おしりの横が痛むのは筋肉痛が原因?考えられる症状と対処・予防方法
健康とくらし
2023年10月31日掲載
「お尻の横が痛い」そんな経験はありませんか?お尻の横が痛むのは、単に筋肉痛だけが原因ではありません。坐骨神経痛やヘルニアといった腰回りやお尻周りのトラブルの危険信号として、痛みが出ている可能性もあるのです。この記事では、お尻の横が痛む原因の他、対処方法や予防方法について、ビューティーボディアドバイザーの野本麻紀子先生に教えていただきました。
野本麻紀子
【監修】ビューティーボディアドバイザー
matou Tokyo ABM代表 株式会社matou代表取締役会長。
アクティブボディメイク協会理事長/ビューティーボディアドバイザー/リズムボイストレーナー。
おしりの横が痛い原因:筋肉損傷
おしりの筋肉の損傷
おしりには、大臀筋・中臀筋・小臀筋・梨状筋の4つの筋肉があり、いずれかに損傷が起きると、おしりの横が痛くなったり、動かしづらさを感じたりするようになります。この原因は、突然の動作や過度の筋トレ・転倒などの怪我です。
おしりの筋肉の緊張
長時間の座りっぱなし姿勢や猫背・反り腰などの悪い姿勢によって、おしり周辺の筋肉が緊張し、痛みが生じることがあります。一日中パソコンに向かってデスクワークをしている人はお尻の筋肉が凝り固まりやすいので、注意が必要です。
おしりの横が痛い原因:骨盤の歪み
骨盤は体の中心に位置し、体の安定性や姿勢の維持に重要な役割を果たしています。その骨盤が歪んでバランスが崩れたり、ねじれが生じたりすると、おしりの痛みを招くこともあります。
骨盤の歪みは、日常の動作の癖や悪い姿勢・筋肉量の低下などによって起こると言われています。猫背になりやすい・足を組んで座る・片足に重心をかけて立つなどの動作をついしてしまう人は、注意が必要です。
足がしびれるなら坐骨神経痛の可能性も
坐骨神経痛の可能性も
坐骨神経は、腰からおしり〜太もも〜下腿部〜足の甲の指まで走る、体内で最も長い神経です。坐骨神経痛とは、この神経が圧迫されたり刺激されたりすることによって引き起こされる痛みや不快感全般のこと。梨状筋症候群とも呼ばれています。代表的な症状として、おしりの横から太ももの外側・足の甲にかけて痛みが出たり、足や足指がしびれたりします。また、座ったままでいたり、歩いたり走ったり階段を上ったりすると痛みが悪化することも。
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛の原因は複数ありますが、主な原因としては腰椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、変形性腰椎症、腰椎すべり症などが考えられます。
椎間板ヘルニア
脊椎の椎間板が損傷して内側のゲル状の核が外部に突出する疾患です。神経が圧迫されて坐骨神経痛を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
腰椎の変形によって脊柱管という神経の通り道が狭くなる疾患です。神経が刺激されることで神経痛を引き起こします。なお、腰椎とは背骨の下部にある5つの骨で形成された部位のこと。脊柱管とは、背骨にある神経の通り道のことを指します。
【腰椎】
【脊柱管】
変形性腰椎症
腰椎の形が変形し、神経を圧迫する疾患です。
腰椎すべり症
椎間関節や椎間板が変性することなどによってずれが生じて引き起こします
これらの疾患には、日常生活における悪い姿勢や、筋肉・関節の老化・劣化・凝り固まりが大きく関係しています。
おしりの横が痛いときの対処方法
痛みが強いときは安静に
痛みが強く出ているときは、無理に動かしたりストレッチなどで伸ばしたりしようとせず、できるだけ安静を心がけてください。
慢性的な痛みなら温める
おしりの横が慢性的に痛い・凝り硬まっているという場合は、お風呂に浸かって温めましょう。血流が良くなり、筋肉が緩みやすくなります。ただし、患部が熱を持っていたり腫れていたり、急性の痛みである場合は温めることが逆効果になるため、注意を。また、次項でご紹介するセルフマッサージも効果的です。
おしりの横の痛みを予防するには?
おしりのセルフマッサージで筋肉を緩める
おしりの横の予防・対処方法としては、セルフマッサージが効果的です。
- マットなどの上で体育座りの姿勢をする
- 両足を同じ方向にパタッと倒す (どちら側でもOK)
- 両足と同じ方向に上半身も倒し、肘をついて上半身を支える
- お尻の横側に体重をかける
- 体重をかけたまま、マットの上でお尻の横側をくるくる回すようにマッサージしてほぐす
- 両足を逆側に倒して、同じマッサージを行う
片側30秒程度、両側で約1分程度マッサージを行い、おしりの横の筋肉をほぐしましょう。お風呂上がりや寝る前などに、1日のルーティンとして、このマッサージを取り入れてみてください。
姿勢の悪さを改善する
姿勢の悪さは、おしり周りの筋肉に過度に負担をかけ、過緊張を起こしやすくなります。また、坐骨神経痛の原因となる腰椎間板ヘルニアなどの疾患を招くことにも繋がります。正しい姿勢をとるよう意識することが大事です。
骨盤のゆがみを改善する
片側に体重をのせたり、体の外側に体重が掛かり続けたりすると、骨盤がゆがみやすくなります。正しい座り方・歩き方を覚えて、日々の生活の中で意識してみましょう。
正しい座り方
背もたれを使わず、椅子に浅めに腰掛け、坐骨(背筋を伸ばしたときに、お尻の左右にくる骨)の上に均等に体重をかけ、おなかと内ももに少し力を入れた状態を保ちましょう。慣れるまでは、内ももに丸めたバスタオルなど挟むなどすると、姿勢をキープしやすくなります。
正しい歩き方
おなかに力を入れ、つま先がまっすぐ前を向くように片足ずつ出しましょう。このとき、かかと・親指の母指球の順で地面をとらえることを意識して、指先の力は抜いておきます。
上記の座り方、歩き方を改善することで、骨盤のゆがみを予防することが可能です。
まとめ
お尻の横の痛みは、単に筋肉痛だけでなく、筋肉の過緊張や骨盤の歪みなど、日々の姿勢や動作の癖からきていることがあります。さらに、足のしびれなども併発している場合には、坐骨神経痛の可能性も考えられます。心当たりがある人は、まずは日々の自身の座り方・立ち方・歩き方などを見直してみましょう。ストレッチを行なってお尻周りの筋肉を伸ばすのも、予防策としておすすめです。なお、痛みがひどい場合や足の痺れなども併発している場合は、大事に至る前に一度医療機関で診てもらってくださいね。
【監修】ビューティーボディアドバイザー 野本麻紀子
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。