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秘密はスパイスにあった!カレーの健康効果がすごい!
健康とくらし
2015年08月20日掲載
「嫌いな人はいない」と言われるほど、子供から大人まで、年代・性別問わず愛される国民食“カレー”。美味しさはもちろんのこと、実は健康に良いパワーも秘めているのです。例えば、辛味成分は消化器の粘膜を刺激し、中枢神経の働きを高め、その結果消化液の分泌も促してくれます。これが「暑い夏で食欲がなくても、カレーは食べられる!」という食欲増進効果。
このようなカレーのパワーを最大限に生かし、夏を乗り切る方法をご紹介します。
日本の国民食「カレー」
日本には西洋料理として明治の初めころにカレーが上陸しましたが、当初は洋食屋で提供される、庶民には敷居の高い料理でした。1923年に日本人の口に合う日本初のカレー粉が開発され、続いて板チョコ状のインスタントカレー(カレールウ)が発売されました。
安価に食べられるようになったこと、そしてご飯にかける手軽さから家庭での定番料理に定着します。さらに1969年には、温めて掛けるだけのレトルトカレーも発売。給食でも人気メニューの一つとなり、今や日本の「国民食」とも呼ばれる不動の地位を築くのです。
カレーは食べる“漢方薬”!?
カレーは複数のスパイスから作られるもの。そのスパイスは、漢方薬として使われているものも多く、それぞれ健康への効果が期待できると言われています。最近ではスーパーで手軽にスパイスが手に入りますので、これを参考に自分なりのスパイスアレンジしてみてください。
また、もっと手軽に作るには、既に複数のスパイスがミックスされた市販の「カレー粉」に、好みのスパイスをプラスαしてみてはいかがでしょうか。動物性油脂や塩分がたくさん含まれているカレールウを使うよりもヘルシーでオススメです。
カレーによく使われるスパイスの特徴
ターメリック
役割:色付け
特徴:黄色い色付けに欠かせないターメリックとは、皆さんもよくご存じの「ウコン」のこと。それに含まれる「クルクミン」は、肝機能を向上させ、コレストロール値の低下が期待されます。また、近年では脳機能活性化によりアルツハイマー病の予防にも効果があることが報告されています。
こんな人におススメ
- 認知症予防、または脳機能の活性化
- お酒をよく飲む方
- 便秘でお悩みの方
クミン
役割:香り
特徴:カレー特有の香りはこのスパイスから。消化器官に効果があり、消化促進の作用もあると言われています。
こんな人におススメ
- 胃腸が弱い人
- 食欲不振の人
- ガンや循環器系の病気の予防に
コリアンダー
役割:香り
特徴:マイルドさとほんの少しの苦味も加わり、後味さっぱりのカレーに。古代より消化を助ける胃薬として利用され、食欲増進にも役立つと言われています。
こんな人におススメ
- 胃腸が弱い人
- 食欲不振の人
- 口臭が気になる方
ガーリック
役割:香り
特徴:世界中で古くから使われている滋養強壮のスパイスの一つ。天然の抗菌作用もあり、免疫を高める効果もあると言われています。また、これに含まれる「アリシン」という成分は疲労回復に役立つ成分で、ビタミンB1との相乗効果も。ビタミンB1が豊富な豚肉や大豆製品と一緒に摂るのがおすすめです。
こんな人におススメ
- 疲れを感じる人
- 動脈硬化の予防
- 冷え性
カルダモン
役割:香り
特徴:「香の王様」と言われ、甘くエキゾチック、そして爽やかな香りが特長。カレー粉の主な原料の一つで、インドでは食後にこの粒を噛み、香りのデザートとして楽しんでいるそう。
こんな人におススメ
- 口臭が気になる人
- 気分を落ち着かせたい方
ブラックペッパー
役割:辛み
特徴:新陳代謝を高めてくれる身近なスパイス。食欲増進、疲労回復など、夏バテしやすいこの時期には特に嬉しい効果です。
こんな人におススメ
- 疲れを感じる方
- 冷え性
- 食欲不振の方
トウガラシ(カイエンペッパー)
役割:辛み
特徴:美容系商品でも使用されることが多いこちらのスパイス。辛味成分「カプサイシン」は、体脂肪を燃焼させてくれるダイエットの強い味方。カレーの辛みを決める重要なスパイスでもあります。
※カプサイシンを大量に摂取すると、胃腸が炎症を起こす場合があります。特に小さな子供や胃腸の弱い方には刺激が強く、注意が必要です。
こんな人におススメ
- ダイエットに
- 冷え性
- 血行不良の方
※スパイスの効能について、人への有効性・安全性は確かなものではありません。効果は個人差があります。
お悩み別!おすすめカレー
一口にカレーと言っても、「具材」が変われば味や健康への効果も変わります。
お悩み別のおすすめカレーをご紹介します。
便秘改善、むくみ改善
おすすめ:グリーンカレー
グリーンカレーといえばココナッツミルク。ココナッツミルクに多く含まれるミネラルのカリウムは、血圧を安定させたり、むくみを予防したり、筋肉の働きをコントロールする働きがあります。また、牛乳や豆乳と比べて中鎖脂肪酸の割合が高いのが特徴。中鎖脂肪酸は牛脂や豚脂などに含まれる長鎖脂肪酸と比較して、エネルギーに変わりやすい脂肪酸です。
認知症予防・改善に
おすすめ:大豆カレー
前述したように、ターメリックに含まれる「クルクミン」はアルツハイマー病の予防に効果があります。その吸収を良くしてくれるのが、大豆に含まれる「レシチン」という成分。レシチンは、脳の働きを活発化させ、記憶力や集中力を高める効果があると言われ、「脳の栄養素」とも呼ばれています。カレーの具に大豆を加えることで、よりアルツハイマー病の予防が期待できるのです。その際、大豆はあらかじめ加熱調理をして柔らかくしたものを加えます。納豆や厚揚げ、豆乳などの大豆製品などもおすすめです。
美肌効果、疲労回復、血流改善
おすすめ:トマトカレー
トマトに含まれる「リコピン」は生でそのまま食べるより、煮込むことでさらに吸収率がアップするので、カレーに加えるのはリコピンを効果的に食べるおすすめの食べ方です。また、トマトに含まれる「ピコピン」は、抗酸化作用など多くの健康効果が期待できます。
美肌効果、便秘解消、辛味抑制に
おすすめ:アボガドカレー
女性に嬉しいダイエット効果が期待できるスパイスのトウガラシ。ですが、「辛いのが苦手」という人も多いはず。そんなときにアボガドをトッピングすれば、トロリとした食感で辛味も抑えられます。さらにアボガドは女性ホルモンの一つ、黄体ホルモンの材料となり、ホルモン分泌の調整にも関わるビタミンEを豊富に含んでいますので、更年期症状の軽減も期待できます。また、食物繊維が豊富で便秘解消にもおすすめです。
まだまだ他にも!eo健康おすすめカレーレシピ
もっと効果的なカレーの食べ方
食べる時間や一緒に食べる物で、カレーがもっと体に嬉しいものに。
簡単な方法ばかりですから、ぜひ試してみましょう。
市販の「カレー粉」を使ってヘルシーに!
スーパーのカレーコーナーに、缶や袋の状態で販売されている「カレー粉」。既にカレー用の複数のスパイスがミックスされた商品で、手軽なカレー作りには欠かせないもの。こちらに好きなスパイスを足して作ると、いつものカレールウよりも脂肪分が抑えられ、簡単ヘルシーなカレーに。
今話題のココナッツオイルをサラダ油の代わりに使うのもおすすめです。
朝に食べるカレー
いったいいつ食べるのが一番カレーの効果が引き出せるのか?
それはなんと「朝」!スパイスには体を目覚めさせる効果があり、体のスイッチがオンになるのです。前日の残り物でもOKですから手間もかかりません。「朝カレー」で軽快な一日をスタートしましょう。
ナンとご飯ならどっち?
皆さんはカレーの主食に「ご飯」と「ナン」、どちらを選びますか?
「もっと健康にこだわりたい」という人は、ご飯なら白米だけよりも、雑穀をプラス。ビタミンやミネラルを多く含み、歯ごたえがあることから、しっかり咀嚼することで消化機能アップにもつながります。
ナン派でしたら、ナンの代わりに「チャパティ」がおすすめです。小麦粉で作るナンより全粒粉を使用して作るチャパティは、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富で、よりヘルシーになります。
乳製品がお供
カレーを食べるときには冷たいお水を飲む方が多いですが、それではせっかくスパイスで活性化した胃腸機能を落としかねません。常温の水か、辛さを抑えたいのならラッシーやチャイなどの乳製品の方が辛味を抑えてくれます。
名脇役!らっきょうも一緒に!!
カレーの脇役と言えば、らっきょう。らっきょうに含まれる硫化アリルは、エネルギー代謝に不可欠なビタミンB1の吸収を助けますますので、疲労回復、血流改善、食欲増進、腸内環境を整えるなどの効果も期待できます。また、同じく酢を使うことが多い、「欧米の漬物」と言われるピクルスなども、酢に含まれるクエン酸の効果で疲労回復に役立ちます。パプリカやプチトマトなど夏野菜のピクルスもおすすめです。
監修
一般社団法人健康栄養支援センター 食育子ども栄養部部長 平尾千文先生
大学卒業後、約10年間の社会人経験を経て「管理栄養士」となる。現在は主に乳幼児、妊産婦の栄養に関わる活動、クリニックのアレルギー科や行政にて栄養指導、某企業様「生活習慣病に係る重症化予防プログラム」の指導を行っている。また、一般社団法人健康栄養支援センターでは食育子ども栄養部部長を務め、栄養講座や料理教室講師、企業HP・雑誌でのレシピや栄養コラム執筆など幅広く活動中。
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。