冬の体調不良…原因は「寒暖差疲労」かも?症状や原因、治し方を解説!
健康とくらし
2022年12月13日掲載
冬に差し掛かるにつれて、「なんだか体がだるい」「頭痛や胃腸の不調などの体調不良に陥りやすくなる」といった方は多いのではないでしょうか。この原因は、もしかすると寒暖差疲労かもしれません。そこで今回は、この寒暖差疲労の原因や代表的な症状・セルフチェック方法などについて、久野銀座クリニック院長 医学博士の岡村信良先生に教えていただきました。
岡村信良
小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士
平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。
寒暖差疲労の症状とは?
寒暖差疲労は、寒暖差が激しいことで自律神経が乱れて体に疲労や不調が生じることの俗称です。冷房病・クーラー病とも言われています。人によって症状は異なりますが、以下のような不調が起きやすくなります。
- 頭痛
- 全身の倦怠感
- イライラ
- 不安症状
- アレルギー症状
- 冷え
- むくみ
- 肩こり
- 首こり
- 腰痛
- めまい
- 胃腸障害
寒暖差疲労が起きるプロセス
人間の体には体温を一定に保とうとする機能があり、この機能は自律神経の働きによって保たれています。
寒いところでは、体内の熱を逃さないように血流を減少させて熱の放散を抑制したり、脂肪組織や骨格筋で熱産生を行ったりします。一方、暑いところでは、体内から熱を逃すために血流をあげて熱の放散を促したり、発汗によって体温を下げたりしているのです。寒暖差が大きい環境にいると、体温を一定にしようとする働きが活発になり、そのために多くのエネルギーを消費することになります。これが俗称「寒暖差疲労」と呼ばれています。
寒暖差疲労はどんなときに出やすい?
寒暖差疲労は、前日との気温差や1日の最高気温と最低気温の差が7℃以上ある時に起こりやすいとされています。冬から春にかけて暖かくなっていく時期・夏の冷房による室内と屋外の温度差が激しい時期・秋から冬にかけて寒くなっていく時期などが要注意です。つまり、寒暖差疲労は一年を通じて起こりうる可能性があるということです。
後述する「寒暖差疲労セルフチェック」に該当する項目が多い方は、このような環境下で寒暖差疲労を発症しやすくなる他、一度発症すると重症化しやすいと考えられます。また、疲れが溜まっていたり、自律神経失調症のように、自律神経が乱れやすい疾患があったりすると、寒暖差疲労が発症しやすくなります。
寒暖差疲労セルフチェック
以下に当てはまる方は寒暖差疲労が溜まりやすい傾向がありますので、体調管理に気をつけましょう。
- 夏でも汗をかきにくい
- 運動習慣がない
- 生活習慣が不規則
- 冷房や暖房など空調機器が不得意
- 周りの人と体感する温度が違う
- 天候によって体調が変わる
- 季節の変わり目に、体調不良になる
- 体が冷えやすい
- 1日中空調管理された部屋にいることが多い
寒暖差疲労の治し方・改善方法
首周り・肩周りを温めて
冬場に発生する寒暖差疲労の症状を和らげるのに有効なのが、自律神経が集まっている首周りや肩周りを温める方法です。お風呂にゆっくり浸かったり、ホットタオルで温めたり、寝るときに首周り・肩周りが冷えない衣類を着用したり、工夫してみてください。
体を温める食材を食べて
冬場は体を内側から温めるのも大切です。生姜をはじめとする薬味や、かぼちゃやにんじんなどの根菜類、さつまいも・里芋などの芋類は体を温める作用があると言われていますので、積極的に食べるようにしましょう。
あえて寒暖のリズムを作って自律神経を鍛える
冬場の対策
冬は暖房をつけて窓を閉め切っていることが多いと思いますが、数時間に一回は窓を開けて外気を取り入れて体を冷やす、寒い外にいる時は暖かい飲み物で体を温めるといったように、多少の寒暖差をあえてつけるようにしてみましょう。
夏場の対策
夏場は、冷房が直接体に当たらないようにし、日差しが弱い時間帯、涼しい時間帯は冷房を止めて外の空気を入れたりするとよいでしょう。キュウリやトマトなどの夏野菜は体を冷やす働きがあるので、食事からもケアをしましょう。
一年を通してできる対策
寒暖差疲労を予防するには、運動習慣をつけてきちんと汗をかける体作りが大事です。春から夏に向けての運動をしやすい時期に体をしっかりと動かし汗をかいて、体の温度管理ができるように整えるのも良いですね。
また、体の冷えを予防することも大切です。夏場もクーラーが効いた室内にいる方は、ブランケットやカーディガンを利用したり、温かい飲み物を飲んだりして体を冷やさないように気をつけてください。お風呂にゆっくり浸かって体を温めるのもおすすめです。
このほか、基本的な生活習慣を整えるために、睡眠をしっかりとる・ストレスを溜めないようにするといったことも意識してみてくださいね。このような対策を実施しても症状が改善しない場合、医療機関を受診するのもひとつの手です。寒暖差疲労の場合は、先ずは内科を受診してみてください。寒暖差疲労の原因を取り除く生活指導、場合によっては点滴などで栄養補給などを行うことで症状が改善することがあります。
まとめ
これから寒くになるにつれて、室内の暖かい環境と屋外の寒い環境との温度変化によって寒暖差疲労が起きやすくなります。この予防のためには、日頃からの対策が重要です。今回ご紹介したように、体の冷えを予防したり、運動習慣をつけたり、体を温める食材を中心に栄養バランスの取れた食事をとるようにしましょう。
小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士 岡村信良
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