足が臭うのはなぜ?臭いの原因・予防方法・正しい消臭対策
健康とくらし
2022年07月14日掲載
「家に帰って靴を脱ぐと、足がプーンと臭う」「足の臭いが気になって、人前で靴を脱ぎたくない」。こんなお悩みを持っている方は意外と多いのではないでしょうか?特に夏場はたくさん汗をかくので、臭いが気になりますよね。そこで今回は、足の臭いの原因や予防方法・正しい消臭対策について、LECINQ clinic院長の長谷川佳子先生に解説していただきます。
長谷川佳子
LECINQ clinic 院長
プロフィール 2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック勤務を経て、2020年ルサンククリニック診療部長就任。2021年 ルサンククリニック院長就任。所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。
足が臭い、あの臭いの正体は?
足の臭いの正体は、「イソ吉草酸」
足の独特な悪臭の正体は、「イソ吉草酸」(別名:3ーメチルブタン酸)という脂肪酸の一種です。と言っても、この成分は人間の体から分泌されるものではなく、足についた雑菌によって生成されるものです。
雑菌が足の皮膚の皮脂や角質を分解してあの臭いを出している
足は、非常に汗をかきやすい部位。1日にコップ1杯程度の汗をかくとも言われています。くわえて、靴やスリッパ・靴下・ストッキング・タイツなどを履くことで、通気性が悪くムレやすい環境になり、雑菌が繁殖しやすくなります。そうして繁殖した雑菌が人間の皮脂や角質を分解したときに「イソ吉草酸」を生成し、悪臭が出るようになるのです。
足が臭くなる原因は?
汗は足をかきやすい、なのに拭きにくい部位だから
足の裏は汗腺がとても多く、その数は脇の下や背中よりも多いとされています。にもかかわらず、靴下や靴を履いているせいで汗が蒸発しにくく、こまめに拭き取るのもなかなか難しい部位です。そのため、雑菌が繁殖しやすい環境になり、臭いが発生しやすくなります。
足は皮脂や角質がたまりやすい部位だから
足の指と指の間・爪の付け根や爪の内側など、足は皮膚が入り組んだ複雑な構造をしています。また、足の裏やカカトには体重がかかるため、皮膚の角質層が分厚くなっています。そのため皮脂や角質がたまりやすく、そこに雑菌が繁殖して臭いの原因になってしまいます。
足はムレやすい部位だから
汗をかきやすく皮脂や角質がたまりやすい上に、足は靴下や靴などで覆われていて高温多湿になりやすい部位です。そのため、高温多湿な環境を好む雑菌の温床となりやすいのです。
足が臭くなる習慣とは
足の臭いは、以下のような日々の習慣が原因で強くなります。
- ストッキング・タイツを頻繁に履いている
- ムレやすい革靴やブーツを履いている
- 毎日同じ靴を履いている
- 不潔な靴下を履いている
- 足に角質が溜まっている
- 足をしっかり洗えていない
- 足の爪を長いまま放置している
足の臭いの原因が病気のこともある?
ある種の病気や疾患によって足から臭いが発生することもあります。代表的なのは水虫です。水虫自体には臭いがないものの、水虫によって雑菌が繁殖し、それによって臭いが発生しやすくなります。また、水虫だけでなく、その他の皮膚炎でも雑菌が繁殖した場合は臭いが発生することがあります。
以下でご紹介する対策を行ってもなかなか臭いが解消されない場合、水虫や皮膚炎による影響が考えられます。水虫や皮膚炎の治療によって臭いも解消される可能性が高いので、お近くの皮膚科などで医師に相談してみてください。
足の臭いを抑える対策方法
足が臭くなる原因を踏まえると、臭いを抑えるには以下のような対策が効果的だと言えます。
足をしっかり洗う
お風呂に入ったときに足の指や爪と皮膚の間・足裏・かかとまでしっかり洗えているでしょうか?汗や皮脂・雑菌をしっかり取れるように、入念に洗うようにしましょう。臭いが特に気になる方は、足専用の石鹸や洗浄剤を使うのもおすすめです。
爪を短く切って清潔に保つ
足の爪と皮膚の間は、垢が溜まりやすいので臭いの原因となります。爪を短く切って物理的に垢が溜まりにくいようにしておきましょう。
足の角質ケアを取り入れる
かかとや足裏の皮膚が分厚くなっている方は、角質が溜まっている可能性があります。角質を優しく除去できるスクラブなどを使って、ケアすることをおすすめします。ただし、強く擦りすぎると皮膚炎を起こしてしまうこともありますので、あくまで丁寧に優しく除去することが大事です。
裸足で過ごす時間を作る
靴下や靴を履いていると、どうしても足がムレてしまいます。在宅時やお風呂上がりは裸足になって風通しを良くしておきましょう。
抗菌機能・通気性の高いストッキング・タイツ選ぶ
ストッキングやタイツを日常的に履かなければならない方は、抗菌機能のついているもの・通気性の高いものを選ぶようにしましょう。雑菌の繁殖を抑えられれば、臭いはしにくくなります。
靴下やストッキングは脱いだらすぐに洗う
汗をかいた靴下やストッキングを放置していると、その間に雑菌が増殖してしまいます。洗濯しても雑菌が残り、「履いていない靴下なのになぜか臭う」ということになってしまうかもしれません。靴下やストッキングは脱いだらできるだけすぐに洗うようにしましょう。
毎日連続して同じ靴を履かない
毎日連続して同じ靴を履くと、汗で湿気を帯びた状態のまま着用することになってしまいます。同じ靴を毎日履くのは避けて、できれば1日履いたら1日休ませるようにしましょう。雨で濡れたり特に汗をたくさんかいたりした日は、日光の当たる場所に干しておくのもおすすめです。
通気性の高い靴を選ぶ
素材や形状によってムレやすい靴とムレにくい靴があります。特に夏場の汗をたくさんかく季節は、できるだけ通気性が高くムレにくい靴を選びましょう。また、通気性が高いサンダルなどでも、素足で履き続けると雑菌が繁殖して臭いの原因になってしまいます。「靴下を履く」「こまめにサンダルを洗う」といった方法で雑菌の繁殖を防ぎましょう。
消臭グッズを使用する
靴の中に入れておくタイプの消臭剤や湿気除去剤を使うと、靴に染み付いた臭いが軽減されます。また、外出先で足の臭いが気になるときは、足用の消臭スプレーを利用しましょう。「急に会食が入って靴を脱がなければいけなくなった」「人の家に上がるときに、臭いが気になる」などの状況で役立ってくれますので、鞄に入れておくと安心ですね。
まとめ
足の裏は汗をかきやすく、皮脂や角質がたまりやすい部位です。にもかかわらず、靴下や靴を履いているせいでこまめに汗や皮脂・角質を拭き取りにくく、雑菌が繁殖して臭いが発生しやすくなっています。足の臭いを解消・予防するためには、「靴下やストッキングは脱いだらすぐに洗う」「毎日連続して同じ靴を履かない」「爪を短く切って清潔に保つ」といった今回ご紹介した対策を試してみてください。
LECINQ clinic院長 長谷川佳子
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