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食習慣の最適化で自然治癒力を高める!「オーソモレキュラー栄養療法」の効果とやり方

コロナ禍を経て、健康への意識が高まっている方は多いかと思います。また、ご自身の体や心について、「日頃からもっとちゃんとケアをしたい」「基本的な健康状態を底上げしたい」と考えるようになった方も少なくないのではないでしょうか。

そんな方にご紹介したいのが、オーソモレキュラー栄養療法と呼ばれるものです。オーソモレキュラー栄養療法とは、簡単にいうと、自分に最適な食事やサプリメントをとることで細胞の働きを向上させ、体に本来備わっている治癒力を高めようとする療法です。その効果ややり方などについて、オーソモレキュラー栄養療法の第一人者である溝口徹先生に教えていただきました。

溝口徹

医療法人回生會 みぞぐちクリニック 院長


医療法人回生會 みぞぐちクリニック 院長 溝口徹
神奈川県出身。1990年福島県立医科大学卒業。横浜市立大学医学部付属病院、国立循環器病センター勤務を経て、神奈川県藤沢市に溝口クリニック(現辻堂クリニック)を開設。2003年、日本初の栄養療法専門クリニック『新宿溝口クリニック(現みぞぐちクリニック)』を開設。

医療法人回生會 みぞぐちクリニック 院長 溝口徹

オーソモレキュラー栄養療法とは?

オーソモレキュラー栄養療法とは?

オーソモレキュラー栄養療法とは、食事やサプリメント・点滴などを用いて体を構成する細胞の働きを向上させ、人間が本来持っている治癒力にアプローチする療法です。

血液検査を元に、理想の栄養状態に近づけるためのプログラムを組む

オーソモレキュラー栄養療法は、単に「栄養バランスの取れた食事をとりましょう」「足りない栄養素をサプリメントで補いましょう」という考え方とは異なります。

患者さんが身を置いている環境や健康状態を考慮し、さらに体の栄養状態を詳細な血液検査で分析します。人には“理想的な栄養状態”があるため、そこからどのくらい離れているかを判断するのです。なお、この“理想的な栄養状態”を一概に数値で示すことはできませんが、一般の方が思っているよりもずっと高いレベルとのこと。

そして、血液検査などの結果を元に、医師がその人に必要な栄養素の種類や量を判断し、サプリメントの処方や食事指導・生活習慣指導などを行っていきます。

オーソモレキュラー栄養療法の効果とは?

オーソモレキュラー栄養療法の効果とは?

オーソモレキュラー栄養療法では、本来持っている自身の治癒力を高めることに重きを置かれていますが、その結果、どのような心身への効果が期待できるのでしょうか?

外傷以外の症状が適用

オーソモレキュラー栄養療法の適用範囲は、基本的には外傷以外の症状や疾患となります。

発達障害や精神疾患

オーソモレキュラー栄養療法は、最初は精神疾患領域で始まり、うつや統合失調症・不安障害の治療の一環として取り入れられていました。そういった流れもあり、現在でも発達障害や自閉症のお子さんに対して療法が行われています。

不妊治療

最近では、一般的な不妊治療で結果が出ない方が、プラスアルファのケアとしてオーソモレキュラー栄養療法を取り入れる事例が多くあります。

アレルギー疾患や花粉症・アトピー

アレルギー疾患や花粉症・アトピーといった慢性的な疾患に対しては、オーソモレキュラー栄養療法が有効に働きます。

将来的な病気・健康トラブルの予防

オーソモレキュラー栄養療法は、将来的な病気や健康上のトラブル予防の観点からも効果的と言えます。オーソモレキュラー栄養療法では血液検査でその人に足りない栄養素を分析し、細かく健康状態を探っていくため、将来起こりうるトラブルの予測ができます。そのため、早い段階から、トラブルを避けるための予防が可能になるというわけです。

風邪や感染症の予防

オーソモレキュラー栄養療法を受けている患者さんの相談内容はさまざまですが、多くの方が「これまで年に3〜4回風邪を引いていたのに、全然引かなくなった」とおっしゃるそうです。また、自己免疫力を高めることで、感染症の予防にも効果が期待できます。

オーソモレキュラー栄養療法はどんな人におすすめ?

オーソモレキュラー栄養療法はどんな人におすすめ?

オーソモレキュラー栄養療法は、以下のような方におすすめです。

自分自身で食事に注意を払い、変えられる人

オーソモレキュラー栄養療法は、食事やサプリメントを用いて自然治癒力や免疫力を向上させていく療法です。西洋医学のように「この薬を飲めば治る」というものではありません。それを理解した上で、健康上の困りごとやトラブルを治すために「自分自身の食事や生活の選択ができるかどうか」「子供が食べる物の管理ができるかどうか」といったことが、この療法を始めるための前提となります。

ストレスレベルの高い生活をしている人

ストレスはさまざまな栄養素を消費するため、慢性的にストレスに晒されていると健康上のトラブルが起きやすくなります。ストレスの強い生活を送っている人は、オーソモレキュラー栄養療法で体内の栄養を充実させることが勧められます。

睡眠に問題がある人

栄養不足・栄養の偏りといった栄養トラブルが、「寝付けない」「途中で起きてしまう」といった睡眠障害を招いていることがあります。睡眠障害にお悩みの人や、慢性的な睡眠薬をやめるためにオーソモレキュラー栄養療法を取り入れる人もいます。

健康レベルを上げたい人

オーソモレキュラー栄養療法は、現在特にトラブルや困りごとはなくても、「健康レベルを底上げしたい」といった健康意識の高い方にもおすすめです。

オーソモレキュラー栄養療法の具体的なやり方

オーソモレキュラー栄養療法の具体的なやり方

オーソモレキュラー栄養療法は、「食事・サプリメント・生活習慣」の3つの軸でアプローチしていきます。

食事

一般的な食事療法では、「野菜をたくさん食べましょう」「肉類は控えましょう」といった内容が基本となりますが、そういった食事がその人にとって必ずしも適切とは限りません。

オーソモレキュラー栄養療法では、詳細な検査をした上で、一人ひとりの健康状態・栄養状態に応じた食事方法を取り入れています。特に重要となるのは、「血糖値の安定化」と「タンパク質の最適な量の摂取」です。

血糖値の安定化

血糖値が急激に上がったり下がったりすると、急激な眠気や倦怠感・体重増加・集中力低下・気分の落ち込み・睡眠トラブル・頭痛など、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。

そこで、血糖値を安定化させるための糖質コントロールを取り入れます。具体的には、糖質の摂取量を減らしたり、糖質は最後に食べるようにしたりといった方法が行われています。

タンパク質の最適な量の摂取

タンパク質は体のあらゆる臓器や筋肉・ホルモン・神経伝達物質などを構成するのに必要な栄養素です。不足すると、疲れやすくなったり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、皮膚や爪・髪の毛のトラブルなどを招いてしまいます。

タンパク質は毎日必要十分量を摂取する必要があるので、オーソモレキュラー栄養療法では食事でのタンパク質摂取を増やすことを促していきます。食事での摂取が難しい場合は、サプリメントとしてプロテインなどを利用することもあります。

なお、タンパク質の特性として、同じものを連続して摂取するとアレルギーになることも。卵や大豆製品・乳製品はいつも冷蔵庫にあってついつい頻繁に摂取してしまいがちですが、複数種類の食品からタンパク質を取ることが大切です。

このほか、グルテン(小麦製品)とカゼイン(乳製品)を2週間抜いてみるといった食事提案もよく行われるそうです。なかなか治らない皮膚トラブルやお腹の不調がある場合、グルテンとガゼインを断つと改善するケースが多いとのこと。

サプリメント

オーソモレキュラー栄養療法では、代謝トラブルを改善させる働きを持つ栄養素を利用するため、高用量の医療用サプリメントを用いて栄養素の補充を行います。医療用のサプリメントは、市販のサプリメントとは栄養素の質や吸収率が圧倒的に異なるとのこと。また、血液検査でその人に足りない栄養素を判断して処方するので、自分で市販品を購入するよりも的確に必要な栄養を補うことができます。

どんな種類のサプリメントを処方するかは患者さんによって異なりますが、女性の患者さんの場合は隠れ貧血・鉄不足が関係してトラブルが起きているケースがあるため、鉄を補充することが多いそうです。また、ビタミンB群も、多くの方に選択する栄養素とのこと。エネルギーを上手に作れないと疲労感や抑うつ感を助長させますが、ビタミンB群にはエネルギー代謝をサポートする働きがあります。

生活習慣

睡眠不足や運動不足は、栄養の代謝に大きな影響を与えます。また、日常生活に潜んでいるさまざまなストレスは、せっかく摂取した栄養素を大きく消費し、体を栄養欠乏状態にしてしまうことがあります。オーソモレキュラー栄養療法では、睡眠や運動・ストレスといった生活習慣の改善も促していきます。

なお、オーソモレキュラー栄養療法においては、必ずしも「運動をしてください」と指導するわけではありません。よくある事例として、「疲れが抜けない」「慢性的にだるい」といった方で、調べてみると栄養状態が非常に悪く、日常生活を送るだけでギリギリ、運動まではするべきではないケースがあります。そういった方の場合、運動ができる栄養状態になるまでは食事やサプリメントでケアをして、その後経過をみながら指導をしていくそうです。

また、運動の種類についても、一人一人に適切なものを指導します。検査データを見て、「エアロビやランニングのような衝撃がある運動はダメ」と判断した方には体に衝撃が入らない種類を、などその人の栄養状態・健康状態にあったものを提案します。

オーソモレキュラー栄養療法はどこで受けられる?

オーソモレキュラー栄養療法はどこで受けられる?

オーソモレキュラー栄養療法を受けることができる医療機関は限られています。実際に相談したい場合は、オーソモレキュラー栄養医学研究所のサイトから、導入している医療機関を検索してみてください。 

医療機関検索:オーソモレキュラー栄養療法導入医療機関一覧

まとめ

オーソモレキュラー栄養療法は、その名前こそまだあまり聞き慣れないかもしれませんが、内容を知ると、現代人にぴったりな健康管理方法だと思いませんか?

溝口先生によると、オーソモレキュラー栄養療法を受けている方の年齢は幅広く、健康レベルを上げたいという方から発達障害のお子さん・ガンの方・病院で結果が出なかった方まで多くの方が来院されているそうです。「最近やる気がなくなって、鬱っぽくなっている」とお悩みの方で、心療内科より先にオーソモレキュラー栄養療法を試しにくる方もいるとのこと。

慢性的な健康トラブルやお悩みがある方は、改善のための選択肢の一つとして、オーソモレキュラー栄養療法を試してみてはいかがでしょうか。

なお、オーソモレキュラー栄養療法について、背景にある理論などを詳しく学びたい方は、セミナー・勉強会も開催されていますので、チェックしてみてくださいね。

医療法人回生會 みぞぐちクリニック 院長 溝口徹


一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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