はじめての美容医療。おすすめ施術や効果・メリット・デメリットを解説
健康とくらし
2022年05月20日掲載
コロナ禍に入ってから、リモートワークで在宅時間が増えたことやマスク生活が続いていることで、普段はなかなかできない美容医療への関心が高まっています。ですが、美容医療と一口に言ってもその種類はさまざま。そこで今回は、気になる美容医療の施術内容やそれぞれの効果・メリット・デメリットについて、美容外科・形成外科医師の鈴木芳郎先生に教えていただきました。
鈴木 芳郎
ドクタースパクリニック 院長
美容外科医・形成外科、東京医科大学 形成外科学分野 客員講師。美容外科「名医101人」に選出され、多数のフェイスリフト/スレッドリフトの学会講演・セミナー講師実績からメディアでもリフトアップの魔術師と称される。日本で唯一のまぶたを裏返さない埋没法も好評。
美容医療とは?
美容医療とは
美容医療とは、医療技術を用いて人の容姿をより良い状態にするための施術全般を指します。医師免許を持つ者が行う医療行為である点で、エステサロンなどでのサービスと区別されます。美容医療を受けられるのは、美容外科や美容皮膚科などです。
保険はきく?
美容医療は健康保険適用外の自由診療という形になります。そのため、同じ施術でもかかる費用はクリニックによって異なります。
美容医療にはどんな種類がある?
「美容医療」という言葉は、一般的に以下のような治療・施術を指します。
美容外科
美容外科とは、皮膚を切開したり骨を切ったりなどの手術を含む施術のこと。
例:二重まぶた整形・豊胸・脂肪吸引・隆鼻形成など
美容皮膚科
美容皮膚科とは、医療行為によって肌の状態を改善したり、人それぞれの肌悩みを解決したりする施術です。
例:レーザー脱毛・レーザー治療(ニキビやシミ改善・肌質改善・たるみ改善など)ピーリング・ボトックス注射・ヒアルロン酸注射など
美容を目的とした投薬や点滴
内服薬・注射・点滴などを用いた肌質改善やアンチエイジング施術も行われています。体の外側からの施術ではなく、体の内側からトラブル改善を目指します。
人気の美容医療、効果やメリット・デメリット
前項で解説したように、美容医療にはさまざまな施術が含まれます。大切なのは、自分の悩みを解決するのに適した施術を選択すること。そこで、お悩み別におすすめの施術をご紹介します。なお、皮膚や骨を切開したり手術を含んだりする施術は、初めての方はハードルが高く感じるかと思います。そのため、ここでは美容皮膚科のメニューを中心にご紹介しています。
肌を全体的に綺麗にしたい方・美容医療が初めての方に
「いつものスキンケアだけでなく、美容医療で肌治療をしてみたい」「全体的に肌を綺麗にしたい」という方には、以下の施術がおすすめです。ダウンタイム(施術後に安定した状態に仕上がるまでの期間)も少なく、刺激や痛みなども出にくいので、美容医療が初めての方にも向いています。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングとは、専用のピーリング剤を用いて肌表面の不要な角質を剥離する施術です。お肌のハリをアップさせる効果や肌の保湿力を高める効果などがあるので、毛穴のつまりや黒ずみ・毛穴の開き・くすみ・ニキビなど総合的な肌悩みがある方におすすめです。
刺激や痛みは出にくいものの、肌質や肌の状態によってはヒリヒリとした痛みを感じるケースもあります。また、施術後は感光性が高まり日焼けがしやすくなるため、十分なUVケアが必要です。中・長期的に施術することで少しずつ効果が表れるため、一度で大きな効果は期待できないということも理解しておきましょう。
フォトフェイシャル
フォトフェイシャルとは、特殊な光を肌に当てることでメラニンや毛細血管など肌トラブルの原因にダメージを与える施術です。光によるダメージで肌が活性化し、コラーゲンを増生することにより、肌のキメや質感を整え、ハリのある肌に導きます。しみやそばかす・赤ら顔・毛穴の開きなどが気になる方に向いています。
ただ、シミや黒ずみを浮き上がらせる効果があるため、施術直後は逆に目立ってしまうということも。浮き出たシミや黒ずみが剥がれるまで、2~7日程度の時間が必要な点に注意が必要です。
イオン導入
イオン導入とは、直流電流を用いてイオン化した薬剤を皮膚の奥深くまで浸透させる施術です。用いられる薬剤としては、ビタミンC誘導体が最もメジャーです。ビタミンC誘導体は、本来皮膚から吸収されにくい成分ですが、イオン導入することにより皮膚の深部に浸透させられるようになります。特に、シミやニキビ痕・くすみなどに悩んでいる方におすすめです。
高濃度の成分を肌の深部まで届けるため、肌質に合わなかった場合に炎症や赤みがでる可能性がごくまれに発生します。自身の肌質などを事前に医師に細かく伝え、トラブルが発生しないかどうかしっかり相談しておきましょう。
もう一歩踏み込んだ治療がしたい方に
「マスク生活の今のうちに、お肌の悩みをしっかり改善しておきたい」「アンチエイジングケアを始めたい」という方には、以下の施術がおすすめ。人によっては1日〜数日のダウンタイムが必要だったり、施術時に痛みを感じたりすることもありますが、しっかりと効果を感じたい方は検討してみると良いでしょう。
ダーマペン
ダーマペンとは、皮膚に超極細の針を刺して微細な穴を開けることで、肌の自然治癒を促す施術です。ダーマペンの施術の後に美容成分を入れることもあります。皮膚への刺激によって細胞のコラーゲン生成が増え、肌全体にハリが出る・毛穴やニキビ跡が目立ちにくくなるなどの効果が期待できます。ただし、ダーマペンは効果が出やすい一方で、針の深度によっては強い出血や赤みを伴うことがあり、3日~5日程度ダウンタイムを要する場合もあります。
ハイフ
ハイフとは、お肌の深層部(真皮やSMAS層)や皮下組織・脂肪層に超音波エネルギーを与えて、点状の無数の熱凝固を発生させることでお顔のたるみ改善を行う施術です。たるみ取り施術には、長らく皮膚を切開する方法がとられてきましたが、ハイフ等のたるみ取り機器の登場により、皮膚を切らずにたるみを引き上げることが可能になりました。「たるみが気になるけど、皮膚を切る手術はしたくない」という方におすすめです。
ただし、切開リフトよりも効果は緩く、たるみが完全に取れるわけではありません。また、状態を保つためには複数回・定期的な施術が必要です。
本格的にアンチエイジングケアやリフトアップがしたい方に
「肌年齢が気になってきたので本格的にアンチエイジングケアをしたい」「フェイスラインをしっかり引き上げて若々しい印象になりたい」という方には、こんな施術がおすすめです。たるみが本格的に気になり出す40代以上の方に非常に人気の高い施術です。
スレッドリフト(糸リフト)
スレッドリフトとは、特殊な糸を皮膚内部に入れて皮膚を引き上げる施術です。皮膚を切らずに気になるフェイスラインのたるみを引き上げることができます。前述したハイフと切開リフトの中間的施術と考えるとわかりやすいでしょう。
スレッドリフトはリスクの少ない施術ですが、炎症の原因になるため施術後の激しい運動や飲酒は避ける必要があります。入浴やセルフケアに関しても、医師の指示に従いましょう。また、施術後、まれに痛み・かゆみ・痺れを感じるケースがあります。その場合は炎症や感染症などの可能性があるため、すぐに医師に相談してください。
美容医療を受ける際の注意点
初めて美容医療を受ける方は、「どこのクリニックを選べばいいんだろう」と悩むことが多いかと思います。クリニックを選ぶ際のポイントや美容医療を受ける際の注意点をまとめました。
「安いから」で選ぶのはちょっと待って
美容医療は自由診療のため、同じ名前の施術でもクリニックによって値段が異なります。あるクリニックでは20万円近くする施術が、あるクリニックでは数万円で受けられることも。ですが、「安いから」という理由で選ぶのはちょっと考えものです。「安い」には必ず理由があり、例えば「使っている薬剤や糸の品質が低い」など、患者側からは見えにくいところにその理由がある場合も。「安かったけど、効果がいまいちだった」といったことにならないよう、値段だけではなく総合的に判断することをおすすめします。
医師の選定は慎重に
よく話を聞いてくれてしっかり説明してくれる医師を選びましょう。メリットや効果だけなくリスク説明もちゃんとしてくれるかどうか、その上で施術内容に納得できるかどうかが大事です。反対に、いろいろなメニューをどんどん勧めてくるようなクリニックには注意したほうが良いかもしれません。
実績のある医師を選んで
施術に対する実績のある医師を選ぶことも大事です。実績・経験があるということは、それだけその施術に対する理解が深く、リスクを取らないための方法や患者さんの満足度を高めるための研究をしているということ。ホームページなどで実績を見たり、過去の症例を確認したりすると良いでしょう。
また、今回ご紹介したようなメニューは、どの施術でも人によって効果や副作用の出方が変わってきます。実績のある医師であればあるほど、さまざまな症例を経験しているため、効果や副作用に関してより細かく説明してもらうことができるでしょう。
長期的スパンで考えよう
美容医療を始めるにあたって、「長期的に・継続的に施術を受けられるか」ということも考えておいたほうが良いでしょう。特に美肌治療に関しては、1回で効果が出るものもありますが、継続して治療を受けることで改善していくものもあります。ハイフなどのアンチエイジング治療についても、治療後は徐々に元の状態に戻っていってしまうので、ご自身のライフスタイルやお財布状況などと合わせて、継続的に続けられるのか長期スパンで考えることも大事です。
まとめ
今回ご紹介したように、美容医療には初めての方でも取り入れやすい美肌メニューや施術がたくさんあります。化粧品でのスキンケアやホームケアでは治らない肌トラブルも、美容医療なら根本的な解決が可能かもしれません。マスクで顔が隠れていることも日常的なこととなり、在宅ワークなどで直接人と会う機会も減っている状況で、以前に比べダウンタイムもとりやすくなっているかと思います。肌トラブルを改善しておきたい方や、美容医療でしっかり肌悩みを改善したい方、本格的なアンチエイジングがしたい方は、ぜひ一度美容クリニックでカウンセリングや相談をしてみてはいかがでしょうか。
ドクタースパクリニック 院長 鈴木 芳郎
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。