骨盤のゆがみによる症状とは?ゆがみの原因とおすすめの骨盤矯正ストレッチ
健康とくらし
2023年11月30日掲載
「慢性的に首や肩が痛い」「座りっぱなしで腰が痛い」こういった体の不調の原因はさまざま考えられますが、多くの人に当てはまるのが、「骨盤のゆがみ」です。
骨盤は生活習慣や体の使い方の癖などによって左右差や前後差が出てゆがみやすく、そのせいで体の不調が起きる恐れがあるのです。
そこで今回は、骨盤のゆがみの原因や自分でできるストレッチ方法・予防法について、リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長の松尾瑠偉先生に教えていただきました。
松尾 瑠偉
【監修】リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長
北海道メディカルスポーツ専門学校出身、スポーツトレーナー歴10年、治療家歴7年。リコア鍼灸接骨院・北堀江院の院長として院で働きながらサッカーJリーグのトレーナーとしてスポーツの現場でも活動しています。
骨盤のゆがみで出る症状とは?
骨盤のゆがみとは?
骨盤のゆがみは、骨盤の位置や姿勢が正常からずれることによって引き起こされます。骨盤は腰や背中、下半身の構造を支える重要な部位なので、ゆがみが生じるとさまざまな症状が現れます。
骨盤のゆがみで出る症状
・腰痛
骨盤のゆがみは腰部に負担をかけ、慢性的な腰痛の原因となります。また、坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニアのリスクが高まります。坐骨神経痛は、おしりの筋肉の硬さが原因でなることもありますが、腰痛との関連も大きいと考えられています。腰椎間板ヘルニアは、椎間板への過剰な負荷によって椎間板症になり、それが悪化して発症します。デスクワークなどで毎日長時間座っていると椎間板にかかる圧が強くなりやすいので、発症リスクが高まる傾向があります。
姿勢の悪化による肩こり・首こり
骨盤のゆがみによって体の姿勢が不安定になると、猫背になりがちです。猫背の状態では、骨盤は後ろに倒れ、上半身が前傾姿勢になっています。すると、首から骨盤にかけての湾曲が、本来の湾曲よりも過剰に伸ばされた状態に。その結果大きな負荷がかかり、周辺部位である背中や首・肩などに痛みが出やすくなります。
足の不調
骨盤のゆがみによって、足の長さに違いが生じることがあります。その結果、足の疲れや膝の痛み・歩行困難を引き起こす恐れがあります。
股関節痛
骨盤のゆがみが股関節に負担をかけ、股関節痛や炎症を引き起こす可能性があります。骨盤の左右の高さ・前後の高さにゆがみがあると足を動かしづらくなるので、それを無理に動かそうとして痛みや炎症が出るのです。
尿漏れなどのリスク
骨盤のゆがみが骨盤底筋群に影響を与え、尿漏れや骨盤臓器の突出(膀胱脱、子宮脱など)のリスクが高まることがあります。
生理周期の乱れ
骨盤のゆがみは、自律神経の乱れを引き起こすと考えられています。自律神経は、背骨や骨盤周りに束となって通っているからです。自律神経が乱れることで、生理周期に影響を与えたり、生理痛がひどくなったりすることがあります。
頭痛
骨盤がゆがんでいることで左右の足の長さに差があったり、股関節に違和感があったりすると、歩き方にも影響が出て地面に足をつける際に正常よりも衝撃が大きくなりがちです。すると、その衝撃が足から背骨・頭部に伝わり、そのせいで頭痛が起こることがあります。
骨盤のゆがみの主な原因
筋肉の衰えやゆがみ
姿勢をサポートする筋肉の衰えは、骨盤のゆがみの主な原因となります。特に、腸腰筋と呼ばれるお腹のインナー部分の筋肉が弱いと、お腹にしっかり力が入らないため、骨盤が後ろに倒れてゆがみやすくなります。
姿勢の悪さ
長時間のデスクワークや立ちっぱなし、またその際の猫背や足を組む・片足に重心をかけるなどの悪い姿勢の癖が、骨盤のゆがみを引き起こすことがあります。
怪我や外傷
スポーツの怪我や事故による外傷も、骨盤のゆがみを引き起こす原因となることがあります。例えば、膝を痛めたり、もも裏の肉離れを起こしたり、足首を骨折して長期間にわたって固定していたりすると、歩き方の癖が変わり、そのせいで骨盤のゆがみを招くようなケースがあります。
スポーツ
野球やテニスのように同じ動作の繰り返しをするようなスポーツをしていると、体の使い方に左右差が出て、骨盤のゆがみを起こすことがあります。同様に工場での作業や農業などでも、同じ作業を繰り返すことで骨盤のゆがみを招くケースが考えられます。
妊娠と出産
妊娠中や出産時は、骨盤の位置が変化し、ゆがみが生じやすくなります。
成長に伴う変化
成長に伴って骨盤の成長と発達が不均衡になることが、骨盤のゆがみの原因となることがあります。
骨盤のゆがみを正すためのストレッチ
骨盤のゆがみを正すには、日々のストレッチが有効です。座ったままできるストレッチを2つと、寝たままできるストレッチを1つご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
座ったままできるストレッチ①
【やり方】
1. 椅子に座ります。座面に坐骨をつけて、お尻を左右均等に乗せるようにしましょう。
2. 片方の足を膝の少し上にかけます。
3. そのまま上体を前に倒し10秒ほどキープします。お尻が浮かないように気をつけ、かけている足のもも裏が伸びているのを感じてください。
4. 反対の足でも同様の動きを行います。
座ったままできるストレッチ②
【やり方】
1 . 椅子に座ります。座面に坐骨をつけて、お尻を左右均等に乗せるようにしましょう。
2 . 片足を前に伸ばします。つま先は天井に向けてください。
3. 上半身を倒して両手でつま先をつかみ、10秒キープしましょう。
4. 反対の足でも同様の動きを行います。
ベッドでできるストレッチ
【やり方】
1. 仰向けに寝ます。
2. 片足を上に上げます。
3. 両手でふくらはぎ(または膝裏)をつかみ、そのまま10秒程度キープしましょう。膝をグッと体に引き寄せつつ、かかとは天井に向けるとモモ裏が伸びやすくなります。
なお、身体が固くて難しい場合は、以下の写真のように上体を上げるか、かかとにバスタオルなどを引っかけて行ってみてください。
4. 反対の足でも同様の動きを行います。
骨盤のゆがみを予防改善するためにできること
正しい立ち姿勢・座り姿勢意識する
立ち姿勢・座り姿勢を正すことは、骨盤のゆがみを予防するために非常に重要です。
正しい立ち姿勢の取り方
耳たぶ・肩先・骨盤・内くるぶしが一直線になるように意識して立ちます。あごを引いて、肩甲骨を閉じ、お腹にグッと力を入れるのがポイントです。
正しい座り姿勢の取り方
椅子の座面に坐骨をしっかりつけて、お尻を左右均等に置きます。その状態で、耳たぶ・肩の先・骨盤が一直線になるようにします。なお、以下の画像のように折り畳んだタオルを坐骨に少しだけかかるように敷くと、正しい姿勢がとりやすくなります。
まずは、鏡の前で立ち姿勢(できれば座り姿勢も)を確認しましょう。正しい姿勢がどのように見えるかを視覚的にチェックすることが役立ちます。日頃から意識的に気をつけることで、正しい立ち方・座り方がだんだんできるようになります。
ただし、正しい姿勢を常に維持できるようになるには、骨盤のゆがみを矯正するなどの体のメンテナンスや、体の柔軟性の向上が必要になります。根本的に改善したい方は、整骨院などの治療院で相談してみてください。
適度な運動で筋肉を鍛える
運動不足は筋肉の衰えを引き起こし、骨盤のゆがみの原因となります。特に腹部、背中、骨盤周りの筋肉を強化することは、骨盤の安定性を高めるのに役立ちます。筋トレやヨガ・ピラティスなど、筋力トレーニングを取り入れましょう。
体の柔軟性を高める
適度なストレッチなどで、筋肉と関節の柔軟性を高めましょう。柔軟な筋肉と関節は、姿勢の改善に役立ちます。
専門家のアドバイスを受ける
骨盤のゆがみや症状が現れたら、鍼灸治療院や整骨院などの専門家に相談し、適切な治療プランを立てるのも大切です。骨格矯正やインナーマッスルの強化などの治療を受けることができます。
まとめ
長時間のパソコン作業やデスクワークを始め、現代人は骨盤のゆがみを起こしやすい生活をしています。慢性的な腰痛や肩こり・首こりといった症状に悩まされている方は、まずは立ち姿勢や座り姿勢の改善を試みたり、骨盤のゆがみを正すためのストレッチを取り入れたりしてみてください。
あわせて、根本的な改善をしたい方は、一度接骨院などの治療院に相談してみるのも良いでしょう。骨盤のゆがみは一朝一夕に直せるわけではありませんが、日々の意識やメンテナンスで確実に変わっていくもの。心身ともに快適な日々を過ごせるよう、今日から少しずつチャレンジしてみてくださいね。
リコア鍼灸接骨院・北堀江院院長 松尾 瑠偉
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。