自分で施術をする必要がないので楽
- 口腔内の状態をしっかりチェックしてから施術が受けられるので安心
- ホワイトニングの前にクリーニングで着色汚れを取ることができる(ホワイトニングで白くするには、まずは着色汚れを取る必要がある)
【デメリット】
- 知覚過敏がある人は特にしみる、知覚過敏がない人でもしみることはある
- 施術してから24時間は歯が着色しやすい状態のため、色の濃い飲食物(コーヒー・カレー・赤ワインなど)や喫煙はなるべく避ける
●セルフホワイトニング
【メリット】
- 他の方法に比べて安価でできる
【デメリット】
- 薬剤の濃度が高くはないので、人によっては効果が薄いと感じる可能性がある
- 自分で作業をするので人によっては難しいこともある
●ホームホワイトニング
【メリット】
- マウスピースを作成した以降は、歯科医院に行かずに自宅で行える
- 自分自身のホワイトニングの頻度を調整することで、色のコントロールがしやすい
- マウスピースを作りに歯科医院にいった際に検診やクリーニングを受けられる
【デメリット】
- 自分でできるとはいえ、最初に歯科医院にいく必要がある
- しみる可能性がある
- 効果が出るまで時間がかかる
- はじめは最低でも10日~2週間程度、毎日行う必要がある
- 施術してから24時間は歯が着色しやすい状態のため、色の濃い飲食物(コーヒー・カレー・赤ワインなど)や喫煙はなるべく避ける
- マウスピースをつけていないといけないので、それが気持ち悪いと感じる人もいる
●デュアルホワイトニング
【メリット】
- オフィスホワイトニングによって短期間で歯を白くしながら自宅でもじっくりホワイトニングをするので、効果が持続しやすくなる
- 後戻りしにくい
- オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用することで、均一に綺麗な白色になりやすい
- 自分の理想の白さに調整しやすい
- ちゃんと効果を感じたいなら一番効果的なホワイトニング方法
【デメリット】
- オフィスホワイトニング・ホームホワイトニングのデメリットと同じ
- 併用するので他の施術方法と比べて費用が高くなる
ホワイトニングは歯科医院でやるべき!その理由
ここまで解説したように、ホワイトニングには複数の種類があります。ですが、やはり安全面や効果・仕上がりの満足度などを総合的に考えると、歯科医院で行うのがおすすめです。その理由を解説します。
●先にクリーニングをしないとホワイトニングの効果が出ないから
歯石がついていたり着色汚れがついていたりすると、その部分はホワイトニングされません。ホワイトニングの効果を出すには、先に歯石や着色汚れをとるクリーニングが必要です。これらは歯科医院でしかできない施術です。
●最も効果が高く長持ちするから
「ホワイトニングの効果を長く持たせたい」「確実に効果を感じたい」という場合も、歯科医院でのホワイトニングが勧められます。特に、デュアルホワイトニング(またはパーフェクトホワイトニング)という、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法が最も効果的です。この方法であれば、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングのデメリットを互いが補完できるので、より長持ちしやすく綺麗な白さを実現できます。
●歯の状態を見ながら適切なホワイトニングができるから
次項で詳しく解説していますが、人工歯や神経が死んでいる歯があるなど、歯の状態によっては均一にホワイトニングするのが難しいこともあります。そういった場合も、歯科医院であれば、その人に適した施術をすることが可能です。また、ホワイトニングをしてしみたり、何かトラブルが起きたりした場合も、歯科医院であればすぐに対応できます。
ホワイトニングを受ける前に知っておきたいこと
●そもそもできない人もいる?
めずらしい病気ではありますが、無カタラーゼ症の方・ホワイトニングの薬剤に対してアレルギーがある人は受けることができません。これらは禁忌症です。また、妊娠中や授乳中の人は、どんな影響が出るかわからないので、施術が可能かどうか歯科医に十分に相談してください。
●神経が死んでいる歯や人工歯は白くならない!
セラミックやプラスチックなどの人工歯は、どの方法でホワイトニングをしても白くなりません。
よくある事例として、「虫歯にセラミックを被せたときはまわりの歯と色が合っていたけど、ホワイトニングをしたら色の差ができてしまった」といったケースがあります。
また、神経が死んでいる歯も白くなりません。神経が死んでいる歯が黒ずんでいるのは、表面ではなく中が黒くなっているからです。そのため、外からホワイトニングしても中が黒いのは取れないのです。
人工歯や神経が死んでいる歯がある方がホワイトニングをする場合は、追加の処置が必要になることが多いと言えます。セラミックやプラスチックの色が浮いている場合は、ホワイトニング後の歯の色と合わせて付け直すことも。また、神経が死んでいる歯に対しては「ウォーキングブリーチ」という歯の中に薬剤を入れる施術方法を行うこともあります。施術方法については歯科医院によって違いがあるので、歯科医に相談してみましょう。
●知覚過敏の人はしみる可能性がある
知覚過敏がある人は、ホワイトニングをするとしみる可能性が高いと言えます。特に薬剤の濃度が高いオフィスホワイトニングでは、しみる可能性が高くなります。
「知覚過敏があるけどホワイトニングをしたい」という場合は、歯科医院であればしみそうなところをブロックしながら施術することも可能です。また、知覚過敏用の薬を塗ったり、知覚過敏用の歯磨き粉を使ったりすることもあります。
●ホワイトニングの効果は永久ではない
ホワイトニングの効果の持続時間は施術方法によっても人によっても異なりますが、どの方法を取ったとしても効果が永久的に続くわけではありません。やめると元に戻っていきます。
とはいえ、何回か繰り返しやっていると戻りにくくはなっていきます。色の後戻りに対する追加のホワイトニングのことをタッチアップと言います。オフィスホワイトニングであれば、一度の施術で後戻りが改善します。ホームホワイトニングであれば、数日連続して着用することで改善が見られます。
●ホワイトニングは歯に悪影響?
度を超えてやらない限り、ホワイトニングによって歯が弱くなることはほとんどないと言われています。
月に1回程度行う分には全く問題はありません。万が一、歯に悪影響が出るほど頻繁にホワイトニングをしようとしたら、歯科医院での施術であれば先生がストップをかけるでしょう。
●虫歯などがある場合は、その治療が優先される?
「ホワイトニングをしに歯科医院にいった際に検診を受けて虫歯が発見される」というケースは少なくありません。この場合、虫歯の治療とホワイトニング、どちらを先に行うかはケースバイケースです。
進行している虫歯や大きな虫歯の場合はその治療を先に行いますが、小さい虫歯で放っておいても進行しなさそうであれば先にホワイトニングをして、その色に合わせて詰め物をすることもあります。
まとめ
今回は、最近受ける人が増えている歯のホワイトニングについて解説しました。ホワイトニングにはさまざまな種類があり、それぞれメリット・デメリットがあることを理解いただけたかと思います。安全面や仕上がりの満足度・効果などを総合的に考えると歯科医院での施術がおすすめですが、それぞれの施術方法を比べてみて自分に合ったものを検討してみてくださいね。
姫路駅前グランツ歯科院長 粟谷 英信
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。