健康寿命とは?平均寿命との違いや健康寿命を伸ばす対策を解説!
健康とくらし
2024年08月23日掲載
「健康寿命」という言葉を聞いたことはありますか?健康寿命とは、自分が健康であると自覚し、自立した生活を送ることができる期間のこと。老後の生活を考える際には、健康寿命についてもぜひ心に留めておきたいところです。そこで今回は、健康寿命の詳しい解説と健康寿命を伸ばすために意識したいこと・国が行なっている取り組みなどについて、久野銀座クリニック院長 医学博士の岡村信良先生に教えてもらいました。
岡村信良
【監修】小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士
平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。
健康寿命とは?平均寿命との違いは?
健康寿命とは?
健康寿命とは、自分が健康であると自覚し、自立した生活を送ることができる期間のことを指します。自立した生活というのは、簡単に言えば、介護を必要とせずに自分で生活できる時間のことです。日本では、健康寿命を延ばすことが高齢化社会における重要な課題となっています。
健康寿命と平均寿命との違いって?
平均寿命は、ある国や地域の人々が生まれてから何歳まで生きるかの平均(0歳における平均余命)を示す指標です。対して、健康寿命は「健康であると自覚し、自立した生活を送ることができる期間」を示します。例えば、ある人の寿命が85歳で健康寿命が75歳であれば、最後の10年間は病気や介護が必要な状態で過ごすことになります。この差をできるだけ縮めることが、現在の社会の課題のひとつとなっています。
厚生労働省の令和5年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は87.14年です。そして、健康上の問題で日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、令和元年時点で男性が72.68年、女性が75.38年となっています。
上記の平均寿命からわかるように、日本は昔から世界でも有数の長寿国。老年期を元気に楽しく生きていくためには、健康寿命を延ばすことが非常に重要なのです。
国が進める健康寿命を伸ばすための取り組みとは?
厚労省でも健康寿命の延伸に向けて多岐にわたる取り組みを行っています。以下のようなものがあります。
生活習慣病予防
健康日本21(二十一世紀における国民健康づくり運動)
国民の健康増進を目的とした総合的な政策で、食事、運動、禁煙などの生活習慣や社会環境の改善を推進しています。
特定健診・特定保健指導
40歳から74歳までの国民を対象に、メタボリックシンドロームの早期発見と生活習慣病の予防・改善を目指した健康診断(健康診査)と保健指導を実施しています。
介護予防
地域包括ケアシステム
住み慣れた地域で高齢者が必要な介護サービスを受けながら、自分らしい暮らしを人生の最後まで送れるよう支援するシステムです。
介護予防プログラム
運動器機能の向上・栄養改善・口腔機能の向上など、介護が必要になる前の段階での予防活動を推進しています。
メンタルヘルス対策
ストレス管理やうつ病の早期発見と治療を目的とした施策を推進しています。また、職場におけるメンタルヘルス対策も強化しています。
健康づくりのためのインフラ整備
健診・保健指導のデジタル化
健康診断結果のデジタル化を進め、国民が自分の健康状態をより簡単に把握できるようにしています。
健康増進施設の整備
スポーツジムや健康増進センターなど、地域で気軽に利用できる施設の整備を支援しています。
健康寿命を延ばすために意識したいこと
健康寿命を延ばすためには、長期的に健康的な生活を心がけることが大事です。今日から以下のポイントを意識してみてください。
栄養バランスの良い食事を
人の体は、基本的に食べたもので作られます。そのため、毎日の食事で何を食べるかは健康寿命を伸ばすために非常に重要です。
一番に意識したいのは、栄養バランスの取れた食事を摂ること。具体的には、主食・主菜・副菜の揃った食事を意識しましょう。例えば、麺類や丼ものなどの一品料理は栄養が偏りやすいので、たまにならOKですが控えめに。和定食のように、お米などの主食と魚や肉を使った主菜、野菜や海藻類・大豆製品などを使った副菜を揃えるのが理想的です。
また、特定の食材ばかり摂るのではなく、バリエーション豊富にさまざまな食材を取り入れることをおすすめします。旬の野菜や魚は栄養も豊富で美味しいので、ぜひ食卓に取り入れてみましょう。
禁煙する
よく知られていることではありますが、やはりタバコは体に良くありません。例えば、肺がんを始めとするがん、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器系疾患、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系の疾患といった病気のリスクを上げるほか、免疫力の低下や歯周病など、さまざまな健康リスクをもたらします。健康を維持するためには、できるだけ早い段階での禁煙が推奨されます。
飲酒は控えめに
過剰な飲酒は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。例えば、高血圧症や心筋症・心臓病などの循環器疾患、肝硬変やアルコール性肝炎・肝臓がん、胃潰瘍や膵炎などの消化器系疾患、うつ病や不安障害などの精神疾患や認知症や脳損傷などの原因になることがあります。
お酒の飲み過ぎに注意することが健康維持のために重要です。また、飲酒に関する問題を抱えている場合は、専門家の助けを求めることが推奨されます。
定期的に健康チェックを受ける
健康寿命を伸ばすためには、定期的な健康チェックは非常に大切です。定期的に健康診断を受けることで、早期に病気を発見し、適切な治療を受けることができます。特に、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病は早期発見が重要です。市町村が主催する健康診断への参加や人間ドッグなどを利用しましょう。
適度な運動を習慣化する
適度な運動は、筋力や体力を維持し、病気の予防にも役立ちます。ウォーキングやヨガ・軽い筋トレなど、無理のない範囲で続けることが大切です。
ストレス解消とリラックス
精神的なストレスは健康にさまざまな悪影響を与えるので、適切に管理することが必要です。リラックスする時間を持つ、趣味を楽しむ、友人や家族とのコミュニケーションを大切にするなど、自分なりのストレス解消方法を探しましょう。
人との交流・社会的なつながりを持つ
社会的に孤立した状態・孤独は、不安感や心の不調の原因となります。友人や家族との交流を大切にし、地域の活動に参加するなどして社会的なつながりを持つことが大切です。
まとめ
健康寿命は平均寿命と異なり、健康であると自覚し、自立した生活を送ることができる期間のことです。バランスの良い食事、適度な運動、定期的な健康チェック、ストレス管理、禁煙と適度な飲酒、そして社会的なつながりを大切にすることで、健康寿命を延ばすことが可能です。ぜひ今日から自分の生活に取り入れて、より長く健康な人生を送りましょう。
小田原博信会理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士 岡村信良
URL: https://kuno.odawaragc.com/
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