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健康管理士に聞く!セルフ健康維持のポイントと健康チェックシートの使い方

各種感染症や病気にかからないために大切な、日々の健康管理。健康管理において重視したいのは「運動・睡眠・食事」の3つです。当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、健康維持のためには、やはりこの3つの軸を改善する必要があります。

そこで今回は、運動・睡眠・食事それぞれが健康維持のために果たす役割や留意したいポイント・ご自身で健康管理をするために取り入れたい健康チェックシートの項目や使い方について、フリーキャスターで健康管理士の和田奈美佳さんにお聞きしました。

和田 奈美佳

フリーキャスター・健康管理士認定講師

フリーキャスターとして、「スポナビLIVE NEWS」「ぶちまけ!スポーツトークライブ」「ベイスターズ野球中継」「第19回全国高等学校女子硬式野球選抜大会 実況」など、さまざまな番組に出演。不規則な生活が続き、体調を崩したことがきっかけで、健康管理士の資格を取得。キャスターとして活動する傍ら、東洋医学・漢方の知識も取り入れた講演を全国各地で行っている。城西国際大学非常勤講師・健康管理士・漢方養生指導士。現在の出演番組は、interfm 「GreenJacket」第2土曜5時~8時(6時半頃「スポーツのツボ」コーナー)、スカイA「田中秀道のビッグステップゴルフ」アシスタント「ステップアップツアー」レポーター、AbemaTV「AbemaTVツアー」実況など。

フリーキャスター・健康管理士認定講師 和田奈美佳

健康維持・健康管理のかなめ1:運動

運動するイメージ

健康維持に運動が必要不可欠な理由とは

「動物」である人間は、本来は歩く・走るなどの運動をするのが当たり前の生き物。大昔から、運動することで健康状態を保っていました。しかし、現代人は慢性的な運動不足に陥りがちです。乗り物の発達によって、歩くことすらしなくなっている方も多いでしょう。そのような状態が続くと、手足の筋肉は衰え、全身の「代謝」が低下してしまいます。

代謝の種類について

体は、以下の3つの代謝活動によって食事から摂取した栄養素を合成・分解しています。

基礎代謝

安静時に生命維持をするために消費される必要最低限のエネルギー代謝量のこと。脳や心臓といった臓器を動かすために使われている。代謝のうち60〜70%を占める。

活動代謝

運動や仕事・家事など、体を動かしたときに消費されるエネルギー代謝量のこと。代謝のうち20〜30%に当たる。

食事誘発性熱代謝

食事をとることで消化器官が動く・臓器が動くことにより消費されるエネルギー代謝量のこと。

体の代謝が低下すると、消費できるエネルギー量も少なくなります。すると、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが上回り、肥満や生活習慣病につながりやすくなってしまいます。

運動不足は便秘や気分の落ち込みをもたらすことも

運動不足だと、腸の動き(ぜん動運動)も悪化するため、便秘や下痢を引き起こしやすくなります。「食生活には気を遣っているのに便秘が治らない」という方は、運動不足が原因かもしれません。
さらに、運動不足によって腸の動きが悪くなることで、気分が落ち込みやすくなる・ネガティブな気持ちになるなど、メンタル面にも悪影響が出ることがあります。というのも、幸福感やリラックス・安心感をもたらすホルモン物質「セロトニン」の原料となる物質は、腸内で作られています。腸の動きが鈍くなって腸内環境が悪くなると、その情報が脳にまで届いてネガティブなメンタル状態を作り出してしまいます。

健康維持のために取り入れたい、おすすめの運動方法

1日15分のウォーキングを

健康維持のためにおすすめなのが、「リズム運動」。そのひとつがウォーキングです。リズムよく両手両足を動かして歩くことで、有酸素運動の効果が得られます。だらだら歩くのではなく、リズミカルに歩くことを意識しましょう。1日15分でも良いので、毎日続けてみてください。

運動は朝するのが良い

運動をするタイミングは朝がおすすめです。朝に太陽の光を浴びることでセロトニンが分泌され、日中の心身の安定につながると言われています。また、分泌されたセロトニンは、夜20時以降になると睡眠を誘発するホルモン「メラトニン」を生成します。ぐっすりと眠るためにも、朝に太陽の光を浴びながら運動をするようにしましょう。

健康維持・健康管理のかなめ2:睡眠

睡眠を取る様子

健康維持に睡眠が必要不可欠な理由とは

睡眠には、心のメンテナンスをする役割があります。皆さんも、「悩んでいたが一晩ぐっすり寝たらスッキリした」といった経験があるのではないでしょうか。これは、睡眠中に心の整理整頓作業が行われているからです。
また、夜22時から2時の間には、「成長ホルモン」が分泌され、傷ついた細胞の修復が行われています。この活動によって、肌や髪のツヤを保ったり、脳内の情報整理をしたり、食べ物の消化吸収を促したり、疲労回復をしたりしているのです。
つまり睡眠とは、翌日を万全な状態でスタートできるよう心と体を整える時間なのです。

慢性的な睡眠不足は、アルツハイマー型認知症を誘発する恐れも

慢性的な睡眠不足は、アルツハイマー型認知症の誘発因子になることが近年の研究で分かってきています。アルツハイマー型認知症の患者の脳には、「アミロイドβ」というタンパク質の一種が蓄積しています。アミロイドβは、簡単に言うと「脳内で発生するゴミ」。通常であれば寝ている間に処理されますが、睡眠不足が慢性化していると、脳の海馬という部分に蓄積しやすくなってしまうのです。このことから、慢性的な睡眠不足はアルツハイマー認知症の誘発因子になりえると言えます。
アルツハイマー型認知症は高齢者に多い疾患と思われがちですが、近年では、若年性アルツハイマーの患者さんも増加しています。慢性的な睡眠不足に気をつけ、できるだけ毎日6〜7時間の睡眠時間を確保しましょう。

快眠のためのポイント4つ

1.食事の見直し

快眠のためには食事の見直しが重要です。食事を整えるだけでも睡眠の質は大きく変わります。就寝の3時間前までに食事を済ませましょう食べ物を胃腸で消化する前に寝てしまうと、消化の働きが滞ってしまいます。朝スッキリ起きられない・寝ても疲れが取れないという方は、食べ物が消化されずに胃腸に残っていてダルさや倦怠感を感じやすくなっている可能性があります。胃腸が食べ物を消化し終えてから睡眠に入るために、就寝の3時間前までには食事は済ませましょう。また、油っぽいものを食べすぎないのも大事です。

2.就寝前に体を温める

体が冷えていると、寝るモードに入りづらくなってしまいます。「手足が冷えて寝付けない」「寒くて眠れない」といった思いをしたことがある方は多いかと思います。お風呂に浸かる・暖かい格好をする・温かい飲み物を飲む・軽くストレッチをするなど、やりやすい方法で体を温めるようにしましょう。

3.布団の中で軽いストレッチを

1日中パソコンに向かっていたり立ち姿勢をしていたりと、日中の活動によって筋肉はこわばりがちです。就寝前に軽くストレッチをすることで、筋肉のこわばりがほぐれます。また、血行が改善するので体も温まりやすくなります。

布団の中でできる、おすすめストレッチ
  • 仰向けに寝て首を左右に振る
    これだけでも首回りの血流は良くなり、筋肉のこわばりは取れやすくなります。

  • 仰向けに寝て足首をぐるぐる回す
    足首を回すことで下半身の血流が良くなり、足のむくみ改善にも役立ちます。

  • 仰向けに寝て膝を立て、反対方向に体(ウエスト)をねじる
    体の中心部分にある、普段あまり使っていない筋肉を刺激できます。
4.起床時に太陽光を浴びる

起床時スッキリと目覚めるためには、カーテンを開けて日差しを浴びるようにしましょう。太陽光を取り込むことで体が覚醒モードに切り替わりやすくなります。このとき、窓を開けて空気の循環を良くするのもおすすめです。

健康維持・健康管理のかなめ3:食事

栄養バランスの整った食事

よく言われる“栄養バランスの整った食事”ってどんな食事?

「栄養バランスの整った食事をとりましょう」とはよく聞きますが、それはどんな食事のことを指すのでしょうか。結論から言うと、“栄養バランスの整った食事”とは、「炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維が十分に摂取できる食事」のことを指します。
体に必要な三大栄養素は、炭水化物・タンパク質・脂質とされています。これらは生命維持にとって欠かせないエネルギー源です。しかし、これだけでは十分ではありません。健康的な体を維持するには、ビタミンやミネラル・食物繊維なども必要です。

バランスよく摂りたい栄養素とその役割

炭水化物

炭水化物は体を動かす大切なエネルギー源です。最近は炭水化物を抜くダイエットが流行っていますが、炭水化物を抜くと痩せやすくはあるものの、脳が栄養不足になり、感情のコントロールが効きにくくなることがあります。ただし炭水化物の摂り過ぎは肥満を招く恐れがあります。エネルギーとして消費されなかった炭水化物は、脂肪に変換されて体内に蓄積されてしまうからです。

タンパク質

タンパク質は、エネルギー源であるとともに、筋肉や血液・臓器・髪・皮膚などを作る役割をしています。タンパク質が不足すると、筋肉量が減ったり髪や肌のツヤが悪くなったりしてしまいます。

脂質

脂質は、効率の良いエネルギー源です。1gあたり9キロカロリーのエネルギーを生み出します。なお、脂質には、“体に優しい脂質”と“摂り過ぎると体に悪さをする脂質があります。次項で詳しく解説しますが、悪い脂質は悪玉コレステロール値を上昇させ、長期的には動脈硬化のリスクを高めることもあります。

ビタミン

各種ビタミンには、健康的な体を維持するために欠かせない栄養素です。ビタミンには他の栄養素の吸収や代謝を助けたり、細胞修復のサポートをしたり、体の抵抗力を高めたりする役割を担っています。

ミネラル

ミネラルに含まれるのは、カルシウムやカリウム・鉄・亜鉛など。それぞれに役割がありますが、体の機能を維持・調節したり、他の栄養素の吸収・代謝をサポートしたりする役割をしています。なお、ミネラルは体内では作れない栄養素です。食事からしっかりと補う必要があります。

食物繊維

食物繊維は、腸内環境を整えるのに必要不可欠な栄養素です。腸内で善玉菌の餌となり、腸内細菌のバランスを整えるサポートをしています。

5色以上ある食事を意識しよう

わかりやすく言えば、見た目が白色(ごはんやパン・うどんなど)と茶色(肉類や揚げ物など)だけで構成されている食事は栄養バランスが良くありません。5色以上ある食事は、さまざまな食材が使われており、栄養バランスにも優れていると考えられます。外食やお弁当を選ぶ際の参考にしてください。

悪玉コレステロール値を上昇させやすい食品は控えめに

肉類の脂のように、しばらく放置していると白っぽく固まる油は、体に入っても吸収されにくく悪玉コレステロール値を上昇させやすいとされています。長期的に大量に摂取し続けると動脈硬化の誘発因子にもなるので、注意が必要です。反対に、魚や植物性オイルのようなさらさらした油は、悪玉コレステロール値を下げる働きをしてくれます。肉類よりも魚を積極的に食べるようにしましょう。

健康維持には腸内環境を整えることが重要!そのための食事方法

健康維持のためには、腸内環境を整えることが非常に重要です。免疫細胞の6〜7割は腸内にあるとされています。腸内環境を整えることで免疫細胞が活性化し、健康維持につながると考えられます。腸内環境を整えるには、腸内の善玉菌を増やすことが大切です。ヨーグルトやチーズ・納豆・漬物など、乳酸菌を含む食品を積極的に食べるようにしましょう。

朝ごはんをしっかり食べよう

朝ごはんは、日中のエネルギーの源。これから体を動かすにあたって体に栄養を届けてあげましょう。炭水化物を中心に、糖質高めなバナナなどの果物もおすすめです。また、腸内環境を整える意味では、ヨーグルトなどの乳製品も良いでしょう。

健康管理に最適なチェックポイントは?健康チェックシートの活用も

鏡の中の自分を見つめる様子

ご自身で健康状態をチェックするために、毎日起床時に以下のポイントを確認してみましょう。

起床時、鏡で顔をチェック
  • 顔のバランスが歪んでいないか
  • 顔がむくんでいないか
  • 目がはれていないか
  • 肌はかさついていないか


顔には健康状態が現れるものです。顔がむくんでいたり目が腫れていたら、「消化の悪いものを食べてしまったかな・お酒を飲み過ぎてしまったかな」と推測して食事を見直す。クマがひどくなっていたら「睡眠不足になっているな」と振り返って睡眠を見直す。このようにご自身でチェックしながら生活を内省し、悪い点を改めていくと良いでしょう。

起床時、舌の状態をチェック
  • 黄色い苔が生えていないか
  • 舌の側面に歯形がついていないか
  • 舌の色はピンク色かどうか


舌もまた、健康状態が現れやすい部位です。白色ではなく黄色い苔がついている場合、胃腸の働きが弱まっている恐れがあります。また、舌の側面に歯形がついているのは、舌にむくみが出て歯が当たっているから。さらに、熱があると舌は赤みを帯び、体が冷えていると紫色になります。このほか、口内炎が舌の側面にできているときは、ストレスが溜まっていると考えられます。

便の状態をチェック
  • 便秘や下痢をしていないか
  • 便に黒っぽいシミはないか


便は健康状態や腸内環境のバロメーターです。便秘や下痢がなく、薄茶色のバナナ状の便が理想的です。また、便に黒っぽいシミがある場合、腸内で出血が起きている可能性も。重大なサインを見逃さないためにも、便のチェックをしてみましょう。

上記の「顔・舌・便」の9つの状態をチェックすることで、健康管理に必要なチューニングが行いやすくなります。日々の健康管理のためにもぜひ実践してみてください。一度にすべてを覚えるのは大変なため、健康チェックシートとして、シートにチェックポイントをまとめておくのもおすすめです。

まとめ

ウイルス感染症や風邪などを予防するには、日頃の健康管理が重要です。
今回ご紹介したように、健康維持の基本となる運動・睡眠・食事を振り返り、改善すべき点があればひとつずつ見直していきましょう。

和田 奈美佳 フリーキャスター・健康管理士認定講師

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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