話題の美容成分「ナイアシンアミド」はどんな人におすすめ?美容効果とメカニズムを解説
健康とくらし
2023年05月19日掲載
近年、話題の美容成分ナイアシンアミド。ナイアシンアミド配合の化粧水や美容液・クリームなど、さまざまなアイテムが販売されているので、気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ナイアシンアミドを肌に塗布することで得られる効果や、ナイアシンアミド配合化粧品の使い方・使用上の注意点などについて、エステティシャンの徳満友美さんに教えていただきました。
徳満友美
株式会社Luce/健康検定協会
日本エステティシャン協会認定フェイシャルエステティシャン
大手エステティックにて、サービスの提供、技術営業指導員。その後、化粧品、健康食品会社スタッフ育成。美容皮膚科にて運営、企画を行う。現在、株式会社Luce:健康検定協会所属。健康、医療情報メディカルアカデミーを担う。
ナイアシンアミドとは?
ナイアシンアミドとは、ビタミンB3のこと。水溶性ビタミンの一種で、ニコチン酸アミドとも呼ばれています。
シワ改善・美白に効果がある成分として、厚生労働省から認可を受けています。
効果が話題を呼び、さまざまな基礎化粧品やスキンケア製品に配合されています。また、日焼け止めクリームや化粧下地・ファンデーションなどでも、ナイアシンアミドを含んでいる製品があります。
その配合濃度は製品によってさまざまで、1%以下の低濃度なものから25%程度の高濃度なものまであります。
このようにさまざまなアイテムに配合できるのは、ナイアシンアミドが水溶性だからです。シワ改善が認められている他の成分(ニールワンやレチノール)は、油溶性(水に溶かして配合できない成分)のため、配合できるアイテムが限られます。一方水溶性であるナイアシンアミドは、水に溶かして配合できるという特性があるため、化粧水や美容液などにも配合できるという強みがあるのです。
ナイアシンアミドの効果とは
皮膚に対するナイアシンアミドの効果は以下です。
●シワ改善効果
ナイアシンアミドは、厚生労働省によってシワ改善の効果が認められている成分です。皮膚の奥にある真皮でのコラーゲン産生を促進する作用、皮膚のバリア機能を改善する作用によって肌の保湿力をあげることから、シワ改善効果が認められています。
ちなみに、日本でシワ改善が認められている有効成分は、ナイアシンアミド・ニールワン・レチノールの3つだけです。ナイアシンアミドは低刺激で多くの方が肌トラブルを起こすことなく使用ができますが、その反面、レチノールに比べると作用も穏やかです。浅い部分のしわ、深いしわといった順序で、徐々に成分の働きを実感できるでしょう。
●美白・シミ予防効果
ナイアシンアミドは、医薬部外品として美白に有効であると2007年に厚生労働省に認可されています。紫外線を浴びると、肌内部のメラノサイトという組織が活性化され、日焼けや色素沈着の元となるメラニン色素が生成されます。それが色素沈着やシミ・そばかすを作る原因です。ナイアシンアミドを取り入れることで、メラニンの過剰生成が抑制されます。その作用がシミや色素沈着を防ぎ、透明感のある明るい肌に導いてくれます。
●肌荒れ・ニキビ予防
ナイアシンアミドには、肌荒れやニキビを予防する働きがあるとされています。これは、ナイアシンアミドにはセラミドの産生を促す作用があるからです。セラミドは、もともと人の肌に存在するもので、肌の水分蒸発を防いで乾燥から守り、異物から肌を守るバリア機能の役割を担っている成分です。しかし、セラミドは加齢とともに減少してしまいます。そのため、年齢を重ねるにつれ、肌トラブルが起こりやすくなったりするのです。
そこでナイアシンアミドの作用によってセラミドの産生が活発になり、肌を守る機能や保水力がアップすることで、肌荒れやニキビなどさまざまな肌トラブルの改善が期待できます。また、ナイアシンアミドには、皮脂抑制・活性酸素除去の働きがあることもわかっており、ニキビができにくい肌状態を作る・炎症をスムーズに制御するなどの働きも期待できます。
ただし、ナイアシンアミドはニキビ予防改善の医薬部外品ではありません。あくまで、セラミドの産生を促す働きや皮脂抑制・活性酸素除去の働きによって、ニキビができにくい肌を作り、炎症ができても早く良くなるよう働きかけるものです。常にニキビがあるという方よりも、生理前などに肌が荒れやすい、肌乾燥によってニキビができやすいなどのお悩みの方にナイアシンアミド配合化粧品がおすすめです。
ナイアシンアミド化粧品の選び方
ドラッグストアやバラエティショップで化粧品を見てみるとわかりますが、ナイアシンアミドを含む化粧品は多数あります。では、どんなアイテムを選ぶのが良いのでしょうか?
●効果をしっかり感じたいなら、医薬部外品のアイテムを選ぼう
最近では、ナイアシンアミドが含有された化粧水・美容液・乳液・ジェル・クリームといった基礎化粧品が各種メーカーから数多く販売されています。種類が多すぎてどれを選べばいいのかわからない方も多いと思いますが、選び方の基準の一つとして、ナイアシンアミドが有効成分として配合されている医薬部外品のアイテムを選ぶことをおすすめします。
どういうことかというと、化粧品に配合されているナイアシンアミドの濃度は、一般化粧品と医薬部外品とで異なるのです。医薬部外品の製品を選べば、一定濃度のナイアシンアミドが含まれているので、肌への効果が期待できます。
●毎日継続して使えるアイテムを選ぼう
ナイアシンアミドは、塗ってすぐに効果が出るというものではありません。効果を感じるには、一定期間継続して使い続ける必要があります。そういった意味で、ナイアシンアミド化粧品を選ぶときは、毎日使える価格帯のものを選んだり、自分が使いやすいアイテム(美容液が使いやすいのか、クリームが使いやすいのかなど)を選んだりすることが大事です。
●全ての基礎化粧品にナイアシンアミド配合アイテムを選ぶのもおすすめ
肌への働きを期待する場合、化粧水・美容液・クリームといった基礎化粧品の全てにナイアシンアミド配合のものを使用するのがおすすめです。繰り返し成分を肌に与え、肌機能のサポートを促します。
ナイアシンアミドを使う際の注意点
ナイアシンアミド配合の化粧品を使う前に、使用上の注意点を知っておきましょう。
●ナイアシンアミドは肌刺激になることもある
ナイアシンアミドの配合量が多くなると、効果が高い分、人によっては肌刺激になることがあります。ナイアシンアミド配合の化粧品を使ってみて肌がピリピリしたり刺激を感じたりする場合は、ナイアシンアミドの濃度が高すぎるのかもしれません。
特に、海外製の配合濃度が10%を超えるものは効果とともに刺激も出やすいので、注意して使う必要があります。ナイアシンアミドを初めて使う方は、日本製の1%〜3%程度の濃度のものから使うと良いでしょう。また、敏感肌の方は、初めは目立たない肌の部分や、頬の下の方につけて試してみるなど、少量から使用して肌に合っているかを確認しましょう。
●高濃度ビタミンC化粧品との併用には注意が必要
海外製のナイアシン配合高濃度化粧品と、高濃度ビタミンC(配合量10〜30%など)化粧品は、混ざり合うことで成分が変化して肌トラブルを起こす場合があります。基本的に日本製のナイアシンアミド化粧品ではトラブルが起きにくいとされていますが、高濃度ビタミンCと併用する場合、両方とも皮脂抑制の働きがあるので乾燥トラブルを起こす人もいます。なお、ナイアシンアミドとビタミンCどちらを使えばいいのかお悩みの場合は、以下の基準で選んでみてください。
- シワやシミ・乾燥・肌状態を整えたい人 ▷ ナイアシンアミド
- シミに特化してお悩みの人 ▷ ビタミンCもしくはビタミンC誘導体
また、朝晩と使用するものを分けて使い、トラブルを回避するのも良いでしょう。
まとめ
シワやシミ・肌荒れ・ニキビは、年齢を重ねた大人の肌なら必ずと言っていいほど起こりうるトラブル。ナイアシンアミドは、こういったトラブルにお悩みの方にぜひ取り入れてみて欲しい成分です。特にシワや美白・シミ改善の効果については、厚生労働省による認可も受けています。成分が配合されているアイテムも化粧品から美容液・乳液・クリームなどさまざまあるので、自分にとって使いやすいものを選んでみてくださいね。
株式会社Luce/健康検定協会
日本エステティシャン協会認定フェイシャルエステティシャン
徳満友美
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