暮らし あと押し eo

eo健康

リポソーム化ってどんな技術?お肌への効果とリポソーム化粧品の正しい使い方

ここ数年、大手メーカーの化粧水や美容液などを見ていると、「リポソーム」というキーワードが出てくることがよくありますよね。リポソームとは、簡単にいうと「美容成分を閉じ込めるための技術」のこと。リポソームによって、今までは肌に浸透させるのが難しかった美容成分を、確実に肌に届けられるようになったのです。そんなリポソームはどんな技術なのか・どんな効果があるのかなどについて、LECINQ clinic院長 長谷川佳子先生に教えていただきました。

長谷川佳子

LECINQ clinic院長

2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック勤務を経て、2020年ルサンククリニック診療部長就任。2021年 ルサンククリニック院長就任。所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。

 LECINQ clinic院長 長谷川佳子

リポソームとは?簡単に説明するとどんな技術?

リポソームとは?簡単に説明するとどんな技術?

リポソームとは、細胞膜や生体膜の構成成分である「リン脂質」という物質を使って作った、0.1~0.2μmの微小なカプセルのこと。玉ねぎのような多層構造をしており、このカプセル内部に有効成分を閉じ込めることで、その成分を人の体に確実に届けることができます。 リポソームは、もともと医療分野において薬を体内に届けるために開発された技術でした。それが近年美容分野でも利用されるようになり、美容成分を肌に確実に届けるための方法として多くの化粧品で採用されています。

リポソームとナノカプセルの違いは?

リポソームとナノカプセルの違いは?

リポソームと並んでよく目にするのが、「ナノカプセル」という言葉です。化粧品のパッケージなどに「美容成分をナノカプセル化」といった文言が並んでいるのを見たことがある方も多いと思います。

ナノカプセルとは、有効成分を合成高分子や天然高分子の皮膜で覆い、成分の持続的放出や組織標的化を狙うドラッグデリバリーシステム技術を指します。では、リポソームとナノカプセルはどう違うのでしょうか?

実はリポソームとナノカプセルに明確な違いはなく、ほとんど同じです。ただし、リポソームという名前を使うには、多くの試験をおこなって「有効成分がしっかり肌に浸透していること」を実証する必要があります。ナノカプセルの中でも、「試験によって有効成分の効果が認められたテクノロジー」をリポソームと呼ぶのです。このような違いを知ると「ナノカプセルには効果がないの?」と感じる方もいるかもしれませんが、信頼性のある化粧品メーカーの商品なら、リポソームでもナノカプセルでも機能に大きな違いはありません。安心して利用して問題ないでしょう。

リポソーム化によってもたらされる効果とは

リポソーム化によってもたらされる効果とは

劣化しやすい成分を新鮮な状態で肌に届けられる

リポソームが特に効力を発揮するのは、ビタミンCなどの水溶性の有効成分を肌に届けたいような場合です。水溶性の成分は空気に触れるとすぐに酸化したり劣化したりしてしまいますが、リポソーム化することで新鮮な状態で肌に届けることができます。

有効成分をゆっくり浸透させられる

肌表面にはバリア機能があり、外からの刺激から肌を守ったり細菌やウイルスなどの異物が体の中に入ったりしないための防壁のような役割をしています。バリア機能は非常に大切ですが、一方で、バリア機能があるがゆえに美容成分も肌の奥には入りづらくなっています。

そこで、活躍するのがリポソーム化技術です。リン脂質で作られた多層カプセルが、肌に浸透していくにつれて玉ねぎのように外側から一枚ずつ剥がれていき、内部にある有効成分がゆっくり染み出て作用する仕組みになっています。

さらにビタミンA系のレチノールなど刺激の強い成分を徐々に肌に慣れされて、浸透させる作用もあります。

リポソーム技術を使った化粧品にはどんなものがある?使い方は?

リポソーム技術を使った化粧品にはどんなものがある?使い方は?

リポソーム技術を使った化粧品

リポソーム技術は、化粧水やオールインワンジェル・美容クリームさまざまなものに活用されています。また、メディカルコスメや医薬品でも活躍しています。

また、リポソーム技術は不安定な成分を配合する際に有用な技術です。脂溶性有効成分(脂に溶けやすい成分)も水溶性有効成分(水に溶けやすい成分)も内包することができるので、抗酸化成分のビタミンA・ビタミンC・ビタミンEやナイアシンアミド、コラーゲン、ヒアルロン酸など配合しているものが多くあります。

リポソーム配合化粧品の使い方

リポソーム技術を使った化粧品は、先述したようなビタミンA・ビタミンC・ビタミンEやナイアシンアミドといった美容成分を配合しているものが多くあります。これらの成分は美肌効果に優れるとされていますが、リポソーム化によって肌にしっかり届くようになった分、肌が敏感な方は刺激を強く感じることもあるので注意しましょう。

また、どんな化粧品も肌に合う・合わないには個人差があります。使っていてヒリヒリしたり肌荒れが起こったりした場合は使用を中止してください。

まとめ

近年話題のリポソーム技術。水溶性成分も脂溶性成分も内包することができ、不安定な成分も肌にしっかり届けられるのがリポソーム技術のすごいところです。今回ご紹介したように、リポソーム技術を用いたスキンケアアイテムはさまざまあります。ご自身のお肌悩みやお肌の状況に合わせて、リポソーム技術を使った化粧品にトライしてみてくださいね。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

おすすめ記事一覧