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筋肉痛は動くと治るは本当?早く治す方法と予防法とは?

筋肉痛になったとき、皆さんはどう対処していますか?
筋肉痛は誰でもたびたび経験する身近な症状ですが、実は正しい対処法や早く治すための方法を知らない人は多いかもしれません。そこで今回は、筋肉痛になったときの対処法や予防方法について、スポーツトレーナーの松尾瑠偉さんに教えてもらいました。

松尾瑠偉

【監修】スポーツトレーナー

株式会社ロイユニックス ORAN袋井所属、北海道メディカルスポーツ専門学校出身。スポーツトレーナー歴11年、施術家歴8年。Jリーグトレーナー兼大手接骨院、院長を経て独立。独立後、静岡県袋井市から初のJFL参入を目指すオラン袋井に所属し地域の健康寿命延伸に貢献しています。

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筋肉痛になるのはどうして?

筋肉痛は、激しい運動をしたときや慣れない動きをしたときに起こりやすい傾向があります。また、人によっても、なりやすい・なりにくいがあります。筋肉痛になるメカニズムは、実はまだはっきりとは解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

筋肉の微小損傷

運動などによって過度に筋肉を使うと、筋肉に微小な損傷が生じることがあります。特に、普段しない動作が含まれる運動をしたり、急に強度の高い運動をしたりすると、筋繊維が伸びたり断裂したりしやすくなります。

筋肉の微小損傷による炎症反応

筋肉の微小損傷が発生すると、体はそれに対して炎症反応を起こします。この炎症反応が、筋肉痛や腫れ・赤みなどの症状を引き起こします。

筋肉の疲労と修復

運動によって筋肉が疲労すると、体はその筋肉を修復しようとします。この修復プロセスには、筋肉の成長や修復に関わるタンパク質合成が含まれ、その過程で痛みを感じることがあります。

筋肉痛は動くと治るは本当?筋肉痛のときに運動はしていい?

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筋肉痛になったとき、「安静にした方がいいのか、それとも運動をした方がいいのかわからない」という方もいるでしょう。結論、筋肉痛の回復には適度な運動が効果的です。ただ、以下のようなポイントに注意しましょう。

痛いからといって動かさないと回復が遅くなる!

痛いからといって動かさないと痛みが続きやすくなります。動かさないと血液が停滞して組織の回復が遅くなってしまうからです。そのため、筋肉痛のときは適度な運動はした方が良いといえます

筋肉痛になった原因の運動を、軽い負荷で行うと良い

筋肉痛を早く治すには、筋肉痛になったときと同じ動きを軽い負荷で行うのがおすすめです。筋肉痛になっている部位をゆっくり動かして血液の流れを促すと、回復が早くなるとされています。例えばダンベルを持ったスクワットで筋肉痛になったのであれば、ダンベルを持たずに回数もその時の1/3程度にして行うなど、軽い運動で患部の血行を良くしましょう。

激しいトレーニングや運動は避けて

筋肉をさらに傷めてしまう可能性があるため、患部に強い負荷がかかるような運動は避けてください。運動をする場合は、上述した負荷の軽い筋トレやウォーキングなどの有酸素運動にとどめましょう。

筋肉痛にストレッチが有効かどうかははっきりわかっていない

実は、筋肉痛にストレッチが有効かどうかについては、エビデンスがまだ十分ありません。「痛めた箇所を伸ばすことで筋繊維の傷口が開いてしまい、治りが悪くなる」といったデータもあり、ストレッチは筋肉痛の回復には適さないという説が有力になりつつあります

負荷の弱いストレッチであれば行っても問題ありませんが、負荷のかかり具合は素人にはなかなか分かりづらいものです。自分で思っているよりも負荷を与え過ぎてしまって逆に悪化するケースもありえます。そう考えると、むやみにストレッチはしないほうが安全かもしれません。

筋肉痛を早く治すための7つのポイント

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筋肉痛の回復を早めるためには、以下の7つのポイントを意識してみてください。

1. 強い痛みや熱があれば冷やして

激しい運動などをして、「腫れている」「熱を持っている」といった状態であれば、まずはアイシングや冷湿布で傷めた筋肉を冷やしてください。これには、早く治すというよりも痛みを和らげる効果があります。長時間冷やし続けるのではなく、「20分冷やす」を何度か繰り返しましょう。

痛みを抑えるために湿布を使いたい場合は、消炎成分が入ったものを選びましょう。消炎成分を含む湿布を貼ることで、痛みを緩和することができます。

2. 鎮痛剤の服用には注意

筋肉痛がひどいときに鎮痛剤を飲む人もいるかと思いますが、これはあまりおすすめできません。鎮痛剤を飲めば痛みは感じにくくなりますが、だからといって傷が治ったわけではありません。にもかかわらず、痛みがなくなると、つい通常通りに動かしてしまいがち。

すると、いつまで経っても筋肉が回復せず、鎮痛剤が切れるとまた痛みを感じることに。回復がどんどん遅れてしまう他、痛み止めが切れると飲む前より痛くなることも多くなります。また、鎮痛剤は常用しているとどんどん効きにくくなる恐れも。

3. 痛みが穏やかな場合は温める。お風呂も効果的

痛みがそこまで強くない場合は、冷やさずに最初から温めて血行を良くしましょう。患部の血行を良くすることで回復に必要な成分が供給されやすくなり、回復が早くなります。

血行を良くするためには、お風呂に浸かるのが効果的です。ただし、お湯の温度はいつもより低めに。37〜40度を目安に、少しぬるいかな?と感じる程度の温度での入浴を。40度以上の熱いお湯で入浴すると、筋肉がかえって疲れてしまいます。

4. 自分でマッサージをするなら、さするだけで十分!

患部への強いマッサージは、筋肉の損傷を悪化させてしまう恐れがあるのでNGです。自分でマッサージをするのであれば、直圧ではなく、さすったり流したりするような血行促進のためのマッサージを。表面を撫でる程度でも血行促進には効果があります。

5. 鍼灸院でのマッサージや鍼はおすすめ

自分でマッサージするときは直圧をかけるような強いマッサージはNGですが、鍼灸院などでプロのマッサージを受けるのは別です。実は筋肉痛に対してのマッサージはストレッチや鍼よりも有効で、マッサージ→鍼→ストレッチの順で効果があるといわれています。筋肉痛がひどい場合は鍼灸院などに行ってマッサージや鍼を受けるのも良いでしょう。

6. 筋肉の回復に必要な成分を食事でしっかり摂る

筋肉痛を早く治すためには、栄養のあるものをしっかり食べることも大事です。筋肉の主成分となるタンパク質はもちろん、疲労回復効果のあるビタミンB1・B12・クエン酸などを積極的に摂取するようにしましょう。

食材で言うと、ビタミンとタンパク質が豊富な豚肉は特におすすめです。また、寝る前に100%のオレンジジュースを飲むと、疲労回復に非常に効果的です。

タンパク質を補うという意味では、プロテインドリンクを飲むのも有効。なお、プロテインにはホエイとガゼイの2種類がありますが、消化の早いホエイがおすすめです。

7. しっかり睡眠をとって体を休めよう

睡眠をしっかりとって体を休めることも大事です。睡眠中には成長ホルモンが分泌されるので、疲労回復や筋肉の修復には睡眠が欠かせません。

筋肉痛の予防方法は?

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運動をする前後に以下を意識することで、筋肉痛を予防することができます。

運動前に栄養補給をしておく

筋肉痛を予防するためには、運動前に適切な栄養を摂取しておくことが大事です。特に炭水化物やタンパク質をバランスよく摂取することで、筋肉のエネルギー供給や修復をサポートできます。おすすめの食べ物や食べ方についてご紹介します。

【運動前におすすめの食べ物】

プロテインバー

炭水化物やタンパク質を手軽に摂取でき、お腹もいっぱいにならないため運動の妨げになりません。疲労回復効果のあるビタミンB1.B12などが含まれているものであればなおよいでしょう。

柑橘類・梅干し・黒酢入りのドリンク

これらの食品には、クエン酸が多く含まれています。運動前に摂取することで、筋肉痛の原因の一つと考えられる乳酸の発生を抑えることができます。

【栄養補給をするタイミング】

栄養補給のタイミングは、消化と吸収を考えると1時間前が適切です。軽めの栄養補給ではなく、通常の食事をする場合は運動の2時間前を目安に済ませるようにしましょう。

運動前にウォーミングアップをしっかり

運動の前には必ずウォーミングアップとして軽いジョギングなどの有酸素運動やストレッチを行いましょう。ウォーミングアップをすることで、体が温まって筋肉や関節の柔軟性が高まり、血流も促進されるので、急激な負荷による損傷を予防できます

運動中はこまめに水分補給を

血液中の水分が減ると血行が悪くなり、筋肉に酸素や栄養を供給するスピードが遅くなります。運動中は汗によって血液中の水分が不足しやすいので、水分補給こまめに行いましょう。なお、水分補給には水がベストです。カフェインを含んだコーヒーや緑茶など、利尿作用のある飲み物は選ばないようにしましょう。

運動後にクールダウンも忘れずに

運動後にはクールダウンとしてウォーキングなどの有酸素運動やストレッチを行い、心拍数や呼吸を少しずつ落としましょう。運動の熱が冷める前に行うことで、血液循環が促進され、筋肉の疲労が緩和しやすくなります。もしくは、運動後すぐにマッサージに行くのもおすすめです。

日々の有酸素運動を取り入れて

定期的な有酸素運動で、筋肉の柔軟性や強度を向上させることができれば、筋肉痛になりづらくなります。できれば、ウォーキングやジョギング・サイクリングなどの有酸素運動を毎日の生活に取り入れてみてください。

まとめ

筋肉痛はいずれ時間が経てば治っていくものではありますが、治るまでがなかなか辛いもの。ですが、今回ご紹介したように、筋肉痛は予防することが可能です。ちょっとした心がけで、筋肉痛を予防したり回復を早くしたりすることができます。日頃から運動をする人で筋肉痛にお悩みの方は、ぜひ今回ご紹介した方法を実践してみてください。

スポーツトレーナー 松尾 瑠偉

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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