冬場に発生しやすい静電気。発生する仕組みと除去方法を解説
健康とくらし
2023年01月31日掲載
冬の時期、静電気に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。ニットを脱ぐときにバチバチしたり、スカートが足にまとわりついたり、ドアに触れるとバチっとなったり、冬の静電気は煩わしいものですよね。そこで今回は、静電気が起きる仕組みや原因・静電気を除去する対策方法について、LECINQ clinic院長 長谷川佳子先生に教えていただきました。
長谷川佳子
LECINQ clinic院長
2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック勤務を経て、2020年ルサンククリニック診療部長就任。2021年 ルサンククリニック院長就任。所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。
静電気が起きる仕組みとは?
静電気とは、物質の表面に溜まっている電気のことを指します。
人間の体や衣服の繊維・金属・木・プラスチックなど、私たちの周りにある全ての物質は「原子」という小さな集合体で構成されています。そして、この原子は周囲にプラス電気とマイナス電気を持っています。 普段これらの物質に触っても電気を感じないのは、プラス電気とマイナス電気が同量でバランスを保っているからです。
しかし、マイナス電気は動きやすい性質を持っているため、摩擦や接触・空気の乾燥などによって容易に他の物質に移動します。すると、プラス電気とマイナス電気のバランスが崩れ、静電気が発生するのです。
冬に静電気が起こる原因は?
冬は気温が低く、空気が乾燥しているから
冬に静電気が発生しやすくなる理由の一つは、気温が低く、空気が乾燥しているから。静電気は、湿度20%以下・気温20℃以下の環境で発生しやすくなるといわれています。冬は気温が低くなるだけでなく、空気が乾燥して湿度も下がるため、静電気が発生しやすくなるのです。
いろいろな素材の衣服を重ね着するから
冬になると、異素材の衣類をたくさん重ね着するようになります。例えば、「ポリエステルなどの化学繊維でできたヒートインナー×ウールのニット」や「アクリルのスカート×ナイロンのタイツ」。さらにそこに、コートやマフラー・手袋などもプラスされます。このような異素材の重ね着は、静電気を起こしやすくさせる要因になります。 というのも、素材によってプラス電気を帯びやすいもの・マイナス電気を帯びやすいものがあるからです。プラス電気を帯びやすい素材とマイナス電気を帯びやすい素材を組み合わせてしまうと、それらが擦れ合うことで静電気が発生しやすくなります。
【生活習慣編】静電気を除去するための対策
室内の乾燥を防ぐ!湿度は50〜60%にキープして
空気中の水分量が多い(湿度が高い)と、静電気が発生しても空気中の水分によって放電されます。静電気を防ぐには、加湿器を使ったり、洗濯物を室内に干したりして、冬場でも室内の湿度を50〜60%程度にキープすることが大事です。
洗濯時に柔軟剤を使用すると静電気防止に
洗濯をするときに柔軟剤を使うのも静電気対策として有効です。柔軟剤には、静電気を放電しやすくさせる成分が含まれています。
重ね着する衣類の素材を見直す
衣類に使われている素材には、プラス電気を帯びやすい素材とマイナス電気を帯びやすい素材があります。これらを混ぜて重ね着すると静電気が発生しやすくなるので、衣類の組み合わせに気をつけてみしましょう。
- マイナス電気を帯びやすい素材:アクリル・ポリエステル・アセテートなど
- プラス電気を帯びやすい素材:ナイロン・ウール・レーヨンなど
綿や麻・絹などの天然素材はもともと帯電しにくいので、擦れあっても静電気は発生しにくいといえます。冬場のインナーやタイツなどを天然素材製品にするのも、静電気対策におすすめといえます。
肌の乾燥を防ぐ
肌が乾燥していて肌の水分量が低いと、静電気が溜まりやすくなります。お風呂上がりにボディクリームやオイルなどを体に塗って肌を保湿しましょう。
髪の毛の乾燥を防ぐ
髪の毛には電気が溜まりやすいので、トリートメントやヘアオイルなどで保湿を心掛けましょう。
【応急措置編】静電気を除去するための対策
静電気防止スプレーを使用する
セーターを脱ぎ着するときの「バチッ」や、スカートとタイツのまとわりつきを防ぐには、服を着るときに衣類用の静電気防止スプレーを振っておくのがおすすめです。値段もそれほど高くなく、スーパーやドラッグストア・コンビニなどどこでも購入できるのもよいところ。外出先で静電気が気になるときも、その場でスプレーすると不快な静電気を防ぐことができます。
濡らしたハンカチで衣服をなぞる
「外出先で静電気が気になるけど、静電気防止スプレーが手元にない」というときは、水で濡らしたハンカチで衣類をなでてみてください。水で濡れた部分から放電されるので静電気が収まりやすくなります。あくまでも一時的な応急措置ですが、どうしても気になるときには便利な方法です。
バチっときやすいドアノブは、地面や壁に触って放電してから触れると◎
玄関や車のドアノブ・水道の蛇口などの金属も静電気が起きやすい場所です。これらに触れるときは、先に地面や壁・クロスなどを手のひら全体で触っておきましょう。コンクリートやアスファルトには電気をゆっくり逃す性質があるため、先に触れておくと静電気が起きにくくなります。
まとめ
玄関や車のドアを触れるときや衣類を脱ぎ着するときなどに起こりやすい冬場の静電気。静電気を防ぐのに大事なのは物質に溜まった電気を逃してあげること。部屋の乾燥を防いだり、肌や髪を保湿したり、ドアノブに触れる前に壁に触ったり、重ね着する衣類の素材を見直したりすることで、静電気予防に繋がります。また、静電気予防スプレーなど便利なアイテムも売られています。静電気に悩みの方は、今回ご紹介した予防方法と対策方法をお試しください。
LECINQ clinic院長 長谷川佳子
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