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嘘つきは心の病気?嘘をつく心理と特徴を解説

多少の嘘であれば誰もがついたことがあると思いますが、「この人、いつも嘘ばかりだな」と感じる人と出会ったことはありませんか?人が嘘をついてしまうのには、何か理由や原因があるのでしょうか?あまりにも嘘が目立つ場合、その人は心の病気なのでしょうか?そこで今回は、嘘をつく心理や嘘ばかりつく人への接し方のポイントなどについて、一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構の大野萌子先生に教えていただきました。

大野 萌子

一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に、シリーズ51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』など、多数。

一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子

嘘つきの心理とは?どうして嘘をついてしまうの?

嘘つきの心理とは?どうして嘘をついてしまうの?

そもそもなぜ人は嘘をつくのでしょうか?

自分の過ちや失敗を隠したいから

ミスをしたときや失敗をしたとき、それを隠すために嘘をついてしまうことがあります。例えば、仕事で何かミスをした際に、「そんなこと聞いていませんでした」「知りませんでした」などと嘘をつく……といった状況ですね。これは自分自身を守る防衛本能のひとつで、次項の「自分をよく見せたい」にも繋がります。

自分のことを良く見せたい・評価してほしいから 

自分のことをよく見せたい・評価して欲しい・今の状況よりもプラスに見せたいという思いから、嘘をついてしまうことがあります。例えば、「(全く知り合いでもないのに)〇〇さんと仲良いんですよ」と嘘をついたり、「(本当は2週間語学スクールに通っただけなのに)海外の大学に留学してたんだ」などと、完全な嘘ではないけれど便乗的に嘘をついたりする例が挙げられます。

周りにかまってほしいから・注目してほしいから

周りにかまって欲しい・自分に注目してほしいという気持ち、つまり承認欲求から嘘をつくこともあります。可哀想な自分を演じたり、すごい自分を演じたり、さまざまなパターンがあります。

その場を盛り上げるため、ついつい  

飲み会などでその場を盛り上げるために、つい話を大きくしたり嘘を交えたりしてしまうことがあります。ムードメーカー的な人はついついやってしまうのではないでしょうか。この場合、悪意や悪気はないことがほとんどです。

相手を喜ばせるため 

相手を喜ばせるために、お世辞として心にも思っていないことを言ってしまうことがありますよね。例えば、「私いくつに見えます?」と聞かれたときに5歳くらい若めに答えたり、本当はかなり迷惑を被ったりしたのに、「全然大したことありませんよ」と言ってあげる……といった状況です。こういった嘘は、必ずしも悪いものではなく、コミュニケーションスキルの一つでもあります。

相手を騙したり陥れたりするため

完全な悪意を持って、相手を騙したり陥れるために嘘をついたりする人もいます。全く嘘の話を信じ込ませて不安を煽ったり、「〇〇さんがあなたの悪口言っていたよ」などと嘘の情報を教えたり……といった状況が挙げられます。

病的な嘘つき……虚言癖って?

病的な嘘つき……虚言癖って?

嘘をついてしまうと、「バレたらどうしよう……」「悪いことをしてしまった……」といった恐れや罪悪感を覚えるものです。やむにやまれぬ場合をのぞいて、できるだけ嘘をつかないようにしている人がほとんどだと思いますが、中には病的なほど頻繁に嘘をついてしまう人や、嘘をついている自覚すらない人もいます。こういった、どうしても嘘をついてしまう性質のことを「虚言癖」といいます。虚言癖には、いくつかパターンがあり、演技性パーソナリティ障害・妄想性パーソナリティ障害と呼ばれています。

演技性パーソナリティ障害

演技性パーソナリティ障害は、他者の注目を引くために様々な手を使うのが特徴です。また、注目を浴びることができないと機嫌が悪くなります。注意を引いたり、より親切な世話を強要したりするために嘘をつくことが多く、人によっては「死ぬ気はないのに自殺の素振りをする、自殺するぞと脅す」といった行動にでることもあります。

妄想性パーソナリティ障害

妄想性パーソナリティ障害は、他者を信用せず、自分の感じ方に何の根拠もない、または不十分な根拠しかない場合でも、他者が自分に害をなそうとしている、または自分を欺こうとしていると考えるのが特徴です。

一過性の嘘と虚言癖を見分ける方法は?

一過性の嘘と虚言癖を見分ける方法は?

「この人って、単なる嘘つきなのか、虚言癖のような病気なのか、どっちなのだろう」 周りの誰かに対して、そんなふうに思ったことがある方も多いのではないでしょうか。どう対応したらいいのか、迷ってしまうこともあるかもしれません。 

一過性の嘘つきと虚言癖のような病的な嘘つきの線引きは、「迷惑を被っているかどうか」で考えてみると良いでしょう。誰かの嘘によって日常的に心理的・実務的に迷惑をかけられ、困った事態が発生しているのであれば、虚言癖を疑い、何らかの対処をする必要があるかもしれません。

例えば、会社に嘘ばかりつく人がいて、その人の嘘によって会社の皆が迷惑を被り、トラブルが生じているとします。このように事例性が伴っている場合には、会社として「あなたの嘘によってみんなが困っているから、一度病院に相談してもらえないか」と促すことが可能です

嘘つきな人・虚言癖がある人への対処方法

嘘つきな人・虚言癖がある人への対処方法

嘘つきな人・虚言癖がある人との付き合い方というのは難しいものです。相手の嘘に翻弄されて疲弊したり、場合によっては金銭的トラブルに巻き込まれてしまったりすることも。「この人しょっちゅう嘘をつくな」「この人の話は嘘ばっかりだな」と感じる人とは、上手に付き合っていくことが大事です。

距離を取る

・深く関わらない

自分が頑張ったところで相手を変えることは難しいもの。トラブルに巻き込まれないためには、相手と距離を取ることが大事です。仕事上どうしても関わらなければならない場合も、できる限り接触度合いを減らすように心がけてみてください。


・二人きりにならない

一対一の関係にならないようにすることもポイントです。二人きりだと、「言った・言わない」の水掛け論にもなりがちです。例えば、ランチに誘われたら断る、もしくは「〇〇さんも誘ってみますね」というように、二人だけになるシチュエーションはできる限り避けましょう。

大袈裟な反応を返さない(聞き流す)

嘘をつく人には、承認欲求が強い人が多い傾向があります。話をされたときに大袈裟に「え〜!!そうなんですか!?」などと反応すると、相手を増長させてしまう恐れが。「この人は良い反応をしてくれるな」と、ターゲットにされてしまいかねません。「へ〜」「そうですか」などと、聞き流すようにするのが効果的です。

重要な話は記録に残すようにする

仕事などでの重要なやりとりは、口頭ではなく、メールなど文字に残すようにしましょう。口頭でやり取りせざるを得ない場合は、「正確を記すために録音させていただきますね」と言って、録音するのも良いでしょう。実際に録音まではしなくても、そう言っておくことで相手への抑止力になります。

嘘かな?と思ったら、反復して聞き返す

相手の話を嘘だと思っても、「嘘でしょ?」は言わない方がベター。相手もムキになって反論したり話をさらに盛ったりして、収拾がつかなくなります。嘘かなと思ったら、相手の言ったことを反復して聞き返すのが有効です。

「他の人に確認してみる」と返す

「〇〇さんがこう言ってましたよ」などと言われて、本当かな?と感じたら、「じゃあ他の人にも確認しておきますね」「そうですか、〇〇さんにも共有しときますね」などと返すのも良い方法です。関係性を二人だけで完結させずに第三者を介入させることで、嘘をつきづらい状況を作ることができます。

嘘でないところを褒める

相手との関係を続けていきたい・続けざるを得ないのであれば、少しでも良好な関係性でいたいものですね。そういった場合には、嘘でないところを褒めるように心がけてみてください。相手から得られた情報で自分の役に立ったこと・相手に助けられたことなど、相手を認められる部分があれば、その点に関して感謝の言葉をきちんと伝えます。

このような接し方をしていくことで、相手の嘘つきが改善されていくこともあります。嘘つきの人は、根本に「自分を認めてほしい」「わかってほしい」「より良く見せたい」という思いが強くあり、それらが嘘の原動力となっています。そのため、嘘をつかなくても褒められる経験・認められる経験が積まれていくと、嘘をつかずにありのままの自分でいられるようになるものです。

まとめ

嘘つきの人と付き合っていくのはなかなか大変なもの。嘘つきの人が近いところにいると、心理的にも実務的にも迷惑を被り、場合によってはトラブルに発展することもあります。

大野先生曰く、「巻き込まれないためには、嘘の兆候を見極めることも大事」とのこと。「この人、そんなに親しくないのにぶっちゃけ話をしてくるな」「話が現実とあまりにもかけ離れている」などと感じたら、距離を取ったり、慎重に接したりすることが大事です。

他人の嘘で疲弊したり悩んだりしてエネルギーを使うのはもったいないので、嘘つきの人に悩んでいる場合は、同僚や友人・会社などに相談するのも良いでしょう。

一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野萌子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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