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献血ができないのはどんな人?体・美容への影響とメリットもある?

街を歩いていて、献血バスを見かけたことがある方もいるのではないでしょうか?献血は、治療や手術などで輸血を必要としている方へ血液を提供するためのボランティア。時間や自分の体調が許すのであれば、社会貢献の一つとして参加したい活動といえます。

ですが、献血について実はあまりよく知らない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、献血のやり方や時間、メリットの他、献血ができない人の条件などについて久野銀座クリニック院長 医学博士の岡村信良先生に教えてもらいました。

岡村信良

【監修】小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士

平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。

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献血とは?流れや種類、献血にかかる時間を解説

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献血とは?

献血とは、治療や手術などで輸血を必要としている方へ血液を提供するために行うボランティア活動です。健康な方の血液をとり、それらを用いて輸血用血液製剤や血漿分画製剤が作られます。全国にある献血ルームや献血バスなどで行われています。

献血の種類は?

献血の種類は、血液中のすべての成分を採血する「全血献血」と、自動成分採血装置を用いて血液中の血漿や血小板のみを採取する「成分献血」の2つです。全血献血には200ml採取するケースと、400ml献血するケースがあります。

献血の流れと時間

まずは献血することの同意を行い、その後体重測定、健康に関する質問表回答、問診や血圧・脈拍測定、体温測定を行って採血基準を満たしているかの検査をします。問題なければ採血を行い、約10分休憩して終了となります。採血する量や成分によって多少異なりますが、全血献血は約15分、成分献血は約40〜90分かかります

献血できないのはどんな人?

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献血は、健康な方の血液から輸血用血液製剤や血漿分画製剤を作るためのものです。また、体から血液を採取するため、健康状態によっては貧血になってしまうリスクがあります。そのため、対象者の状態によっては献血ができないことがあります。

献血当日に体調不良がある・発熱している

質問への回答や問診で、体調不良・過度の空腹状態や睡眠不足・37.5度以上の発熱などが見られた場合、献血ができません。なお、生理中については、体調が良く、採血基準に合致していれば献血をすることができます。

薬を服用または使用している

内服薬に限らず、外用薬・坐薬・点眼薬・点鼻薬でも、薬の種類によっては献血ができないことがあります。献血に問題がないのは、ビタミン剤やミネラル剤などのサプリメント・漢方薬・一般的な胃腸薬など。アレルギー薬も一部を除き、献血可能です。また、血圧やコレステロールの薬を服用していても問題ありませんただし、実際献血できるか否かは、本人の体調や服薬目的などを考慮して、健診医が最終的な判断を行います。

外傷がある

擦り傷や切り傷がある場合、傷口から細菌やウイルスに感染している恐れがあるため、献血ができません。ただし、健診医が状態や症状を確認し、問題ないと判断された場合は献血を受けることができます。

3日以内に出血を伴う歯科治療を受けている

出血を伴う歯科治療を受けた場合、治療した日を含む3日間は献血ができません。これは、口腔内常在菌が血液に入り込み、菌血症を引き起こしている可能性があるからです。出血を伴う歯科治療にはいろいろありますが、歯石除去なども含まれます

一定期間内に予防接種を受けている

予防接種を受けた後は、一定期間献血ができません。その期間は予防接種の種類によって異なります。例えば、インフルエンザの予防接種後、24時間は献血ができません

一定期間内にピアスを開けた

ピアスを開けると、細菌感染の可能性を考慮して一定期間献血ができなくなります。医療機関または使い捨ての器具で開けた場合は最低1か月。安全ピンや針で開けた場合、半年は献血ができません。

タトゥーを入れた

タトゥーを入れた場合、肝炎などを発症するリスクがあるため献血ができない期間があります。期間はタトゥーを入れてから半年間が目安です。

動物や人に噛まれた

動物・人に噛まれた傷がある場合、何かしらの感染症にかかっている可能性があるため、一定期間献血を受けることができません。動物の場合は傷が治ってから3か月、人に噛まれた場合は傷が治ってから6か月は献血できません。

海外旅行、海外生活から帰ってきた人

海外からの帰国日当日から4週間は、ウイルス感染症などのリスクが考えられるので、献血はできません。また、BSE(狂牛病)が発生した欧州各国に滞在経験がある方は献血ができません。どの時期・どの国に滞在経験があると献血ができないかは、日本赤十字社に詳しく記載されているので確認してみてください。

参考:日本赤十字社:献血をご遠慮いただく場合 海外旅行者および海外で生活した方

その他、疾患など

以下に該当する人は、献血ができません。

  • クロイツフェルト・ヤコブ病または類縁疾患と診断された人
  • 血縁者にクロイツフェルト・ヤコブ病または類縁疾患と診断された人がいる人
  • ヒト由来成長ホルモン(プラセンタなど)の注射を受けている人
  • 角膜移植を受けた人
  • 硬膜移植を伴う脳神経外科手術を受けた人

プラセンタ注射を受けた

変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)の感染リスクを否定できないため、プラセンタ注射を受けた人の献血を制限しています。「美容点滴を打っていると献血ができないのでは?」と感じている方もいるかもしれませんが、高濃度ビタミンCや白玉注射と呼ばれるグルタチオンなどであれば特に制限はなく、献血ができます。

献血の体への影響は?健康・美容メリットがあるってほんと?

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献血が健康・美容に影響する?

一部のSNSなどで、「献血をして定期的に血液を外部に排出することで健康や美容に良い効果がある」「定期的に血液を抜くことで、老廃物を排出してデトックスになる」といった言説を見たことがある人もいるかもしれません。しかし、これには医学的な根拠は全くありません

献血は、あくまで輸血が必要な人に自分の血液を提供する行為であり、自身の健康や美容のための行為ではないのです。なお、献血をすると血液検査の結果をもらうことができます。これは自身の健康管理にとってメリットといえるでしょう

献血の体への影響は?

健康な人であれば、献血が体に悪い影響を及ぼすことはほとんどありません献血は、健康に害を及ぼすことがないよう、年齢・体重・血圧・ヘモグロビン量などに基準があり、問診をして健康状態をしっかり確認してから行います。

なお、献血後の体調不良を防ぐために、献血後は水分をしっかり摂って10分は休憩し、当日は激しい運動や飲酒は控えるように指導されます。こういった注意をきちんと守れば、献血によって体調を損ねたり悪影響を与えたりするような事態を避けることができます。

献血をすると受けられるサービス・メリットって?

献血を実施する献血ルームには、お菓子やお茶、ジュースなどが置いてあるところもあり、献血をした人は自由に飲食できます。このほか、献血ルームによってはタロット占いやネイルサービス、マッサージといったサービスが行われていることも。献血ルームで受けられるサービスはさまざまなので、ぜひ調べてみてください。また、献血回数が10回・30回・50回になると、それぞれ記念品が贈呈されます。

献血はどのくらいの頻度でできる?

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献血ができる間隔は、献血の種類や量によって異なります。以下に、ケース別の献血ができる間隔の目安を記載しますので参考にしてみてください。

全血献血をした場合

200ml献血をした場合

男女ともに4週間後の同じ曜日から、すべての献血(全血献血・成分献血)が可能

400ml献血をした場合

次回の全血献血は、男性は12週間後・女性は16週間後の同じ曜日から可能。成分献血の場合は、男女ともに8週間後の同じ曜日から可能

成分献血をした場合

男女ともに2週間後の同じ曜日から、すべての献血(全血献血・成分献血)が可能

まとめ

日本では、輸血用血液製剤や血漿分画製剤などを作るための血液が常に不足しているといわれています。健康な人が献血をすることで、治療や手術などで輸血を必要としている方へ血液を提供することができます。さほど時間もかからず、終了後にはお菓子や飲み物などがもらえたり、無料でマッサージやネイルを受けたりすることができる場合もあるので、献血ができる健康状態の方はぜひ前向きに検討してみてください。

小田原博信会理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士 岡村信良

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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