自分に合った日焼け止めはどう選ぶ?日焼け止めの種類と正しい選び方を解説!
健康とくらし
2022年07月27日掲載
「紫外線対策のためには、日焼け止めをしっかり塗った方がいい!」ということは多くの方がご存知かと思います。ですが、いざ日焼け止めを購入しようというとき、あまりにたくさんの製品があって迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、日焼け止めの種類や選び方・効果をしっかり出すための正しい使い方について、LECINQ clinic院長 長谷川佳子先生に解説していただきました。
長谷川佳子
LECINQ clinic院長
2012年北里大学医学部卒業、横浜市立大学初期臨床研修終了後、横浜市立大学形成外科に入局、医局関連病院に勤務の後、2020年ルサンククリニック診療部長に就任。翌2021年ルサンククリニック銀座院 院長に就任。 形成外科、美容外科として保険診療から自費診療にも携わる一方で、医療コラムで情報提供や医療監修などにも携わっている。
INDEX
日焼け止めはどうして塗る必要があるの?
紫外線は肌に多大な影響を与えます。肌内部でメラニンが生成されることでシミなどの色素沈着を引き起こしたり、コラーゲンやエラスチンの生成を阻害してハリや弾力を低下させたり、肌の水分を奪って乾燥肌を招いたりするのです。一説には、肌が老化する原因の80%は紫外線のせいだとも言われています。「日焼け止めをしっかり塗ることが何よりの美容方法」と言えるほど、日焼け止めをしっかり塗って紫外線対策をすることは美肌づくりにとって重要なのです。
なお、日焼け止めは基本的に顔・ボディなどの部位に関係なく使用できます。ただし、まれに「顔用」「ボディ用」と表記されているタイプがあるため、その際にはメーカーの指定に従うようにしてください。
日焼け止めの「吸収剤タイプ」と「散乱剤タイプ」の違いは?
日焼け止めを購入する際に、まず知っておきたいのが「吸収剤タイプ」と「散乱剤タイプ」があるということです。それぞれの特徴やメリット・デメリットを見てみましょう。
紫外線吸収剤タイプ
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して熱などのエネルギーに変化させて放出させることで、紫外線が皮膚に浸透するのを防ぎます。
【紫外線吸収剤として使われる成分】
- メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
- ジメチルPABAオクチル
- パラアミノ安息香酸
- t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
【メリット】
- 紫外線カット効果の高いものが多い
- 透明なタイプが多く、白浮きしにくい
- きしみにくく、使用感が良い
- 伸びが良いのでムラにならずに塗れる
【デメリット】
- 敏感肌の方には刺激になることもある
- 時間とともに効果が弱まるので、数時間おきに塗り直す必要がある
紫外線散乱剤タイプ
紫外線散乱剤は、粉体状の散乱剤で皮膚を覆うことで紫外線を反射・散乱させ、皮膚を防御します。
【紫外線散乱剤として使われる成分】
- 酸化亜鉛
- 酸化チタン
【メリット】
- 肌に優しく、敏感肌の方でも使いやすい
- 擦れたり汗で流れたりしない限り効果が持続するので、塗り直しが少なくて済む
【デメリット】
- 粉体成分を使用しているため、白浮きしやすい
- 塗った後にモロモロが出やすい
日焼け止めのSPF値・PA値とは
「日焼け止めが吸収剤タイプか散乱剤タイプか」のほかに、選ぶ際の指標としたいのが、SPF値とPA値です。日焼けの原因となる紫外線にはA波とB波の2種類があり、それぞれを防ぐ力のバロメーターとなるのがSPF値とPA値です。
紫外線A波と紫外線B波
紫外線A波は、皮膚の深く真皮にまで到達してじわじわと肌にダメージを与え、たるみやシワの原因になります。窓ガラスも通り抜けるので、室内にいるときも注意が必要です。一方、紫外線B波は皮膚の表面に作用し、肌に赤みや乾燥・シミ・そばかすなどを引き起こします。
SPF値=紫外線B波の防御力バロメーター
SPF値は、紫外線B波(UVB)防止のバロメーターです。何も塗らないときに比べてUVBを何倍防ぐことができるかの目安になります。SPF値1は「約20分の日焼け止め効果」とされています。つまり、SPF値50の日焼け止めの場合は以下のように計算できます。
- 20分(SPF値1)×50=1000分(約17時間)
SPF値が高くなるほどUVB防止効果が高くなります。最高値は75です。
PA値=紫外線A波の防御力バロメーター
PA値は、紫外線A波(UVA)防止のバロメーターです。UVAを、どれくらい防ぐことができるかの目安になります。効果の度合いが「+」表示で4段階に区分され、「+」の数が多いほど効果が高くなります。PA値はSPA値のような明確な基準はありません。以下がPA値の効果の指標です。
- PA:日焼け止め効果の程度
- PA+:UVA防止効果がある
- PA++:UVA防止効果がかなりある
- PA+++:UVA防止効果が非常にある
- PA++++:UVA防止効果が極めて高い
日焼け止めはシーン別に使い分けて
SPFの数値が高くなったり、PAの「+」の数が多くなったりするほど、紫外線カット効果は高くなります。しかし、その分肌への負担も大きくなります。「とにかく数値の高いものが良い」というわけではなく、シーンに応じて使い分けることが大事です。
在宅勤務時やほとんど室内にいるときなど
SPFは10〜30程度、PAは++程度で、肌への負担が少ない紫外線散乱剤タイプが適しています。在宅勤務や室内で過ごすことが多い方・オフィス勤務であまり外に出ないという方も、日焼け止めはしたほうがベターです。先述したように紫外線A波は窓ガラスも通しますので、「そんなに外に出てないのに日焼けしてしまった」ということになりかねません。SPF・PAが低めの日焼け止めなら、肌負担なく使用できます。なお、顔だけでなく首や腕など、紫外線にさらされる部分も忘れないように塗っておきましょう。
短時間の買い物・散歩など
SPFは30〜50程度、PAは+++程度で、肌への負担が少ない紫外線散乱剤タイプが適しています。短時間でも外出する場合は、中程度の紫外線カット効果のあるものを選ぶと良いでしょう。顔・首・腕などの他、短パンにサンダルで外出する際には、下半身の肌の露出部分も忘れずに日焼け止めを塗りましょう。
炎天下での長時間の外出・海水浴・レジャーなど
SPF値は50以上、PA値は++++のいずれも最高値で、より紫外線カット効果が高い紫外線吸収剤タイプが適しています。海に入ったりたくさん汗をかいたりする場合は、ウォータープルーフタイプを選ぶと安心です。顔・首・腕・足など肌の露出部分にまんべんなく日焼け止めを塗ることが大切です。また、意外と忘れがちなのが足の甲です。素足でサンダルの場合、非常に焼けやすいので忘れずに塗るようにしましょう。
日焼け止めの効果をしっかり得るには?
日焼け止めは十分な量を塗ることが大事
日本の日焼け止めの効果測定試験では、「試料塗布量 2mg/㎠」が規定とされています。つまり、肌面積1㎠につき2mgの日焼け止めを肌に塗らないと、本来の効果が発揮されないということです。この基準をもとにすると、顔に塗る日焼け止めの最適量は約0.8gということになります。グラムで言われてもあまりピンとこないかと思いますので、顔に塗る量のおよその目安は以下と考えてください。
- クリーム状の日焼け止めの場合:パール粒2個分
- 液体状の日焼け止めの場合:一円玉2枚分
実際に出してみるとわかりますが、思っている以上に多い量を塗る必要があります。
日焼け止めは塗り直しも必要
SPF値やPA値が高い日焼け止めを使っていても、汗や皮脂で流れ落ちると効果が薄れてしまいます。そのため、日焼け止めの効果を持続させるにはこまめな塗り直しが必要です。3時間おきを目安に塗り直しをしましょう。メイクをしていると塗り直しは難しいかもしれませんが、いったん皮脂をティッシュオフし、化粧水スプレーなどで保湿をしてから優しく上から抑えるように塗布すると、ベースメイクと馴染みやすくなります。
化粧下地にUVカット効果があっても日焼け止めは別にすべき?
化粧下地で紫外線カット効果が高いものもたくさんありますよね。ですが前述したように、日焼け止めの効果をしっかり出すには、十分な量を塗ることが大事です。
色付きや肌補正機能付きの化粧下地を日焼け止めの塗布推奨量で塗ると、顔色が明るくなり過ぎたりベタベタしすぎたりすることも。そういった意味で、化粧下地の前に別で日焼け止めを仕込んでおくことをおすすめします。
まとめ
「美肌に見せたい」「エイジングサインを目立たなくさせたい」という方は、毎日のスキンケアを頑張ったり肌補正効果の高いベースメイクアイテムを選んだりしているかと思います。こういったケアももちろん大切ですが、根本から美肌を目指すためには、日焼け止めクリームを正しく使って紫外線ダメージを最小限に抑えることが重要です。今もすでに日焼け止めクリームを使用している方は多いと思いますが、ぜひ今一度使用アイテムや使用方法を見直してみてくださいね。
LECINQ clinic院長 長谷川佳子
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。