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首の寝違えの治し方・予防法は?絶対にやってはいけないことって?

「朝起きたら首が痛い・首に違和感がある」など、「寝違え」を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、寝違えの正しい対処法や予防法を知っている人は意外と少ないかもしれません。そこで今回は、寝違えの原因や早く治すための対処・予防法などについて、リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長の松尾瑠偉先生に教えていただきました。

松尾 瑠偉

【監修】リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長

北海道メディカルスポーツ専門学校出身、スポーツトレーナー歴10年、治療家歴7年。リコア鍼灸接骨院・北堀江院の院長として院で働きながらサッカーJリーグのトレーナーとしてスポーツの現場でも活動しています。

首の寝違え監修者

首の寝違えってそもそも何?

首を寝違えた女性

寝違えとは?

「寝違え」と呼ばれる症状のほとんどは、首周辺の筋肉が微細損傷を起こしている状態です。医学の専門用語では「急性疼痛性頸部拘縮(きゅうせいとうつうせいけいぶこうしゅく)」と言います。

寝違えが起きる仕組み

睡眠中に首が不自然な方向に曲がったままになっていると、首の筋肉が部分的に阻血状態(血液の供給が不足した状態のこと)になり、筋肉も凝り固まりやすくなります。また、寝違えには、筋肉の中に存在する「筋紡錘(きんぼうすい)」と、腱の中に存在する「腱紡錘(けんぼうすい)」という器官が関与しています。これらは、簡単に説明すると「筋肉には過剰な負荷がかかった際に損傷を防ぐためのセンサー」のようなものです。

・筋紡錘
「これ以上筋肉が伸ばされ過ぎると筋肉が損傷する」というときに「縮め」という指令を出す。

・腱紡錘
「これ以上負荷がかかると筋肉や腱が切れる」というときに、筋肉に「ゆるめ」という指令を出す。

これらの働きによって、筋肉や腱に過剰な負荷がかかることを防いでいます。

筋紡錘と腱紡錘の反応は、日中に活動している時など交感神経が優位な状態では正常に働きますが、睡眠中の副交感神経が優位な状態だと鈍くなります。

つまり、日中であれば「これ以上筋肉が伸ばされ過ぎると筋肉が損傷する」となっても、筋紡錘と腱紡錘の「戻そうする反応」によって回避できますが、睡眠中はその反応が鈍くなっているため、戻せなくなるところまで伸びてしまうというわけです。その結果、筋肉が損傷し、寝違えになるのです。

寝違えにも種類がある

寝違えと一口に言っても、いくつかの種類があります。一つは、筋肉の表面を覆う膜(筋膜)を痛めている浅いケース。もう一つは、筋肉の中心部分を痛めているケースです。一概には言えませんが、「首を伸ばしたときに痛い」のであれば表面上の炎症であることが多く、「縮めたときに痛い」のであれば筋肉の深い部分の炎症であることが多いという傾向があります。

寝違えはどのくらいで治る?

寝違えがどのくらいで治るかは人によって違いますが、1週間くらいはかかるのが普通です。損傷した筋肉の繊維が回復するのには1週間程度かかるからです。

寝違えた直後にすべきこと・やってはいけないことは?

寝違えが気になる女性

寝違えた直後にすべきこと

一番大事なのは、首をできるだけ動かさないようにすること。どうしても首を動かす必要があるときは、手で押さえながらゆっくり慎重に動かしたり、寝ている状態から起きるときは頭を手で支えて起き上がったり、首そのものをできるだけ動かさないように気をつけましょう。また、寝違えは急性症状の炎症なので、痛みが出ている(=炎症が起きている)間はアイシングも効果的です。

・正しいアイシング方法
アイシング時間は1回20分に留めてください。1回の時間を長くし過ぎると、凍傷や低温火傷の恐れがあります。また、アイシングは1回で終わらせず、痛みが出ている間は1時間〜2時間おきに行ってください。

このほか、痛みが出てから48時間程度は、消炎鎮痛成分が入った湿布を貼るのも良いでしょう。

やってはいけないこと

寝違えた直後にやってはいけないのは、動作確認やストレッチ・患部を揉んだりすることです。ついやってしまいがちですが、炎症を広げたり悪化させたりする原因になるのでやめましょう。炎症が起きた直後に温めるのもよくありません。温めるのは、痛みが落ち着いてきた後にしてください。

寝違えを早く治したい…どうすればいい?

首の痛みが和らいだ女性

自分でできる対処法

寝違えを早く治すには、できるだけ首を動かさないことが大事。タオルやマフラーを首に巻いて顎おきを作ると、無意識に動かすのを予防できます。また、デスクワークやパソコン作業などをするときは、壁や背もたれに背筋をしっかりつけるように座ると、背骨が一直線になって頭がその上に来るので、首への負担を減らせます

このほか、痛みがある部分を除いた周辺の筋肉を温めたりさすったりしてあげるのも良いでしょう。どこかに炎症が起きると、それをかばって周辺の筋肉も緊張しがちです。温めたりさすったりして血行を上げ、筋肉の緊張をとるようにしましょう。

病院には行くべき?

寝違えは放っておいても時間が経てば治ります。ですが、早く治したい場合は鍼灸接骨院などの治療院への受診をおすすめします。特に、頻繁に寝違えを起こす方は、一度検査や治療を受けた方が良いでしょう。こういった方は、首の骨が本来あるべき位置からずれていて、首周りの筋肉を慢性的に圧迫している可能性が考えられるからです。

・寝違えに対する鍼灸接骨院での治療方法
基本となるのは、患部周辺のマッサージです。筋損傷の回復を早めるには、関連する周りの筋肉ほぐすことが重要だからです。症状によっては、患部に鍼治療をすることもあります。鍼治療によって、自然治癒力を高めて血流を促進する効果が期待できます。

寝違えの予防方法は?

気持ちよく眠る女性

寝具の見直しを

寝違えをよく起こす方は、寝具が自分に合っていない可能性があります。一度、寝具の見直しを検討してみてください。

・寝返りがしっかり打てるマットレスを使う
実は、寝相が良い人の方が寝違えを起こしやすい傾向があります。寝相が良い人は、睡眠中に姿勢があまり変わらないため、筋肉が凝り固まりやすいからです。そこで、自然に寝返りが打てるようにマットレスを見直すことが大事になります。ただし、どんなマットレスが良いのかについては、人によって異なるので一概には言えません。一般的には、低反発マットレスや柔らかすぎるマットレスは寝返りが打ちにくくなるので避け、硬めのマットレスにするのが良いと言われています。

・首をちゃんと支える枕・抱き枕を使う
首への負担を減らすためには、横向きで寝たときに首と枕に隙間ができない高さの枕を使うと良いでしょう。体を安定させるために抱き枕を使うのもおすすめです。

泥酔状態で寝るのは避けて

泥酔状態で寝るのも、寝違えの原因になります。お酒をたくさん飲むと、筋肉の水分が減って筋肉の伸び縮みがしにくくなり、筋肉の血流も低下しやすくなります。さらに、酔っていると感覚が鈍くなるため、寝返りの回数が減り寝違えが起きやすくなるとされています。寝違え予防のためにも、「お酒を飲みすぎない」「飲んだときは酔いを覚ましてからから寝る」ということを心がけましょう。また、飲酒後は経口補水液などで水分とミネラルを補うようにしてください。筋肉の水分量を上げておくために、日頃から小まめに水分補給をしておくのもおすすめです。

体を冷やさないように気を付ける

体が冷えていると、血流が悪化し筋肉も硬直しやすくなるので寝違えを起こしやすくなります。体を温めるには、湯船に浸かるのが効果的です。毎日は難しくても、「今日は冷房で体が冷えたな」という日は、お風呂にゆっくり浸かりましょう。「暑くて湯船に浸かりたくない」という場合は、下半身のストレッチがおすすめです。下半身には全身の6割以上の筋肉があるので、下半身の筋肉を動かすと血流上がって体が温まります。また、就寝時の部屋の温度にも気をつけましょう。冬はもちろん、夏場もクーラーで冷やしすぎないように注意してください。

注意!ただの寝違えではないケースも

マッサージを受ける女性

「首が痛い=寝違え」と思ってしまいがちですが、実はそうではないケースも稀にあります。普通の寝違えであれば1週間程度で完治するため、「首が痛くなってから1週間以上経過しても良くならない」といった場合は、一度整形外科や鍼灸治療院に相談することをおすすめします。また、「日常生活に支障が出るくらいの強い痛みがある」「首だけでなく肩から指先にかけても痛みを感じる」といった場合も医療機関への相談を検討してみてください。

神経痛

不自然な姿勢で寝ていたことで、頸椎周辺の神経が圧迫されて神経痛が起きることも。首から肩・腕・手指にまで痛み・痺れがある場合は、神経痛が疑われます。

捻挫

首の椎間板や周囲の組織が突然の動きや外力によって強くねじれたり、急激な動作によって首が無理な方向に動かされたりすると、頸椎の捻挫(けいついのねんざ)が起きることがあります。

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん) 

胸郭(きょうかく)と呼ばれる鎖骨と肋骨の間で、血管や神経が圧迫されることによって引き起こされる症候群です。神経や動脈が圧迫されて、首や肩周りに痛みが出ます。デスクワークなどで常に肩が内に入っている人・筋力があまりない女性に多く見られます。

まとめ

寝違えは安静にしていれば自然に治りますが、痛みが出ている数日間はつらいものですね。生活や仕事に差し支えのないよう、寝違えたときの正しい対処法・治し方をぜひ覚えておいてください。

また、寝違えを起こしやすい人は、一度鍼灸接骨院などで相談し、根本的な治療や予防に努めるのも良いかもしれませんね。

リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長 松尾 瑠偉

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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